
こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つであるアサヒグループホールディングス(株)【2502】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。


この記事でわかること
・バリュー投資の7つの基準に沿ったアサヒグループホールディングス(株)【2502】 の評価
どんな会社?
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・アサヒグループホールディングス(株)【2502】 は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株は何か?を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。


アサヒグループホールディングス(株)【2502】 の基本情報
・設立年月日 1949年9月1日
・上場年月日 1949年10月
・業種 食料品
・特色 ビール類国内シェア首位級。総合酒類・飲料メーカー。12年にカルピスを買収。欧州に進出。
・資本金 2200億円
・従業員数 (単独)336人 (連結)30,020人
・株価 4,431円(2022.6.11)
・単元 100株
・決算 12月末日


中核事業であるアサヒビール国内酒類事業をはじめ、飲料事業・食品薬品事業、海外事業などを展開されています。
酒類事業については、アサヒビール株式会社が中核企業とし、ビール類、ビール類以外の酒類及びアルコールテイスト飲料を製造・販売しています。ニッカウヰスキーなどもグループ会社であり、各カテゴリーにおいて幅広い商品ラインアップを提供しています。
飲料事業については、アサヒ飲料株式会社を中核企業とし、三ツ矢サイダー、ウィルキンソン、カルピスを中心として、ワンダ、十六茶、おいしい水、バヤリースなど様々なブランドを保有しています。
食品事業については、アサヒグループ食品株式会社を中核企業とし、食品菓子分野、フリーズドライ食品、ベビー関連分野、ヘルスケア分野、通販分野など幅広く事業を展開されています。
アサヒはやっぱりスーパードライですね。個人的にもやっぱり一番好きなビールです。ビール類ではキリンとそれぞれシェア30%台で首位を争っています。
ではここからは、アサヒグループホールディングス(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
食料品130社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 2兆4462億円(2位) |
売上高 | 2兆2360億円(2位) |
営業利益 | 2119億円(1位) |
経常利益 | 1998億2600万円(1位) |
純利益 | 1535億円(2位) |
営業利益率 | 9.48%(11位) |
経常利益率 | 8.94%(17位) |
当期利益率 | 6.86%(17位) |
株主資本 | 1兆7571億円(1位) |
総負債 | 2兆7906億円(1位) |
総資産 | 4兆5477億円(2位) |
食料品の中で売上高は第2位。総資産は第2位で食料品としては最大手の一社であり、ビール会社に限ってはサントリーに次ぐ2番手。利益率も十分高く、事業規模は文句なしのレベルです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「年内に現金になる資産(流動資産)が、年内に支払うべき負債(流動負債)の2倍以上であること」。 また、②「来年以降に支払うべき負債(長期負債=固定負債)が、流動資産からすべての負債を差し引いた純流動資産を超えていないこと」。
2022年12月期の決算短信では、 アサヒグループHDの流動資産は705,272百万円、流動負債は1,280,864百万円、固定負債は1,553,608百万円なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 0.55倍で基準未達、
②は、固定負債1,553,608百万円 > 純流動資産-575,592百万円 で基準未達となり、
よって、流動資産に対して流動/固定負債ともにかなり多く、残念ながら基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
アサヒグループHDの業績を確認すると、全く赤字はなく毎年きっちり利益を上げられています。基準達成です。
年度 | 純利益 |
2012年12月 | 571億8300万円 |
2013年12月 | 617億4900万円 |
2014年12月 | 691億1800万円 |
2015年12月 | 757億7000万円 |
2016年12月 | 892億2100万円 |
2017年12月 | 1410億300万円 |
2018年12月 | 1510億7700万円 |
2019年12月 | 1422億700万円 |
2020年12月 | 928億2600万円 |
2021年12月 | 1535億円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
アサヒグループHDのIR情報を確認すると、EPSの最初の3年平均が134.3円、直近の3年平均が267.0円なので、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = 101.0%であり、基準達成となります。
年度 | EPS | |
2012年12月 | 118.25円 | |
2013年12月 | 135.73円 | 最初の3年平均:134.3円 |
2014年12月 | 148.92円 | |
2015年12月 | 164.82円 | |
2016年12月 | 194.75円 | |
2017年12月 | 307.78円 | |
2018年12月 | 329.8円 | |
2019年12月 | 310.44円 | |
2020年12月 | 196.52円 | 直近の3年平均:267.0円 |
2021年12月 | 302.92円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
サッポロHDのIR情報を確認すると、 毎年しっかり配当を出されており、基準達成です。連続増配もされていて素晴らしいですね。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2009年12月 | 21円/株 | 1.23% |
2010年12月 | 23円/株 | 1.46% |
2011年12月 | 25円/株 | 1.48% |
2012年12月 | 28円/株 | 1.52% |
2013年12月 | 43円/株 | 1.45% |
2014年12月 | 45円/株 | 1.2% |
2015年12月 | 50円/株 | 1.32% |
2016年12月 | 54円/株 | 1.46% |
2017年12月 | 75円/株 | 1.34% |
2018年12月 | 99円/株 | 2.32% |
2019年12月 | 100円/株 | 2.01% |
2020年12月 | 106円/株 | 2.5% |
2021年12月 | 109円/株 | 2.44% |
なお、株主優待は12月末の権利確定で100株以上で1000円相当、500株以上で2000円相当、1000株以上で3000円相当の優待品等がもらえます。選択肢としては、①株主限定プレミアムビール、②酒類商品詰め合わせ、③清涼飲料水・食品詰め合わせ、④環境保全活動への寄附、⑤災害支援活動への寄附の5つから選べます。100株保有なら実質0.2%の配当がプラスされる感じですね。株主限定プレミアムビールは非常に魅力的です。






⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PER(株価収益率)」が15倍以下であること。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは15.33倍であり、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBR(株価純資産倍率)が1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.15倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も17.63で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高2兆2360億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | ◎ | 101.0% |
⑤配当 | 〇 | 利回り2.44%+優待あり |
⑥株価収益率 | △ | 17.20倍 |
⑦株価純資産倍率 | ◎ | 0.90倍 |
流動資産に対して流動/固定負債が多く、財務状況、株価収益率の2項目が未達成です。残念ながら「 アサヒグループホールディングス(株)は割安株には該当しない」という結果となりました。スーパードライは好きですし、優待品のプレミアムビールも非常に魅力的なんですが、やはり負債の大きさは気になります。投資対象としてはなかなか厳しいですね。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。






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