
こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである(株)INPEX【1605】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。


この記事でわかること
・バリュー投資の7つの基準に沿った(株)INPEX【1605】の評価
どんな会社?
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・(株)INPEX【1605】は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株は何か?を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。


(株)INPEX【1605】の基本情報
・設立年月日 2006年4月3日
・上場年月日 2006年4月3日
・業種 鉱業
・特色 原油・ガス開発生産国内最大手。政府が黄金株保有。豪州でLNG案件(イクシス)を操業。
・資本金 290,089百万円
・従業員数 (単独)1,380人 (連結)3,189人
・株価 1,510円(2022.5.24)
・単元 100株
・決算 12月末日


主な事業は、石油・天然ガス、その他の鉱物資源の調査、探鉱、開発、生産、販売及び同事業に付帯関連する事業、それらを行う企業に対する投融資で、国内外で幅広く事業展開されています。今後、エネルギー開発・安定供給の責任を果たしつつ、2050年ネットゼロカーボン社会の実現に向けたエネルギー構造の変革に積極的に取り組むとのことです。
経営理念は、
私たちは、エネルギーの開発・生産・供給を、持続可能な形で実現することを通じて、より豊かな社会づくりに貢献します。
とのこと。最近よくテレビCMでお見掛けしますね。昨今の石油価格の上昇もあって株価も右肩上がりで、注目が高まっています。そしてインペックスは実は国策銘柄。経済産業大臣が株式の18%保有する上に東京証券取引所では唯一の黄金株(株を持っていれば株主総会での拒否権を持つ株式で、経済産業大臣が所有)となっています。
ではここからは、(株)INPEXに対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
鉱業7社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 1兆6041億円(1位) |
売上高 | 1兆2443億円(1位) |
営業利益 | 5906億5700万円(1位) |
経常利益 | 6576億2700万円(1位) |
純利益 | 2230億4800万円(1位) |
営業利益率 | 47.47%(1位) |
経常利益率 | 52.85%(1位) |
当期利益率 | 17.92%(2位) |
株主資本 | 3兆3464億円(1位) |
総負債 | 1兆8117億円(1位) |
総資産 | 5兆1581億円(1位) |
当期利益率が2位である以外はすべて業界1位。総負債も1兆超えとスケールがすごいです。もちろん事業規模は文句なしのレベルです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「年内に現金になる資産(流動資産)が、年内に支払うべき負債(流動負債)の2倍以上であること」。 また、②「来年以降に支払うべき負債(長期負債=固定負債)が、流動資産からすべての負債を差し引いた純流動資産を超えていないこと」。
2022年3月期の決算短信では、(株)INPEXの流動資産は763,446百万円、流動負債は485,778百万円、固定負債は1,671,807百万円なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.57倍なので基準未達、
②は、固定負債1,671,807百万円 > 純流動資産277,668百万円 なので基準未達となり、
よって、残念ながら①②とも基準未達となります。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
INPEXの業績を確認すると、2020年12月決算で純利益が赤字であり、残念ながら基準未達です。
年度 | 純利益 |
2013年3月 | 1829億6100万円 |
2014年3月 | 1836億9000万円 |
2015年3月 | 778億2000万円 |
2016年3月 | 167億7700万円 |
2017年3月 | 461億6800万円 |
2018年3月 | 403億6200万円 |
2019年3月 | 961億600万円 |
2019年12月 | 1235億5000万円 |
2020年12月 | -1116億9900万円 |
2022年3月 | 2230億4800万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
日本水産のIR情報を確認すると、EPSの最初の3年平均が101.40円、直近の3年平均が53.99円なので、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = -47%であり、基準未達となります。
年度 | EPS | |
2013年3月 | 125.12円 | |
2014年3月 | 125.78円 | 最初の3年平均:101.40円 |
2015年3月 | 53.29円 | |
2016年3月 | 11.49円 | |
2017年3月 | 31.61円 | |
2018年3月 | 27.64円 | |
2019年3月 | 65.81円 | |
2019年12月 | 84.61円 | |
2020年12月 | -76.5円 | 直近の3年平均:53.99円 |
2021年12月 | 153.87円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
INPEXのIR情報を確認すると、2010年以降配当は欠かさず出ており、基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 13.75円/株 | 0.8% |
2011年3月 | 15円/株 | 0.95% |
2012年3月 | 17.5円/株 | 1.25% |
2013年3月 | 17.5円/株 | 1.4% |
2014年3月 | 18円/株 | 1.34% |
2015年3月 | 18円/株 | 1.36% |
2016年3月 | 18円/株 | 2.11% |
2017年3月 | 18円/株 | 1.64% |
2018年3月 | 18円/株 | 1.37% |
2019年3月 | 24円/株 | 2.27% |
2020年3月 | 30円/株 | 2.64% |
2021年3月 | 24円/株 | 4.32% |
2022年3月 | 48円/株 | 4.79% |
なお、株主優待は12月末の権利確定で400株以上で1000~3000円相当、800株以上で2000~5000円相当のQUOカードがもらえます。


⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PER(株価収益率)」が15倍以下であること。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは7.02倍、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBR(株価純資産倍率)が1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.63倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も 4.42 で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高1兆2443億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | △ | 2020年赤字 |
④収益成長性 | × | -47% |
⑤配当 | ◎ | 利回り4.79%+優待あり |
⑥株価収益率 | ◎ | 7.02倍 |
⑦株価純資産倍率 | ◎ | 0.63倍 |
財務状況、収益安定性、収益成長性の3項目において基準未達となり、残念ながら「(株)INPEXは割安株には該当しない」という結果となりました。鉱業という業種の性質上、業界では圧倒的トップ企業ではあるものの、長期負債が大きいことと収益の安定性、成長性に乏しい点はバリュー投資という評価では厳しいと言わざるを得ません。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。






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