こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである丸紅(株)【8002】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った丸紅の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・丸紅は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
丸紅(株)【8002】 の基本情報
・設立年月日 1949年12月1日
・上場年月日 1950年7月
・業種 卸売業
・特色 芙蓉グループの総合商社大手。穀物、発電で商社首位級。プラントや輸送機、農業化学品に強み。
・資本金 2,629億円
・従業員数 (単独)4,343人 (連結)-人
・株価 2,597.5円(2024.4.21)
・単元 100株
・決算 3月末日
三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事と共に五大商社の一つで、紙・パルプ部門、食料部門、電力部門に強みを持ち、生活産業、素材、エネルギー・金属、電力・プラント、輸送機その他の広範な分野において、外国間取引を含む輸出入および国内取引のほか、各種サービス業務、内外事業投資や資源開発等の事業活動を多角的に展開しています。
1858年に初代伊藤忠兵衛が麻布の「持下り」行商を開始したことをもって創業としているため、同業の伊藤忠商事とは同根で、その後伊藤忠とは分割されたものの、戦時中に再度合併、戦後の財閥解体措置でまた分割され、1949年に丸紅株式会社が設立されたそうです。
社名は、創業者の伊藤忠兵衛が、「紅は高貴な色である」として実家の屋号「紅長」から1文字をとった「紅忠」という商号を使用して、〇の中に紅という文字を入れた印を暖簾や半纏に使ったことに由来します。
「正」公正にして明朗なること。
「新」進取積極的にして創意工夫を図ること。
「和」互いに人格を尊重し親和協力すること。
この精神に則り、経営理念として、公正明朗な企業活動を通じ、経済・社会の発展、地球環境の保全に貢献する、誇りある企業グループになることを目指されています。
ではここからは、丸紅(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
卸売業315社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 4兆3534億円(5位) |
売上高 | 9兆1904億円(5位) |
純利益 | 5430億100万円(5位) |
純利益率 | 5.9%(8位) |
総資産 | 8兆4876億円(5位) |
卸売業の中で売上高、総資産とも5位。利益率も高く、純利益率は5.9%の8位、日本5大商社の一社です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:3兆7605億円
流動負債:2兆7973億円
固定負債:2兆1742億円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.34倍で基準未達、
②は、固定負債2兆1742億円 > 純流動資産9632億円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も高く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2020年に大きな赤字があります。新型コロナの流行で資源価格が大きく下がるなどしたため、巨額の減損損失を計上したとのこと。残念ながら基準未達です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 2109億4500万円 |
2015年3月 | 1056億400万円 |
2016年3月 | 622億6400万円 |
2017年3月 | 1553億5000万円 |
2018年3月 | 2112億5900万円 |
2019年3月 | 2308億9100万円 |
2020年3月 | -1974億5000万円 |
2021年3月 | 2232億5600万円 |
2022年3月 | 4243億2000万円 |
2023年3月 | 5430億100万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = +216.5%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 121.52円 | |
2015年3月 | 60.85円 | 3年平均:72.8円 |
2016年3月 | 35.88円 | |
2017年3月 | 89.52円 | |
2018年3月 | 121.74円 | |
2019年3月 | 133.05円 | |
2020年3月 | -113.77円 | |
2021年3月 | 128.58円 | |
2022年3月 | 244.6円 | 3年平均:230.3円 |
2023年3月 | 317.6円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、毎年しっかり出てますね。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 8.5円/株 | 1.46% |
2011年3月 | 12円/株 | 2% |
2012年3月 | 20円/株 | 3.35% |
2013年3月 | 24円/株 | 3.41% |
2014年3月 | 25円/株 | 3.61% |
2015年3月 | 26円/株 | 3.74% |
2016年3月 | 21円/株 | 3.68% |
2017年3月 | 23円/株 | 3.35% |
2018年3月 | 31円/株 | 4.03% |
2019年3月 | 34円/株 | 4.44% |
2020年3月 | 35円/株 | 6.49% |
2021年3月 | 33円/株 | 3.58% |
2022年3月 | 62円/株 | 4.35% |
2023年3月 | 78円/株 | 4.34% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは9.73倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.37倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBRも13.33で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高9.2兆円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | △ | 2020年赤字 |
④収益成長性 | ◎ | +216.5% |
⑤配当 | ◎ | 利回り4.34% |
⑥株価収益率 | ◎ | 9.73倍 |
⑦株価純資産倍率 | 〇 | 1.37倍 |
財務状況と収益安定性の2項目で基準未達となり、
丸紅(株)は割安株に該当しません!
という結果となりました。
成長性は高く、配当しっかり、PER/PBRも低いものの、赤字が気になりますし、ちょっと負債が多すぎますね。仕方ありません。
脱炭素・循環経済等、地球環境に対しポジティブな影響を与えるサステナブルな事業、及びそれらの事業が必要としかつ代替困難な原材料等を供給する周辺領域である「グリーン事業の強化」、「全事業のグリーン化推進」によりグリーンのトップランナーを目指す。
丸紅の新中期経営戦略GC2024では、中期経営戦略「GC2024」で計画した3ヵ年累計の成長投資10,000億円に加えて、Gavilon穀物事業の回収資金を含めたフリーキャッシュを活用し、各営業セグメントの戦略実現に必要となる成長投資を実行するとのこと。
成長投資では、非資源分野を中心に当社が競争力を有する既存事業領域に重点配分し、将来の収益の柱を育成すべく、新たな事業領域への取組みも強化するそう。今後に期待ですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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