
こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである味の素(株)【2802】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。


この記事でわかること
・バリュー投資の7つの基準に沿った味の素(株)【2802】 の評価
どんな会社?
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・味の素(株)【2802】 は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株は何か?を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。


味の素(株)【2802】 の基本情報
・設立年月日 1925年12月7日
・上場年月日 1949年5月
・業種 食料品
・特色 調味料国内最大手。アミノ酸技術で飼料・医薬など多角化。海外で家庭用食品拡大。M&A積極。
・資本金 798億円
・従業員数 (単独)3,184人 (連結)33,461人
・株価 2,995円(2022.6.19)
・単元 100株
・決算 3月末日


世界一のアミノ酸メーカーとして高品質のアミノ酸の独創的な製法・利用法の開発を通じて事業領域を拡大し、国内外で「食品事業」「アミノサイエンス事業」を柱とした幅広い事業を展開されています。
国内では、100年以上にわたって築かれたブランド力と商品開発力、マーケティング力を強みとし、トップシェアを持つうま味調味料、コンソメ、和風だし、スープ、合わせ調味料などの主力商品を中心にシェアを拡大しています。
海外においても、グローバルな開発・生産・販売体制力、商品開発力とマーケティング力、海外事業インフラを強みとしてタイ、ブラジル、インドネシアなど現地の食文化に適合した風味調味料を展開されています。
今後はアミノ酸のはたらきで食習慣や高齢化に伴う食と健康の課題を解決することにより、あらゆる世代の食習慣の改善、健康寿命の延伸を目指されるとのことです。
ではここからは、味の素(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
食料品126社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 1兆6063億円(4位) |
売上高 | 1兆1493億円(6位) |
営業利益 | 1245億7200万円(3位) |
経常利益 | 1224億7200万円(3位) |
純利益 | 757億2500万円(4位) |
営業利益率 | 10.8%(9位) |
純利益率 | 6.6%(24位) |
総資産 | 1兆4570億円(5位) |
負債 | 7173億1600万円(4位) |
食料品の中で売上高は第6位。総資産も第5位で日経225企業の食料品メーカーの中でもトップ企業の一社。この規模でも利益率は非常に高く営業利益率は10.8%で業界9位、事業規模は文句なしのレベルです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「年内に現金になる資産(流動資産)が、年内に支払うべき負債(流動負債)の2倍以上であること」。 また、②「来年以降に支払うべき負債(長期負債=固定負債)が、流動資産からすべての負債を差し引いた純流動資産を超えていないこと」。
2022年3月期の決算短信では、 味の素の流動資産は581,419百万円、流動負債は324,631百万円、固定負債は392,684百万円なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.79倍で基準未達、
②は、固定負債392,684百万円 > 純流動資産256,788百万円 で基準未達となり、
よって、流動/固定いずれの負債の比率も高く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
味の素の業績を確認すると、2009年に一度赤字になっていますが、ここ10年はしっかり黒字であり、基準達成です。
年度 | 純利益 |
2013年3月 | 483億7300万円 |
2014年3月 | 421億5900万円 |
2015年3月 | 464億9500万円 |
2016年3月 | 712億9200万円 |
2017年3月 | 530億6500万円 |
2018年3月 | 601億2400万円 |
2019年3月 | 296億9800万円 |
2020年3月 | 188億3700万円 |
2021年3月 | 594億1600万円 |
2022年3月 | 757億2500万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
味の素のIR情報を確認すると、EPSの最初の3年平均が74.5円、直近の3年平均が94.1円なので、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = 26.3%であり、惜しくも基準未達です。
年度 | EPS | |
2013年3月 | 76.18円 | |
2014年3月 | 68.67円 | 最初の3年平均:74.5円 |
2015年3月 | 78.54円 | |
2016年3月 | 121.23円 | |
2017年3月 | 92.81円 | |
2018年3月 | 105.76円 | |
2019年3月 | 53.62円 | |
2020年3月 | 34.36円 | |
2021年3月 | 108.36円 | 直近の3年平均:94.1円 |
2022年3月 | 139.42円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
味の素のIR情報を確認すると、 毎年しっかり配当を出されており、基準達成です。毎年ではないですが増配もされていますね。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 16円/株 | 1.73% |
2011年3月 | 16円/株 | 1.85% |
2012年3月 | 16円/株 | 1.54% |
2013年3月 | 18円/株 | 1.27% |
2014年3月 | 20円/株 | 1.36% |
2015年3月 | 24円/株 | 0.91% |
2016年3月 | 28円/株 | 1.1% |
2017年3月 | 30円/株 | 1.37% |
2018年3月 | 32円/株 | 1.66% |
2019年3月 | 32円/株 | 1.81% |
2020年3月 | 32円/株 | 1.59% |
2021年3月 | 42円/株 | 1.85% |
2022年3月 | 52円/株 | 1.5% |
なお、株主優待は3月末の権利確定で100株以上で1500円相当、500株以上で3000円相当、1000株以上で4000円相当(継続3年以上なら7,000円相当)のグループ製品(または寄附)がもらえます。100株だと優待でプラス0.5%程度の配当があることになりますね。


⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PER(株価収益率)」が15倍以下であること。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは20.86倍であり、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBR(株価純資産倍率)が1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは2.34倍であり、①のPBRは基準未達です。
②のPER × PBR も48.81で基準未達です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高1兆1493億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | 〇 | 問題なし |
④収益成長性 | △ | +26.3% |
⑤配当 | 〇 | 利回り1.5%+優待あり |
⑥株価収益率 | × | 20.86倍 |
⑦株価純資産倍率 | × | 2.34倍 |
財務状況と収益成長性、株価収益率と株価純資産倍率の4項目で基準未達となり、残念ながら基準未達です。「 味の素(株)は割安株には該当しない」という結果となりました。海外展開もしっかりされていて、食料品メーカーであることからも安定している印象でしたけど思った以上に未達項目が多いですね。
成長分野推進のためのM&Aに積極的であるにもかかわらず、利益成長性が基準未達である点と、それに伴う負債の増大が現時点ではネックですね。株価には今後への期待が織り込まれて高値を付けPER、PBRの高さにつながっているのだと思いますので、これからこの積極投資が実を結んでいくことを期待したいです。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。






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