
こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つであるサッポロホールディングス(株)【2501】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。


この記事でわかること
・バリュー投資の7つの基準に沿ったサッポロホールディングス(株)【2501】 の評価
どんな会社?
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・サッポロホールディングス(株)【2501】 は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株は何か?を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。


サッポロホールディングス(株)【2501】 の基本情報
・設立年月日 1949年9月1日
・上場年月日 1949年10月
・業種 食料品
・特色 ビール類国内有力メーカー。海外は北米が柱。不動産に強み。外食も。ポッカと経営統合。
・資本金 538億円
・従業員数 (単独)116人 (連結)6,872人
・株価 2,843円(2022.6.11)
・単元 100株
・決算 12月末日


酒類、食品飲料、不動産の分野において、個性あるブランドを育成・強化されており、酒類、食品飲料は海外でも事業を展開しています。
酒類事業については、サッポログループの源流であるビール・酒類事業を担う「サッポロビール株式会社」を中核企業とし、黒ラベルやヱビスなどのブランでも知られる通り、国内及び海外での事業展開を行っています。
食品飲料事業については、「ポッカサッポロ フード&ビバレッジ株式会社」と「サッポログループ食品株式会社」を中核企業とし、国内外における食品飲料の製造販売、カフェチェーンの運営など幅広く事業展開をされています。レモン、飲料、スープ、大豆・チルド、味噌、アイスクリーム、カフェ事業やシンガポールを拠点とした海外でのPOKKAブランド展開なんかもされています。
不動産事業については、1988年にサッポログループの不動産事業を担う会社として設立された「サッポロ不動産株式会社」を中核企業とし、サッポログループのゆかりの地である「札幌」「恵比寿」「銀座」「名古屋」を中心に不動産の賃貸管理・開発、ホテル運営などを事業を展開されています。
個人的には第3のビールのゴールドスターは家で飲むお酒の定番ですし、ポッカレモンなんかもよく使いますね。ビール会社の中では独自のブランド、個性のある存在というイメージです。
経営理念は「潤いを創造し豊かさに貢献する」であり、ブランドと個性を強みとして品質の向上を追求されています。
ではここからは、サッポロホールディングス(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
食料品130社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 1772億8700万円(28位) |
売上高 | 4371億5900万円(17位) |
営業利益 | 220億2900万円(14位) |
経常利益 | 211億8500万円(19位) |
純利益 | 123億3100万円(24位) |
営業利益率 | 5.04%(39位) |
経常利益率 | 4.85%(60位) |
当期利益率 | 2.82%(74位) |
株主資本 | 1625億7000万円(28位) |
総負債 | 4319億8100万円(5位) |
総資産 | 5945億5100万円(13位) |
食料品の中で売上高は第17位。総資産は第13位で食料品としては最大手の一社であり、ビール会社に限ってはサントリー、アサヒ、キリンから少し離れた4番手。利益率は低めですが、事業規模は文句なしのレベルです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「年内に現金になる資産(流動資産)が、年内に支払うべき負債(流動負債)の2倍以上であること」。 また、②「来年以降に支払うべき負債(長期負債=固定負債)が、流動資産からすべての負債を差し引いた純流動資産を超えていないこと」。
2021年12月期の決算短信では、 サッポロHDの流動資産は155,825百万円、流動負債は201,266百万円、固定負債は228,883百万円なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 0.77倍で基準未達、
②は、固定負債228,883百万円 > 純流動資産-45,441百万円 で基準未達となり、
よって、流動資産に対して流動/固定負債ともにかなり多く、残念ながら基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
サッポロHDの業績を確認すると、思ったより出入りが激しいですね。2020年12月は大きな赤字となっており、基準未達です。
年度 | 純利益 |
2012年12月 | 53億9300万円 |
2013年12月 | 94億5100万円 |
2014年12月 | 3億4000万円 |
2015年12月 | 61億800万円 |
2016年12月 | 94億6900万円 |
2017年12月 | 71億8700万円 |
2018年12月 | 85億2100万円 |
2019年12月 | 43億5600万円 |
2020年12月 | -160億7100万円 |
2021年12月 | 123億3100万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
サッポロHDのIR情報を確認すると、EPSの最初の3年平均が67.9円、直近の3年平均が2.6円なので、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = -96.1%であり、基準未達となります。
年度 | EPS | |
2012年12月 | 68.44円 | |
2013年12月 | 120.99円 | 最初の3年平均:67.9円 |
2014年12月 | 4.36円 | |
2015年12月 | 78.39円 | |
2016年12月 | 121.55円 | |
2017年12月 | 92.27円 | |
2018年12月 | 109.4円 | |
2019年12月 | 55.92円 | |
2020年12月 | -206.31円 | 直近の3年平均:2.6円 |
2021年12月 | 158.3円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
サッポロHDのIR情報を確認すると、 毎年しっかり配当を出されており、基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2009年12月 | 35円/株 | 1.38% |
2010年12月 | 35円/株 | 1.9% |
2011年12月 | 35円/株 | 2.41% |
2012年12月 | 35円/株 | 2.51% |
2013年12月 | 35円/株 | 1.58% |
2014年12月 | 35円/株 | 1.37% |
2015年12月 | 35円/株 | 1.32% |
2016年12月 | 37円/株 | 1.23% |
2017年12月 | 40円/株 | 1.16% |
2018年12月 | 42円/株 | 1.83% |
2019年12月 | 42円/株 | 1.63% |
2020年12月 | 42円/株 | 2.11% |
2021年12月 | 42円/株 | 1.92% |
なお、株主優待は12月末の権利確定で100株以上で①ビール詰め合わせセット(350ml×4本)、②1000円相当の食品・飲料水詰め合わせ、③社会貢献活動への寄付のいずれか一つ、200株以上なら2000円相当、1000株以上なら3000円相当の優待品からの選択となります。さらに3年以上保有している場合は優待品の単価が1.5倍になります。200株以上所有の場合はサッポログループのビール園で使える割引券がもらえます。3年未満の100株保有なら実質0.35%の配当がプラスされる感じですね。




⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PER(株価収益率)」が15倍以下であること。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは17.20倍であり、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBR(株価純資産倍率)が1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.33倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR は22.88で惜しくも基準未達です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高4371億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | △ | 2020年赤字 |
④収益成長性 | × | -96.1% |
⑤配当 | 〇 | 利回り1.92%+優待あり |
⑥株価収益率 | △ | 17.20倍 |
⑦株価純資産倍率 | △ | 1.33倍 PER×PBR=22.88 |
流動資産に対して流動/固定負債が多く、財務状況、収益安定性、収益成長性、株価収益率、株価純資産倍率の5項目が未達成です。残念ながら「 サッポロホールディングス(株)は割安株には該当しない」という結果となりました。黒ラベルやゴールドスターは大好きなんですけど、投資対象としてはなかなか厳しいですね。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。






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