こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである大和ハウス工業(株)【1925】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った大和ハウス工業の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・大和ハウス工業は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
大和ハウス工業(株)【1925】の基本情報
・設立年月日 1947年3月
・上場年月日 1961年9月
・業種 建設業
・特色 賃貸住宅、商業施設、物流など事業施設の3本柱。戸建てや内外の都市開発も。配当性向35%超。
・従業員数 (単独)16,135人 (連結)48,483人
・株価 4,354円(2024.8.14)
・単元 100株
・決算 3月末日
事業内容は、戸建住宅をコア事業に、賃貸住宅、分譲マンション、商業施設、事業施設(物流施設、医療・介護施設等)、環境エネルギーなど幅広い事業を展開しています。
社名の由来は、創業者の出身地で創業地である奈良の「大和国」(やまとこく) に因み、「大いなる和をもって経営に当たりたい」ということから「やまと」ではなく「だいわ」の読みにしたそう。
ユニークなCMが印象的で、賃貸住宅事業ではトップを独走する企業です。
一、事業を通じて人を育てること
一、企業の前進は先づ従業員の生活環境の確立に直結すること
一、近代化設備と良心的にして誠意にもとづく労働の生んだ商品は社会全般に貢献すること
一、我々の企業は我々役職員全員の一糸乱れざる団結とたゆまざる努力によってのみ発展すること
一、我々は、相互に信頼し協力すると共に常に深き反省と責任を重んじ積極的相互批判を通じて生々発展への大道を邁往すること
経営ビジョンには「心を、つなごう」を掲げ、「人・街・暮らしの価値共創グループ」として、顧客と共に新たな価値を創り、活かし、高め、人が心豊かに生きる社会の実現を目指されています。
ではここからは、大和ハウス工業(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
建設業100社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 2兆7857億円(1位) |
売上高 | 5兆2029億円(1位) |
純利益 | 2987億5200万円(1位) |
純利益率 | 5.7%(16位) |
総資産 | 6兆7239億円(1位) |
建設業の中で売上高、総資産とも抜けた1位。利益率も高く、純利益率は5.7%の16位、圧倒的な総合力を持つ建設業の国内トップ企業です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2024年3月期の決算短信によると、
流動資産:3兆6500億円
流動負債:1兆5314億円
固定負債:2兆4785億円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 2.38倍で基準達成、
②は、固定負債2.5兆円 > 純流動資産2.1兆円 で基準未達となり、
流動資産に対して固定負債の割合が高く、残念ながら基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
大和ハウス工業の業績を確認すると、特に2017年以降は2000億円を超える利益を安定して出しています。全く赤字はなく、基準達成です。
年度 | 純利益 |
2015年3月 | 1171億3300万円 |
2016年3月 | 1035億7700万円 |
2017年3月 | 2017億円 |
2018年3月 | 2363億5700万円 |
2019年3月 | 2374億3900万円 |
2020年3月 | 2336億300万円 |
2021年3月 | 1950億7600万円 |
2022年3月 | 2252億7200万円 |
2023年3月 | 3083億9900万円 |
2024年3月 | 2987億5200万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均 ) / 最初の3年平均 × 100 = +99.0%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2015年3月 | 177.74円 | |
2016年3月 | 156.4円 | 3年平均:212.8円 |
2017年3月 | 304.13円 | |
2018年3月 | 355.87円 | |
2019年3月 | 357.29円 | |
2020年3月 | 351.84円 | |
2021年3月 | 297.18円 | |
2022年3月 | 343.82円 | |
2023年3月 | 469.12円 | 3年平均:423.4円 |
2024年3月 | 457.16円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
大和ハウス工業のIR情報を確認すると、 毎年しっかり配当を出されており問題ありません。連続増配されている点も好印象ですね。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 17円/株 | 1.61% |
2011年3月 | 20円/株 | 1.96% |
2012年3月 | 25円/株 | 2.29% |
2013年3月 | 35円/株 | 1.92% |
2014年3月 | 50円/株 | 1.92% |
2015年3月 | 60円/株 | 2.86% |
2016年3月 | 80円/株 | 2.53% |
2017年3月 | 92円/株 | 2.88% |
2018年3月 | 107円/株 | 2.61% |
2019年3月 | 114円/株 | 3.24% |
2020年3月 | 115円/株 | 4.29% |
2021年3月 | 116円/株 | 3.58% |
2022年3月 | 126円/株 | 3.94% |
2023年3月 | 130円/株 | 4.17% |
2024年3月 | 143円/株 | 3.16% |
なお、株主優待は3月末の権利確定でダイワロイヤルホテルなど、全国の大和ハウスグループが運営する施設で利用できる共通利用券100株以上で1000円分、最大5000株以上で50,000円まで保有株数に応じた額の利用券がもらえます。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは10.78倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.12倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も 12.07で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高5.2兆円 |
②財務状況 | △ | 固定負債多い |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | 〇 | +99.0% |
⑤配当 | ◎ | 利回り3.16%+優待あり |
⑥株価収益率 | 〇 | 11.53倍 |
⑦株価純資産倍率 | 〇 | 1.12倍 |
財務状況のみが未達となり、
鹿島建設(株)は割安株には該当しません!
という結果となりました。
固定負債だけがちょっと多く基準未達となりましたが、その他項目はしっかりクリアできており、非常に惜しいところでした。毎年連続増配されている点もすごく好感が持てます。
建物を建てることだけにとどまらず、そこに生きる人々の暮らしを支え、また生活インフラ全体における社会課題の解決に向けた新たな価値創出を実現することで、さらなる成長を目指す。
土地を起点とした複合的な事業提案力を最大の強みとし、生活インフラや住まい方・暮らし方を含む、“まち”全体に対して複合的な事業を提案する力を、今まで以上に強化していくそう。今後に期待ですね。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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