こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである(株)長谷工コーポレーション【1808】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った長谷工コーポレーションの評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・長谷工コーポレーションは割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
(株)長谷工コーポレーション【1808】の基本情報
・設立年月日 1946年8月22日
・上場年月日 1961年10月
・業種 建設業
・特色 マンション建築首位。土地手当て、計画立案から施工まで一貫モデル構築。販売や管理、仲介も。
・従業員数 (単独)2,447人 (連結)7,829人
・株価 1,717円(2024.8.14)
・単元 100株
・決算 3月末日
大手ゼネコンの一社で、事業内容は、建設事業、不動産事業、エンジニアリング事業。関東地方でのマンション開発を中心とした建設会社・デベロッパーでマンション建築では業界トップ。
自社開発物件のほか、住友不動産、野村不動産、三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンスなど同業デベロッパーが売主となるマンション建設(主に大型物件)も担われています。
マンションに特化することによる自社の強み、他社との差別化力、潔さを感じます。
都市と人間の最適な生活環境を創造し、社会に貢献する。
グループスローガンには、「住まいと暮らしの創造企業グループ」を掲げ、マンションという居住形態を広く普及させ、業界に先駆けたさまざまな技術開発によって豊かな住み方を追求されています。
ではここからは、(株)長谷工コーポレーションに対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
建設業100社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 4686億9700万円(10位) |
売上高 | 1兆944億円(9位) |
純利益 | 560億3800万円(7位) |
純利益率 | 5.1%(28位) |
総資産 | 1兆2194億円(9位) |
建設業の中で売上高、総資産とも9位。利益率は高めで純利益率は5.1%の28位、マンション建築では国内トップ企業です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2024年3月期の決算短信によると、
流動資産:1兆217億円
流動負債:3943億8300万円
固定負債:4456億100万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 2.59倍で基準達成、
②も、固定負債4456億円 < 純流動資産6273億円 で基準達成となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も低く、健全な財務状況です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
長谷工コーポレーションの業績を確認すると、さすが利益率が高いだけあって利益はしっかり。全く赤字はなく、基準達成です。
年度 | 純利益 |
2015年3月 | 285億3000万円 |
2016年3月 | 512億2600万円 |
2017年3月 | 587億6200万円 |
2018年3月 | 722億8900万円 |
2019年3月 | 873億9100万円 |
2020年3月 | 598億5100万円 |
2021年3月 | 482億5800万円 |
2022年3月 | 544億9000万円 |
2023年3月 | 593億2600万円 |
2024年3月 | 560億3800万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均 ) / 最初の3年平均 × 100 = +34.5%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2015年3月 | 94.95円 | |
2016年3月 | 170.41円 | 3年平均:153.6円 |
2017年3月 | 195.48円 | |
2018年3月 | 241.98円 | |
2019年3月 | 293.87円 | |
2020年3月 | 201.37円 | |
2021年3月 | 168.62円 | |
2022年3月 | 198.31円 | |
2023年3月 | 216.09円 | 3年平均:206.6円 |
2024年3月 | 205.45円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
長谷工コーポレーションのIR情報を確認すると、2013年が無配であり、残念ながら基準未達です。ただ最近4年の配当利回りは5%前後であり、かなりの高配当ですね。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2013年3月 | 0円/株 | 0% |
2014年3月 | 3円/株 | 0.46% |
2015年3月 | 10円/株 | 0.85% |
2016年3月 | 15円/株 | 1.43% |
2017年3月 | 30円/株 | 2.49% |
2018年3月 | 50円/株 | 3.09% |
2019年3月 | 80円/株 | 5.75% |
2020年3月 | 70円/株 | 6.05% |
2021年3月 | 70円/株 | 4.52% |
2022年3月 | 80円/株 | 5.69% |
2023年3月 | 80円/株 | 5.2% |
2024年3月 | 85円/株 | 4.48% |
なお、株主優待は9月末と3月末の権利確定で100株以上で長谷工あんしんデリの「たなかみ米」と「ANAカレーとたなかみ米のコラボ商品」が20%割引、さらに3月末は長谷工リフォームでの室内リフォーム工事代金が3%割引、長谷工リアルエステートでの不動産売買の仲介手数料10%割引もあります。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは8.84倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.91倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も 8.04 で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高1.1兆円 |
②財務状況 | 〇 | 問題なし |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | 〇 | +34.5% |
⑤配当 | △ | 2013年無配 |
⑥株価収益率 | ◎ | 8.84倍 |
⑦株価純資産倍率 | ◎ | 0.91倍 |
配当のみが基準未達となり、
(株)長谷工コーポレーションは割安株には該当しません!
という結果となりました。
ただ、利益率の高さに裏付けられた財務状況の良さや直近の配当利回りの高さはすばらしく、割安株としてはクリアならず、とはなりましたがなかなか優秀な銘柄の一つではないでしょうか。
分譲マンションを中心に、賃貸・高齢者住宅や商業・介護・子育て・健康・医療・教育等を組み合わせ、ハード・ソフト両面から「住まいと暮らしの創造企業グループ」における更なる飛躍を目指す。
新規の住宅供給等を主なマーケットとする建設関連事業と既存の住宅関連等を中心とするサービス関連事業の両方に軸足をおき、コア事業である分譲マンション建設での優位性を維持・強化していくとのこと。今後も期待できそうですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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