こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つであるキリンホールディングス(株)【2503】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿ったキリンホールディングスの評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・キリンホールディングスは割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
キリンホールディングス(株)【2503】 の基本情報
・設立年月日 1907年2月23日
・上場年月日 1949年5月
・業種 食料品
・特色 ビール類シェア国内首位級。ブラジル撤退で海外はアジア、豪州主力。傘下に医薬の協和キリン。
・資本金 1020億円
・従業員数 (単独)914人 (連結)30,538人
・株価 2,102円(2022.8.2)
・単元 100株
・決算 12月末日
1907年に創業され、ビール事業から始まった後、飲料など食領域において事業を展開し、1980年代以降に発酵・バイオテクノロジーを活用し、医領域、ヘルスサイエンス領域へと事業領域を拡大させています。
現在の基盤はやはり酒類・飲料事業にあたる食領域。グループの祖業領域であり、現在も基盤となる事業領域であり、新型コロナウィルスの影響を大きく受けましたが、回復とさらなる成長実現へ向けて取り組まれており、今後さらに付加価値の高い商品・サービスの構成比を高めていくそうです。
キリンは本麒麟のヒットが大きいですね。私もよく晩酌のお供に飲んでいます。
キリングループは、自然と人を見つめるものづくりで、
「食と健康」の新たなよろこびを広げ、こころ豊かな社会の実現に貢献します
お客様の求めるものを見すえ、自然のもつ力を最大限に引き出し、それらを確かなかたちとして生み出していくモノづくりの技術。こうした技術によって、お客様の期待にお応えする高い品質を追求し、これからも、「夢」と「志」をもって新しいよろこびにつながる「食と健康」のスタイルを一歩進んで提案し、世界の人々の健康・楽しさ・快適さに貢献することを目指されています。
ではここからは、キリンホールディングス(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
食料品100社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 1兆7160億円(4位) |
売上高 | 1兆9894億円(3位) |
営業利益 | 1160億1900万円(5位) |
経常利益 | 1913億8700万円(3位) |
純利益 | 1110億700万円(3位) |
営業利益率 | 5.8%(31位) |
純利益率 | 5.6%(20位) |
総資産 | 2兆4695億円(3位) |
負債 | 1兆2378億円(3位) |
食料品の中で売上高、総資産とも3位の最大手の一社。利益率もまずまずで、純利益率は5.6%の20位。ビール会社に限ってはサントリー、アサヒに続く3番手です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2022年12月期の決算短信によると、
流動資産:8870億2100万円
流動負債:5326億9500万円
固定負債:6563億6500万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.67倍で基準未達、
②も、固定負債6563億円 > 純流動資産3543億円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も高いですね。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
キリンHDの業績を確認すると、2015年に赤字があります。ブラジル子会社の大不振で大きな減損損失が発生したとのこと。残念ながら基準未達です。
年度 | 純利益 |
2013年12月 | 856億5600万円 |
2014年12月 | 323億9200万円 |
2015年12月 | -473億2900万円 |
2016年12月 | 1489億1800万円 |
2017年12月 | 2419億9100万円 |
2018年12月 | 1642億200万円 |
2019年12月 | 596億4200万円 |
2020年12月 | 719億3500万円 |
2021年12月 | 597億9000万円 |
2022年12月 | 1110億700万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均 ) / 最初の3年平均 × 100 = 291.1%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2013年12月 | 90.76円 | |
2014年12月 | 35.27円 | 3年平均:24.9円 |
2015年12月 | -51.87円 | |
2016年12月 | 163.19円 | |
2017年12月 | 265.17円 | |
2018年12月 | 183.57円 | |
2019年12月 | 68円 | |
2020年12月 | 85.57円 | |
2021年12月 | 71.73円 | 3年平均:97.5円 |
2022年12月 | 135.09円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
キリンHDのIR情報を確認すると、 毎年しっかり配当を出されており、基準達成です。連続増配もされていて素晴らしいですね。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2009年12月 | 23円/株 | 1.54% |
2010年12月 | 25円/株 | 2.19% |
2011年12月 | 27円/株 | 2.88% |
2012年12月 | 29円/株 | 2.87% |
2013年12月 | 36円/株 | 2.38% |
2014年12月 | 38円/株 | 2.54% |
2015年12月 | 38円/株 | 2.31% |
2016年12月 | 39円/株 | 2.05% |
2017年12月 | 46円/株 | 1.62% |
2018年12月 | 51円/株 | 2.22% |
2019年12月 | 64円/株 | 2.68% |
2020年12月 | 65円/株 | 2.67% |
2021年12月 | 65円/株 | 3.52% |
2022年12月 | 69円/株 | 3.43% |
なお、株主優待は12月末の権利確定で100株以上でキリンビール詰め合わせセット4本(一番搾りとスプリングバレー)もしくはキリンビバレッジ商品詰め合わせ、さらにプラズマ乳酸菌サプリメント、1000株以上でキリンビール詰め合わせセット12本もしくはキリンビバレッジ商品詰め合わせ、さらにメルシャンワイン詰め合わせとプラズマ乳酸菌サプリメント、キリンホームタップの初月無料クーポンがもらえます。これ以外にもキリンシティお食事券が100株以上で1000円分、1000株以上で3000円分もらえます。ビール好きの方にとってはかなり充実した優待ではないでしょうか。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは15.06倍であり、四捨五入で基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.75倍であり、①のPBRは基準未達です。
②のPER × PBR も26.36で基準未達です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高1兆9894億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | △ | 2015年赤字 |
④収益成長性 | ◎ | +291.1% |
⑤配当 | ◎ | 利回り3.43%+優待あり |
⑥株価収益率 | 〇 | 15.06倍 |
⑦株価純資産倍率 | × | 1.75倍 |
財務状況と収益安定性、株価純資産倍率の3項目で基準未達となり、
キリンホールディングス(株)は割安株には該当しません!
という結果となりました。
流動資産に対して流動/固定負債が多い上、2015年に赤字があります。株価もちょっと高いですね。一番搾りも本麒麟も好きですが、バリュー株という基準で判断すると、投資対象としてはかなり厳しいですね。
強みである発酵・バイオテクノロジーを軸に、食、医、ヘルスサイエンスの各領域で社会的価値と経済的価値を創造する。
キリングループの成長を支えるのは、発酵・バイオテクノロジーを根幹とした技術力に加え、人財、ICT、マーケティングの4つの組織能力と位置づけ、「食領域」の収益性改善と、「医領域」「ヘルスサイエンス領域」の成長に取り組むとのこと。
特に「食領域」では、強固なブランド体系の構築、新たな成長エンジンの育成、収益構造改革、さらには10月の酒税改正により高まるビール需要にあわせ、「ビールの魅力化」に取り組むとのこと。今後に期待ですね。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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