こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである帝人(株)【3401】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った帝人の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・帝人は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
帝人(株)【3401】 の基本情報
・設立年月日 1918年6月17日
・上場年月日 1949年5月
・業種 繊維製品
・特色 合成繊維の大手。炭素繊維は世界2強の一角。医薬や在宅医療機器、樹脂、電子材料なども展開。
・資本金 718億円
・従業員数 (単独)2,874人 (連結)22,484人
・株価 1,491円(2023.8.12)
・単元 100株
・決算 3月末日
日本初のレーヨンメーカーとして今から約100年前に創業。ベンチャー精神の強い企業であり、現在は、高機能繊維・複合材料、電子材料・化成品、ヘルスケア、繊維製品・流通、ITなど多岐にわたる事業を手掛けています。
マテリアル事業とヘルスケア事業を二大事業とし、マテリアル事業ではアラミドや炭素繊維、フィルム・シートなどもっと快適で便利な暮らしと安全で安心できる社会を目指して高機能で高品質な製品を開発・提供されています。
ヘルスケア事業では予防、介護分野まで事業領域を拡大されており、特にこの領域で高い利益を上げています。
帝人グループは
人間への深い理解と豊かな創造力で
クォリティ・オブ・ライフの向上に努めます
クォリティ・オブ・ライフ(Quality of Life)とは、「生きていることの価値」という意味で、生活の豊かさや、健康、安全、ゆとり、仕事・趣味・人との触れ合いなどを通じて得られる人生のさまざまな喜び、さらには、地球上のすべての生命の大切さ、という広い意味を込め、本当の価値を生み出す企業となることを目指されています。
ではここからは、帝人(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
繊維製品50社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 2867億5000万円(4位) |
売上高 | 1兆187億円(2位) |
営業利益 | 128億6300万円(3位) |
経常利益 | 91億円(8位) |
純利益 | -176億9500万円(50位) |
営業利益率 | 1.3%(34位) |
純利益率 | -%(-位) |
総資産 | 1兆3027億円(2位) |
負債 | 7427億7200万円(2位) |
繊維製品の中で売上高、総資産とも2位。利益率はなかなか厳しく、営業利益率が1.3%の34位ながら純利益はマイナス。東レに次ぐ業界2位と国内最大規模の繊維メーカーです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:6355億8600万円
流動負債:4148億3600万円
固定負債:3765億1300万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.53倍で基準未達、
②は、固定負債3765億円 > 純流動資産2207億円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も高いですね。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
帝人の業績を確認すると、ここ10年で2015年,2021年,2023年3月期が赤字です。2023年3月期の赤字は、自動車向け部材を手がける北米事業が苦戦していることや、のれんの減損損失などを織り込んだ影響とのこと。残念ながら基準未達です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 83億5600万円 |
2015年3月 | -80億8600万円 |
2016年3月 | 310億9000万円 |
2017年3月 | 501億3300万円 |
2018年3月 | 455億5600万円 |
2019年3月 | 450億5700万円 |
2020年3月 | 252億5200万円 |
2021年3月 | -66億6200万円 |
2022年3月 | 231億5800万円 |
2023年3月 | -176億9500万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均 ) / 最初の3年平均 × 100 = -103.9% となり、基準未達です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 42.51円 | |
2015年3月 | -41.14円 | 3年平均:53.2円 |
2016年3月 | 158.15円 | |
2017年3月 | 254.91円 | |
2018年3月 | 231.26円 | |
2019年3月 | 232.39円 | |
2020年3月 | 131.63円 | |
2021年3月 | -34.71円 | |
2022年3月 | 120.58円 | 3年平均:-2.1円 |
2023年3月 | -92.05円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
帝人のIR情報を確認すると、毎年しっかり配当を出されており、基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 10円/株 | 0.64% |
2011年3月 | 25円/株 | 1.34% |
2012年3月 | 30円/株 | 2.16% |
2013年3月 | 20円/株 | 1.83% |
2014年3月 | 20円/株 | 1.56% |
2015年3月 | 20円/株 | 0.98% |
2016年3月 | 35円/株 | 1.79% |
2017年3月 | 55円/株 | 2.62% |
2018年3月 | 60円/株 | 3% |
2019年3月 | 70円/株 | 3.83% |
2020年3月 | 60円/株 | 3.28% |
2021年3月 | 50円/株 | 2.62% |
2022年3月 | 55円/株 | 4.04% |
2023年3月 | 40円/株 | 2.87% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは22.06倍であり、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.64倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も14.12で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高1兆187億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | × | 2015年,2021,2023年赤字 |
④収益成長性 | × | -103.9% |
⑤配当 | 〇 | 利回り2.87% |
⑥株価収益率 | × | 22.06倍 |
⑦株価純資産倍率 | ◎ | 0.64倍 |
財務状況と収益安定性/成長性、株価収益率の4項目で基準未達となり、
帝人(株)は割安株には該当しません!
という結果となりました。
特に流動資産に対して負債が多い点、10年間で3度も赤字に陥っている点が問題ですね。
将来の収益源育成分野と利益ある成長分野に区分した投資戦略は一旦廃止した上で、将来の成長回帰に向けた収益性改善の改革を最優先し、2023年度までに300億円以上の収益改善を目指す。また並行して事業ポートフォリオを再構築する。
マテリアル事業については炭素繊維などの不振に代表される収益性が大幅に低下しているようで、収益力の回復・向上が課題ですね。またヘルスケア事業については事業拡大に遅れが生じているとのことであり、今後しっかりと持続的な成長を実現し、業績を回復させていく必要がありそうです。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
👇👇👇ブログランキングに参加中 👇👇👇
👇押していただけると励みになります 👇
コメント