こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである伊藤忠商事(株)【8001】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った伊藤忠商事の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・伊藤忠商事は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
伊藤忠商事(株)【8001】 の基本情報
・設立年月日 1949年12月1日
・上場年月日 1950年7月
・業種 卸売業
・特色 総合商社大手。非財閥系の雄。繊維や食料、中国に強い。傘下にファミリーマートなどの有力企業。
・資本金 2,534億円
・従業員数 (単独)4,116人 (連結)113,349人
・株価 6,504円(2024.4.21)
・単元 100株
・決算 3月末日
繊維、機械、金属、エネルギー、化学品、食料、住生活、情報、金融の各分野において、国内、輸出入および三国間取引を行うほか、国内外における事業投資など、幅広いビジネスを展開しています。
傘下にファミリーマートなどの有力企業を多数抱えており、現在は祖業である繊維の他に、食料や生活資材、情報通信、保険、金融といった非資源分野全般を強みとしています。
単体従業員数が大手総合商社(伊藤忠商事、三菱商事、三井物産、住友商事、丸紅)で最少ながら、2015年度は最終利益で三菱商事を抜き、総合商社業界でトップとなっています。
三方よし
創業者・伊藤忠兵衛の言葉から生まれた「三方よし」の精神を企業理念に掲げ、自社の利益だけでなく、取引先、株主、社員をはじめ、周囲の様々なステークホルダーの期待と信頼に応え、その結果、社会課題の解決に貢献することを目指されています。
企業行動指針には、「ひとりの商人、無数の使命」を掲げ、日本を代表する総合商社として、常に「商人魂」を原点に据えながら、売り手にも、買い手にも、世間にもより善い商い、より善い未来に向けて「無数の使命」を果たすことを目指されています。
ではここからは、伊藤忠商事(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
卸売業315社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 9兆3979億円(3位) |
売上高 | 13兆9456億円(3位) |
純利益 | 8005億1900万円(3位) |
純利益率 | 5.7%(9位) |
総資産 | 14兆3595億円(3位) |
卸売業の中で売上高、総資産とも3位。利益率も高く、純利益率は5.7%の9位、日本5大商社の一社です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:5兆1213億円
流動負債:3兆9448億円
固定負債:3兆7032億円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.30倍で基準未達、
②は、固定負債3兆7032億円 > 純流動資産1兆1765億円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も高く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、毎年しっかり利益を上げられており、問題ありません。基準達成です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 2453億1200万円 |
2015年3月 | 3005億6900万円 |
2016年3月 | 2403億7600万円 |
2017年3月 | 3522億2100万円 |
2018年3月 | 4003億3300万円 |
2019年3月 | 5005億2300万円 |
2020年3月 | 5013億2200万円 |
2021年3月 | 4014億3300万円 |
2022年3月 | 8202億6900万円 |
2023年3月 | 8005億1900万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = +175.7%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 155.21円 | |
2015年3月 | 189.13円 | 3年平均:165.5円 |
2016年3月 | 152.14円 | |
2017年3月 | 223.67円 | |
2018年3月 | 257.94円 | |
2019年3月 | 324.07円 | |
2020年3月 | 335.58円 | |
2021年3月 | 269.83円 | |
2022年3月 | 552.86円 | 3年平均:456.3円 |
2023年3月 | 546.1円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、毎年しっかり出てますね。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 15円/株 | 1.83% |
2011年3月 | 18円/株 | 2.07% |
2012年3月 | 44円/株 | 4.87% |
2013年3月 | 40円/株 | 3.54% |
2014年3月 | 46円/株 | 3.81% |
2015年3月 | 46円/株 | 3.53% |
2016年3月 | 50円/株 | 3.61% |
2017年3月 | 55円/株 | 3.48% |
2018年3月 | 70円/株 | 3.39% |
2019年3月 | 83円/株 | 4.14% |
2020年3月 | 85円/株 | 3.79% |
2021年3月 | 88円/株 | 2.45% |
2022年3月 | 110円/株 | 2.65% |
2023年3月 | 140円/株 | 3.26% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは11.81倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.84倍であり、①のPBRは基準未達です。
②のPER × PBRも21.73で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高13.9兆円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | ◎ | +175.7% |
⑤配当 | ◎ | 利回り3.26% |
⑥株価収益率 | 〇 | 11.81倍 |
⑦株価純資産倍率 | △ | 1.84倍 |
財務状況と株価純資産倍率の2項目で基準未達となり、
伊藤忠商事(株)は割安株に該当しません!
という結果となりました。
収益安定性/成長性は高く、配当もしっかりしているものの、ちょっと負債が多すぎますね。仕方ありません。
多様化する売り手/買い手の顕在・潜在ニーズを捉えて、川下から川上までのバリューチェーン変革による事業成長を実現するため、現中期経営計画における主要施策への取組を継続する。
グループ最大の消費者基盤であるファミリーマートを起点に、グループが保有する機能を最大限活用したファミリーマートのデジタル化、顧客接点・データ基盤を活用した広告・メディア・金融事業等の新たな収益基盤の創出、ファミリーマート以外での新たな消費者接点・データ基盤の獲得を通じた更なる収益の拡大を図っていくそう。今後に期待ですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
👇👇👇ブログランキングに参加中 👇👇👇
👇押していただけると励みになります 👇
コメント