こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである三菱商事(株)【8058】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った三菱商事の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・三菱商事は割安株なのか?
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
三菱商事(株)【8058】 の基本情報
・設立年月日 1950年4月1日
・上場年月日 1954年6月
・業種 卸売業
・特色 総合商社大手。三菱グループ中核。原料炭等の資源筆頭に機械、食品、化学品等の事業基盤厚い。
・資本金 2,044億円
・従業員数 (単独)5,448人 (連結)79,706人
・株価 3,529円(2024.4.30)
・単元 100株
・決算 3月末日
三菱グループの大手総合商社で、三井物産、住友商事、伊藤忠商事、丸紅と共に五大商社の一社、三菱UFJ銀行、三菱重工業とともに三菱グループ(旧三菱財閥)の「御三家」と呼ばれています。
生活、モビリティ・インフラ、エネルギー・電力といった各種産業分野において、天然ガスや原料炭などの川上の天然資源開発から、食品流通などの川中での多種多様な商品の売買や製造、コンビニエンスストアチェーンのローソンを通じた消費者マーケットの開拓といった川下でのコンシューマー向け商品・サービスの提供を行うほか、金融・物流事業といったサービス分野を含めて全産業を俯瞰する総合力を活かした新しいビジネスモデルや新技術の事業化、新たなサービスの開発・提供等、広範な分野で多角的に事業を展開しています。
三菱グループを基盤とする総合力と豊富な資金力が強みで、特に天然ガスや資源分野の利益が高くなっています。
豊かな社会の実現に貢献することを目指して
創業以来の社是である、所期奉公、処事光明、立業貿易の「三綱領」を拠り所とし、公正で健全な事業活動を推進されています。
ではここからは、三菱商事(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
卸売業315社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 14兆5773億円(1位) |
売上高 | 21兆5719億円(1位) |
純利益 | 1兆1806億円(1位) |
純利益率 | 5.5%(10位) |
総資産 | 23兆2269億円(1位) |
卸売業の中で売上高、総資産ともダントツの1位。利益率も高く、純利益率は5.5%の10位、日本の総合商社のトップ企業です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:9兆1093億円
流動負債:6兆6946億円
固定負債:6兆3337億円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.36倍で基準未達、
②は、固定負債6兆3337億円 > 純流動資産2兆4147億円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も高く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2016年に赤字があります。1954年の創立以来初めての赤字で、チリの銅事業などによる減損損失で計4300億円を計上したとのこと。残念ながら基準未達です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 3613億5900万円 |
2015年3月 | 4005億7400万円 |
2016年3月 | -1493億9500万円 |
2017年3月 | 4402億9300万円 |
2018年3月 | 5601億7300万円 |
2019年3月 | 5907億3700万円 |
2020年3月 | 5353億5300万円 |
2021年3月 | 1725億5000万円 |
2022年3月 | 9375億2900万円 |
2023年3月 | 1兆1806億円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = +319.7%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 73.1円 | |
2015年3月 | 82.13円 | 3年平均:41.3円 |
2016年3月 | -31.23円 | |
2017年3月 | 92.6円 | |
2018年3月 | 117.76円 | |
2019年3月 | 124.13円 | |
2020年3月 | 116.17円 | |
2021年3月 | 38.95円 | |
2022年3月 | 211.69円 | 3年平均:173.5円 |
2023年3月 | 269.76円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、毎年しっかり出てますね。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 12.67円/株 | 1.55% |
2011年3月 | 21.67円/株 | 2.82% |
2012年3月 | 21.67円/株 | 3.39% |
2013年3月 | 18.33円/株 | 3.16% |
2014年3月 | 22.67円/株 | 3.55% |
2015年3月 | 23.33円/株 | 2.89% |
2016年3月 | 16.67円/株 | 2.62% |
2017年3月 | 26.67円/株 | 3.33% |
2018年3月 | 36.67円/株 | 3.84% |
2019年3月 | 41.67円/株 | 4.07% |
2020年3月 | 44円/株 | 5.76% |
2021年3月 | 44.67円/株 | 4.28% |
2022年3月 | 50円/株 | 3.26% |
2023年3月 | 60円/株 | 3.79% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは15.64倍であり、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.67倍であり、①のPBRは基準未達です。
②のPER × PBRも26.12で基準未達です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高21.6兆円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | △ | 2016年赤字 |
④収益成長性 | ◎ | +319.7% |
⑤配当 | ◎ | 利回り3.79% |
⑥株価収益率 | △ | 15.64倍 |
⑦株価純資産倍率 | × | 1.67倍 PER×PBRもNG |
財務状況と収益安定性、株価収益率/純資産倍率の4項目で基準未達となり、
三菱商事(株)は割安株に該当しません!
という結果となりました。
成長性と配当はしっかりですが、負債が多く、赤字あり、利益に対して株価も高いですね。仕方ありません。
あらゆる産業知見とグローバルネットワークを駆使したインテリジェンスを有機的に「つなげ」・「つながる」ことで、当社ならではの総合力を強化していく。
収益基盤の維持・拡大とともに、Energy Transformation(EX)関連やDigital Transformation(DX)関連・成長分野への投資などを通じて、着実に成長し2024年度に8,000億円の当期純利益とROE二桁水準の維持・向上を目指されるそう。今後に期待ですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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