
こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである東レ(株)【3402】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。


この記事でわかること
・バリュー投資の7つの基準に沿った東レ(株)【3402】 の評価
どんな会社?
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・東レ(株)【3402】 は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株は何か?を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。


東レ(株)【3402】 の基本情報
・設立年月日 1926年1月12日
・上場年月日 1949年5月
・業種 繊維製品
・特色 衣料や産業用途の繊維事業が大黒柱。炭素繊維複合材で世界首位。電子材料、水処理膜等も有力。
・資本金 1,478億円
・従業員数 (単独)7,175人 (連結)48,842人
・株価 730円(2022.6.26)
・単元 100株
・決算 3月末日


東レグループは、有機合成化学、高分子化学、バイオテクノロジー、ナノテクノロジーをコア技術とし、重合、製糸、繊維高次加工、製膜など要素技術によって、繊維、樹脂、ケミカル、フィルム、さらには電子情報材料、炭素繊維複合材料、医薬、医療機器、水処理事業とさまざまな事業を展開しています。
事業セグメントとしては繊維、機能化成品、炭素繊維複合材料、環境・エンジニアリング、ライフサイエンスの5つで、このうち売上、利益が大きいのは繊維、機能化成品事業ですね。
繊維事業では、ナイロン、ポリエステル、アクリルの3大合成繊維全てを有し、原糸・原綿、テキスタイル、縫製品等、衣料用途から産業資材用途まで幅広く展開しています。
機能化成品事業では、自動車向け樹脂、PETフィルム、リチウム二次電池用バッテリーセパレータフィルム、有機EL関連材料等を含む、樹脂・ケミカル、フィルム、電子情報材料の各事業を展開しており、売上・利益ともこの領域が最大となっています。
ではここからは、東レ(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
繊維製品51社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 1兆1688億円(1位) |
売上高 | 2兆2285億円(1位) |
営業利益 | 1005億6500万円(1位) |
経常利益 | 1203億1500万円(1位) |
純利益 | 842億3500万円(1位) |
営業利益率 | 4.5%(22位) |
純利益率 | 3.8%(20位) |
総資産 | 3兆438億円(1位) |
負債 | 1兆5442億円(1位) |
繊維製品の中で売上高は第1位。総資産も第1位で日経225企業の繊維製品の中ではダントツのトップ。利益率は営業利益率が4.5%で業界22位と低め、それでも国内最大の繊維メーカーとして事業規模は文句なしのレベルです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「年内に現金になる資産(流動資産)が、年内に支払うべき負債(流動負債)の2倍以上であること」。 また、②「来年以降に支払うべき負債(長期負債=固定負債)が、流動資産からすべての負債を差し引いた純流動資産を超えていないこと」。
2022年3月期の決算短信では、東レの流動資産は1,373,236百万円、流動負債は741,051百万円、固定負債は803,181百万円なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.85倍で基準未達、
②は、固定負債803,181百万円 > 純流動資産632,185百万円 で基準未達となり、
よって、流動/固定いずれの負債の比率も高く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
東レの業績を確認すると、2009年と2010年は赤字でしたが、ここ10年は赤字はなく、基準達成です。
年度 | 純利益 |
2013年3月 | 484億7700万円 |
2014年3月 | 596億800万円 |
2015年3月 | 710億2100万円 |
2016年3月 | 901億3200万円 |
2017年3月 | 994億1800万円 |
2018年3月 | 959億1500万円 |
2019年3月 | 793億7300万円 |
2020年3月 | 842億3000万円 |
2021年3月 | 457億9400万円 |
2022年3月 | 842億3500万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
東レのIR情報を確認すると、EPSの最初の3年平均が36.9円、直近の3年平均が44.6円なので、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = 21.0% となり、基準未達です。
年度 | EPS | |
2013年3月 | 29.71円 | |
2014年3月 | 36.59円 | 最初の3年平均:36.9円 |
2015年3月 | 44.33円 | |
2016年3月 | 56.38円 | |
2017年3月 | 62.17円 | |
2018年3月 | 59.97円 | |
2019年3月 | 49.61円 | |
2020年3月 | 52.65円 | |
2021年3月 | 28.61円 | 直近の3年平均:44.6円 |
2022年3月 | 52.63円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
東レのIR情報を確認すると、毎年しっかり配当を出されており、基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 5円/株 | 0.92% |
2011年3月 | 7.5円/株 | 1.24% |
2012年3月 | 10円/株 | 1.63% |
2013年3月 | 10円/株 | 1.57% |
2014年3月 | 10円/株 | 1.47% |
2015年3月 | 11円/株 | 1.09% |
2016年3月 | 13円/株 | 1.36% |
2017年3月 | 14円/株 | 1.42% |
2018年3月 | 15円/株 | 1.49% |
2019年3月 | 16円/株 | 2.26% |
2020年3月 | 16円/株 | 3.41% |
2021年3月 | 9円/株 | 1.26% |
2022年3月 | 16円/株 | 2.5% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PER(株価収益率)」が15倍以下であること。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは11.69倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBR(株価純資産倍率)が1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.83倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も9.70で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高2兆2285億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | △ | +21.0% |
⑤配当 | 〇 | 利回り2.5% |
⑥株価収益率 | 〇 | 11.69倍 |
⑦株価純資産倍率 | ◎ | 0.83倍 |
財務状況と収益成長性の2項目で基準未達となり、「東レ(株)は割安株には該当しない」という結果となりました。
収益成長性はあと一歩のレベルなのですが、流動資産に対して負債が多い点が問題ですね。
繊維製品の中では抜けた最大手とはいえ、やはり繊維事業は縮小傾向にあるのは間違いなく、今後の収益力の確保とさらなる成長が必要ですね。ここは世界シェアトップの炭素繊維がどこまで成長できるかと、低迷する航空機需要が今後どこまで回復するかにかかっているような気がします。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。






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