
こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである鹿島建設(株)【1812】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。


この記事でわかること
・バリュー投資の7つの基準に沿った鹿島建設(株)【1812】の評価
どんな会社?
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・鹿島建設(株)【1812】は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株は何か?を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。


鹿島建設(株)【1812】の基本情報
・設立年月日 1930年2月22日
・上場年月日 1961年10月
・業種 建設業
・特色 最大手ゼネコンの一角。同族色。超高層、耐震、原発技術に強み。国内外の不動産開発に実績。
・資本金 814億円
・従業員数 (単独)8,134人 (連結)19,261人
・株価 1,384円(2022.5.27)
・単元 100株
・決算 3月末日


事業内容は、土木建築及び機器装置その他建設工事全般に関する請負又は受託。建設プロジェクト並びに地域開発、都市開発、海洋開発、宇宙開発、資源開発、環境整備、エネルギー供給等のプロジェクトに関する調査、研究、評価、診断、企画、測量、設計、監理、調達、運営管理、技術指導その他総合的エンジニアリング、マネージメント及びコンサルティングなどなど。国内外で幅広い事業を展開しています。
1840年(天保11年)の創業以来、「全社一体となって、科学的合理主義と人道主義に基づく創造的な進歩と発展を図り、社業の発展を通じて社会に貢献する」という経営理念を掲げられています。
ではここからは、鹿島建設(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
建設業194社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 7237億3000万円(5位) |
売上高 | 2兆796億円(3位) |
営業利益 | 1233億8200万円(3位) |
経常利益 | 1521億300万円(3位) |
純利益 | 1038億6700万円(3位) |
営業利益率 | 5.93%(73位) |
経常利益率 | 7.31%(52位) |
当期利益率 | 4.99%(57位) |
株主資本 | 9535億6600万円(4位) |
総負債 | 1兆3841億円(3位) |
総資産 | 2兆3377億円(4位) |
建設業の中で売上高は第3位。総資産も第4位で建設業界の最大手の一社。この規模ですから営業利益率は少し控え目。もちろん事業規模は文句なしのレベルです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「年内に現金になる資産(流動資産)が、年内に支払うべき負債(流動負債)の2倍以上であること」。 また、②「来年以降に支払うべき負債(長期負債=固定負債)が、流動資産からすべての負債を差し引いた純流動資産を超えていないこと」。
2022年3月期の決算短信では、鹿島建設の流動資産は1,390,711百万円、流動負債は1,107,668百万円、固定負債は276,507百万円なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.26倍なので基準未達、
②は、固定負債276,507百万円 < 純流動資産283,043百万円 で基準達成となり、
よって、流動負債が多く、流動資産が少ないことがネックとなり基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
鹿島建設の業績を確認すると、特に2016年以降の利益はしっかり。全く赤字はなく、基準達成です。
年度 | 純利益 |
2013年3月 | 234億2900万円 |
2014年3月 | 207億5200万円 |
2015年3月 | 151億3900万円 |
2016年3月 | 723億2300万円 |
2017年3月 | 1048億5700万円 |
2018年3月 | 1267億7800万円 |
2019年3月 | 1098億3900万円 |
2020年3月 | 1032億4200万円 |
2021年3月 | 985億2200万円 |
2022年3月 | 1038億6700万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
鹿島建設のIR情報を確認すると、EPSの最初の3年平均が37.81円、直近の3年平均が200.71円なので、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = 430.8%であり、基準達成となります。
年度 | EPS | |
2013年3月 | 44.32円 | |
2014年3月 | 39.96円 | 最初の3年平均:37.81円 |
2015年3月 | 29.16円 | |
2016年3月 | 139.31円 | |
2017年3月 | 202.02円 | |
2018年3月 | 244.29円 | |
2019年3月 | 211.67円 | |
2020年3月 | 200.99円 | |
2021年3月 | 193.13円 | 直近の3年平均:200.71円 |
2022年3月 | 208円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
鹿島建設のIR情報を確認すると、 毎年しっかり配当を出されており、基準達成です。毎年ではないですが、増配もきっちりできている点も好印象ですね。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 12円/株 | 2.62% |
2011年3月 | 12円/株 | 2.58% |
2012年3月 | 10円/株 | 1.98% |
2013年3月 | 10円/株 | 1.95% |
2014年3月 | 10円/株 | 1.38% |
2015年3月 | 10円/株 | 0.9% |
2016年3月 | 24円/株 | 1.7% |
2017年3月 | 40円/株 | 2.75% |
2018年3月 | 48円/株 | 2.43% |
2019年3月 | 50円/株 | 3.06% |
2020年3月 | 50円/株 | 4.51% |
2021年3月 | 54円/株 | 3.44% |
2022年3月 | 58円/株 | 3.89% |
なお、株主優待制度は実施していません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PER(株価収益率)」が15倍以下であること。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは8.02倍、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBR(株価純資産倍率)が1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.72倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も 5.77 で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高2兆796億円 |
②財務状況 | △ | 流動負債多い |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | ◎ | +430.8% |
⑤配当 | ◎ | 利回り3.89% |
⑥株価収益率 | ◎ | 8.02倍 |
⑦株価純資産倍率 | ◎ | 0.72倍 |
財務状況のみ未達で、残念ながら「鹿島建設(株)は割安株には該当しない」という結果となりました。ただ、大成建設と同じパターンで、 流動負債と流動資産のバランスが少し基準に足りないだけでだけで、内容はかなり優秀です。配当もしっかり増配できている点にも好感が持てます。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。






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