
こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである(株)高島屋【8233】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。


この記事でわかること
・バリュー投資の7つの基準に沿った高島屋の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・高島屋は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株は何か?を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。


(株)高島屋【8233】 の基本情報
・設立年月日 1919年8月20日
・上場年月日 1949年5月
・業種 小売業
・特色 東京、大阪など全国展開する老舗百貨店。シンガポール店とSC子会社・東神開発の寄与大きい。
・資本金 660億円
・従業員数 (単独)4,140人 (連結)7,028人
・株価 1,730円(2023.1.15)
・単元 100株
・決算 2月末日


高島屋は、大阪の難波に本社を置く老舗の大手百貨店で、同社を中心としたハイランドグループ(highland=高島)を形成しています。1831年(天保2年)京都で創業者である飯田新七が古着・木綿商を開き、義父の飯田儀兵衛の出身地である近江国高島郡南新保村(現・滋賀県高島市今津町南新保)から髙島屋と名付けたそう。
売上高は1,000億円を超える店舗数では大手百貨店グループの中で最も多く、大型店が多いのが特徴です。シンボルとしてバラの花を採用しており、「バラの包みの髙島屋」として包装紙や紙袋などに採用されています。
百貨店業界において、J.フロントリテイリング(大丸・松坂屋)や三越伊勢丹ホールディングス、エイチ・ツー・オー リテイリング(阪急阪神百貨店)、そごう・西武の発足といった業界の再編が進む中、同社は大手百貨店グループの中では他社と合併せずに独立系を保っています。
創業の精神は「店是」
・確実なる品を廉価にて販売し、自他の利益を図るべし
・正札掛値なし
・商品の良否は、明らかにこれを顧客に告げ、一転の虚偽あるべからず
・顧客の待遇を平等にし、いやしくも貧富貴賎に依りて差等を附すべからず
経営理念は「いつも、人から。」
「人を信じ、人を愛し、人につくす」こころを大切にし、企業メッセージには「’変わらない’のに、あたらしい。」を掲げ、変えてはならないものと変えるべきものを明確にしつつ、進化していくことを目指されています。
ではここからは、(株)高島屋に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
小売業100社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 2867億5600万円(26位) |
売上高 | 7611億2400万円(11位) |
営業利益 | 41億1000万円(89位) |
経常利益 | 69億300万円(78位) |
純利益 | 53億6000万円(68位) |
営業利益率 | 0.5%(95位) |
純利益率 | 0.7%(95位) |
総資産 | 1兆2147億円(7位) |
負債 | 7793億7500万円(7位) |
その他製品の中で売上高は11位、総資産は7位。利益率は低めで、純利益率は0.7%の95位、日本の大手百貨店の一社であり、事業規模は十分です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「年内に現金になる資産(流動資産)が、年内に支払うべき負債(流動負債)の2倍以上であること」。 また、②「来年以降に支払うべき負債(長期負債=固定負債)が、流動資産からすべての負債を差し引いた純流動資産を超えていないこと」。
2022年2月期の決算短信によると、
流動資産:2698億2800万円
流動負債:3528億1500万円
固定負債:3710億3000万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 0.76倍で基準未達、
②も、固定負債3710億3000万円 > 純流動資産-829億8700万円 で基準未達となり、
よって、流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も高いですね。残念ながら、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2021年に赤字があります。新型コロナの感染拡大防止による臨時休業や営業時間短縮に加え、外出自粛の動きによって入店客数、売上ともに前年を大きく下回った影響とのこと。残念ながら基準未達です。
年度 | 純利益 |
2013年2月 | 165億4000万円 |
2014年2月 | 187億1600万円 |
2015年2月 | 225億8100万円 |
2016年2月 | 238億2900万円 |
2017年2月 | 208億7000万円 |
2018年2月 | 236億5800万円 |
2019年2月 | 164億4300万円 |
2020年2月 | 160億2800万円 |
2021年2月 | -339億7000万円 |
2022年2月 | 53億6000万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
IR情報を確認すると、EPSの最初の3年平均が115.4円、直近の3年平均が-26.1円なので、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = -122.6%となり、基準未達です。
年度 | EPS | |
2013年2月 | 99.99円 | |
2014年2月 | 113.47円 | 3年平均:115.4円 |
2015年2月 | 132.6円 | |
2016年2月 | 135.76円 | |
2017年2月 | 119.43円 | |
2018年2月 | 135.39円 | |
2019年2月 | 94.1円 | |
2020年2月 | 93.29円 | |
2021年2月 | -203.74円 | 3年平均:-26.1円 |
2022年2月 | 32.15円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、毎年しっかり出てますね。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年2月 | 20円/株 | 1.46% |
2011年2月 | 20円/株 | 1.49% |
2012年2月 | 20円/株 | 1.61% |
2013年2月 | 20円/株 | 1.38% |
2014年2月 | 20円/株 | 1.13% |
2015年2月 | 20円/株 | 0.89% |
2016年2月 | 24円/株 | 1.33% |
2017年2月 | 24円/株 | 1.19% |
2018年2月 | 24円/株 | 1.1% |
2019年2月 | 24円/株 | 1.64% |
2020年2月 | 24円/株 | 2.38% |
2021年2月 | 24円/株 | 2.22% |
2022年2月 | 24円/株 | 2.14% |
なお、株主優待は2月末および8月末の権利確定で100株以上保有の場合、「株主様優待カード」がもらえ、高島屋各店での割引対象商品の買い物について、利用限度額(100~500株は30万円、500株以上は限度額なし)の範囲内で10%の割引が受けられます。
また、高島屋文化催に3名まで無料で入場することができます。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PER(株価収益率)」が15倍以下であること。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは11.03倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBR(株価純資産倍率)が1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.66倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBRも7.28で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高7611億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | △ | 2021年赤字 |
④収益成長性 | × | -122.6% |
⑤配当 | 〇 | 利回り2.14% |
⑥株価収益率 | 〇 | 11.03倍 |
⑦株価純資産倍率 | ◎ | 0.66倍 |
財務状況と収益安定性/成長性の3項目で基準未達となり、「(株)高島屋は割安株に該当しない」という結果となりました。配当はしっかり、PERとPBRは低いものの、負債が多く、赤字あり、成長性も低いとあれば厳しいです。仕方ありません。
高島屋では、百貨店は売上の減少や、商品利益率の低下、営業費の高止まりによって、利益の確保が難しくなっている状況に対し、大阪・京都・日本橋・横浜・新宿の大型5店の構造改革によって、新しい百貨店の運営モデルを構築し、当社グループのブランド価値の源泉である百貨店の営業力強化と収益安定化を図るとのこと。
最優先課題である、「魅力ある品揃え」を実現するために、仕入体制の強化を図ってまいります。収益安定化に向けては、顧客がが生涯を通じて髙島屋をご利用することで得られる価値を示す「ライフタイムバリュー(LTV)」の向上などに取り組まれるそう。今後もなかなか厳しそうな百貨店業ですが、生き残りに向けてブランド価値を高めていけるか。今後に期待ですね。
というわけで現時点では、
「バリュー投資」の7つの基準をすべてクリアしているのは、
・コムシスホールディングス【1721】
・積水ハウス【1928】
・宝ホールディングス【2531】
・SUMCO【3436】
・東ソー【4042】
・日本ガイシ【5333】
・アマダ【6113】
・太陽誘電【6976】
・日東電工【6988】
・ヤマハ発動機【7272】
・凸版印刷【7911】
の11社となりました。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。


以上、皆さんの参考になれば幸いです。




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