
こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである(株)長谷工コーポレーション【1808】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。


この記事でわかること
・バリュー投資の7つの基準に沿った(株)長谷工コーポレーション【1808】の評価
どんな会社?
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・(株)長谷工コーポレーション【1808】は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株は何か?を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。


(株)長谷工コーポレーション【1808】の基本情報
・設立年月日 1946年8月22日
・上場年月日 1961年10月
・業種 建設業
・特色 マンション建築首位。土地手当て、計画立案から施工まで一貫モデル構築。販売や管理、仲介も。
・資本金 575億円
・従業員数 (単独)2,509人 (連結)7,691人
・株価 1,546円(2022.5.27)
・単元 100株
・決算 3月末日


事業内容は、建設事業、不動産事業、エンジニアリング事業。「都市と人間の最適な生活環境を創造し、社会に貢献する。」を企業理念に、グループ全体でマンションを中心とした様々な事業を展開しています。
2022年2月で創業85年を迎え、「住まいと暮らしの創造企業グループ」として更なる飛躍を目指されています。
ではここからは、(株)長谷工コーポレーションに対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
建設業194社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 4340億4600万円(9位) |
売上高 | 9097億800万円(9位) |
営業利益 | 827億200万円(7位) |
経常利益 | 818億7100万円(7位) |
純利益 | 544億9000万円(7位) |
営業利益率 | 9.09%(20位) |
経常利益率 | 9.0%(25位) |
当期利益率 | 5.99%(33位) |
株主資本 | 4176億6700万円(9位) |
総負債 | 6642億4000万円(8位) |
総資産 | 1兆819億円(8位) |
建設業の中で売上高は第9位。総資産も第8位で相当な大きさ。営業利益率についてもこの規模の企業としては高めの9%。マンション最大手の強みですね。もちろん事業規模は文句なしのレベルです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「年内に現金になる資産(流動資産)が、年内に支払うべき負債(流動負債)の2倍以上であること」。 また、②「来年以降に支払うべき負債(長期負債=固定負債)が、流動資産からすべての負債を差し引いた純流動資産を超えていないこと」。
2022年3月期の決算短信では、長谷工コーポレーションの流動資産は810,079百万円、流動負債は350,543百万円、固定負債は313,697百万円なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 2.31倍なので基準達成、
②は、固定負債313,697百万円 < 純流動資産459,536百万円 なのでこれも基準達成となり、
よって、①②とも問題なく基準達成です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
長谷工コーポレーションの業績を確認すると、さすが利益率が高いだけあって利益はしっかり。全く赤字はなく、基準達成です。
年度 | 純利益 |
2013年3月 | 130億6400万円 |
2014年3月 | 248億3000万円 |
2015年3月 | 285億3000万円 |
2016年3月 | 512億2600万円 |
2017年3月 | 587億6200万円 |
2018年3月 | 722億8900万円 |
2019年3月 | 873億9100万円 |
2020年3月 | 598億5100万円 |
2021年3月 | 482億5800万円 |
2022年3月 | 544億9000万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
長谷工コーポレーションのIR情報を確認すると、EPSの最初の3年平均が73.66円、直近の3年平均が189.43円なので、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = 157.2%であり、基準達成となります。
年度 | EPS | |
2013年3月 | 43.43円 | |
2014年3月 | 82.59円 | 最初の3年平均:73.66円 |
2015年3月 | 94.95円 | |
2016年3月 | 170.41円 | |
2017年3月 | 195.48円 | |
2018年3月 | 241.98円 | |
2019年3月 | 293.87円 | |
2020年3月 | 201.37円 | |
2021年3月 | 168.62円 | 直近の3年平均:189.43円 |
2022年3月 | 198.31円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
長谷工コーポレーションのIR情報を確認すると、2013年が無配であり、残念ながら基準未達です。ただ最近4年の配当利回りは5%前後であり、かなりの高配当ですね。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2013年3月 | 0円/株 | 0% |
2014年3月 | 3円/株 | 0.46% |
2015年3月 | 10円/株 | 0.85% |
2016年3月 | 15円/株 | 1.43% |
2017年3月 | 30円/株 | 2.49% |
2018年3月 | 50円/株 | 3.09% |
2019年3月 | 80円/株 | 5.75% |
2020年3月 | 70円/株 | 6.05% |
2021年3月 | 70円/株 | 4.52% |
2022年3月 | 80円/株 | 5.69% |
なお、株主優待は9月末の権利確定で100株以上で長谷工あんしんデリの「たなかみ米」と「ANAカレーとたなかみ米のコラボ商品」が20%割引、3月末の権利確定で100株以上で 100株以上で長谷工あんしんデリの「たなかみ米」と「ANAカレーとたなかみ米のコラボ商品」が20%割引、 さらに長谷工リフォームでの室内リフォーム工事代金が3%割引、長谷工リアルエステートでの不動産売買の仲介手数料10%割引となります。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PER(株価収益率)」が15倍以下であること。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは7.45倍、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBR(株価純資産倍率)が1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.02倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も 7.60 で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高9097億円 |
②財務状況 | 〇 | 問題なし |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | ◎ | +157.2% |
⑤配当 | △ | 2013年無配 利回り5.69% |
⑥株価収益率 | ◎ | 7.45倍 |
⑦株価純資産倍率 | 〇 | 1.02倍 |
配当のみ未達で、残念ながら「(株)長谷工コーポレーションは割安株には該当しない」という結果となりました。ただ、利益率の高さに裏付けられた財務状況の良さや直近の配当利回りの高さはすばらしく、割安株としては非該当とはなりましたがなかなか優秀な銘柄の一つではないかと考えられます。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。






下のバナーをクリックいただけると励みになります!
コメント