こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである(株)ニチレイ【2871】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿ったニチレイの評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・ニチレイは割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
(株)ニチレイ【2871】 の基本情報
・設立年月日 1942年12月24日
・上場年月日 1949年5月
・業種 食料品
・特色 冷蔵倉庫と冷凍食品で首位。第2の柱・低温物流は欧州でも成長中。水産、畜産も手がける。
・資本金 305億円
・従業員数 (単独)221人 (連結)15,766人
・株価 3,332円(2023.8.6)
・単元 100株
・決算 3月末日
ニチレイグループ全体を統括する持株会社として、グループ全体の経営プランニング・モニタリング・資金調達・各事業会社の経営支援の機能を有し、企業価値の最大化を目指した組織運営を推進しています。
加工食品事業では、ニチレイフーズを中心として独自の商品開発力と品質保証力を活かした冷凍食品、レトルト食品、ウエルネス食品を提供しています。国内事業の冷凍食品では、家庭用・業務用ともチキン・米飯・冷凍野菜・春巻のシェアが高く、業務用では中食・総菜向けの商品の取り扱いが高いのが特徴です。
本格炒め炒飯や唐揚げなんかにはよくお世話になっています。
くらしを見つめ、人々に心の満足を提供する
ビジョンには「私たちは地球の恵みを活かしたものづくりと、卓越した物流サービスを通じて、豊かな食生活と健康を支えつづけます」を掲げ、コミュニケーションメッセージ「おいしい瞬間を届けたい」に込めた想いのもと、食と健康における新たな価値を創造・提供していくことを目指されています。
ではここからは、(株)ニチレイに対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
食料品100社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 4254億6600万円(14位) |
売上高 | 6622億400万円(13位) |
営業利益 | 329億3500万円(12位) |
経常利益 | 334億4800万円(12位) |
純利益 | 215億6800万円(11位) |
営業利益率 | 5.0%(37位) |
純利益率 | 3.3%(41位) |
総資産 | 4751億1100万円(17位) |
負債 | 2339億6900万円(15位) |
食料品の中で売上高は13位で総資産は17位。利益率はちょっと控えめで純利益率は3.3%の41位。日経225企業の食料品メーカーの中でも上位の一社であり、冷蔵倉庫と冷凍食品ではトップシェアです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:1966億9500万円
流動負債:1300億8600万円
固定負債:937億3300万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.51倍で基準未達、
②も、固定負債937億円 > 純流動資産666億円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も高いですね。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
ニチレイの業績を確認すると、ここ10年はしっかり利益を上げられており問題ありません。基準達成です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 88億9800万円 |
2015年3月 | 95億1600万円 |
2016年3月 | 134億7100万円 |
2017年3月 | 187億5100万円 |
2018年3月 | 190億9700万円 |
2019年3月 | 199億4300万円 |
2020年3月 | 196億900万円 |
2021年3月 | 212億1200万円 |
2022年3月 | 233億8200万円 |
2023年3月 | 215億6800万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均 ) / 最初の3年平均 × 100 = 125.5%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 62.25円 | |
2015年3月 | 66.58円 | 3年平均:74.4円 |
2016年3月 | 94.29円 | |
2017年3月 | 135.11円 | |
2018年3月 | 142.23円 | |
2019年3月 | 149.64円 | |
2020年3月 | 147.16円 | |
2021年3月 | 159.19円 | |
2022年3月 | 176.71円 | 3年平均:167.7円 |
2023年3月 | 167.13円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
ニチレイのIR情報を確認すると、 毎年しっかり配当を出されており、基準達成です。毎年ではないですが増配もされていますね。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 18円/株 | 2.57% |
2011年3月 | 18円/株 | 2.54% |
2012年3月 | 18円/株 | 2.32% |
2013年3月 | 20円/株 | 1.78% |
2014年3月 | 20円/株 | 2.29% |
2015年3月 | 20円/株 | 1.48% |
2016年3月 | 24円/株 | 1.31% |
2017年3月 | 28円/株 | 1.02% |
2018年3月 | 30円/株 | 1.02% |
2019年3月 | 32円/株 | 1.17% |
2020年3月 | 42円/株 | 1.37% |
2021年3月 | 50円/株 | 1.76% |
2022年3月 | 50円/株 | 2.11% |
2023年3月 | 52円/株 | 1.94% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは18.99倍であり、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.84倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も34.94で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高6622億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | 〇 | 問題なし |
④収益成長性 | ◎ | +125.5% |
⑤配当 | 〇 | 利回り1.94% |
⑥株価収益率 | △ | 18.99倍 |
⑦株価純資産倍率 | △ | 1.84倍 |
財務状況と株価収益率、株価純資産倍率の3項目で基準未達となり、
(株)ニチレイは割安株には該当しません!
という結果となりました。
若干負債は多いものの、安定性、成長性はしっかり。ただ株価が既に上がりすぎてますね。
豊かな食生活と健康を支える企業としての社会的責任を果たしつつ、資本効率を追求した経営に取り組み、社会的価値と経済的価値の向上を目指す。
主力の加工食品事業では、高騰が続くコストに対して収益性・効率性の高いカテゴリーの更なる付加価値向上に注力するとともに、適正な価格改定と収益改善の仕組み化を図り機動的な体制構築を目指されるそう。
冷凍炒飯のカテゴリで20年連続で年間売上高1位を誇る本格炒め炒飯など、普段の生活でもなじみの深い商品群や、214万トンという圧倒的な冷蔵倉庫の保管能力、これらの強みを組み合わせたさらなる成長に期待したいものです。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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