こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである東レ(株)【3402】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った東レの評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・東レは割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
東レ(株)【3402】 の基本情報
・設立年月日 1926年1月12日
・上場年月日 1949年5月
・業種 繊維製品
・特色 衣料や産業用途の繊維事業が大黒柱。炭素繊維複合材で世界首位。電子材料、水処理膜等も有力。
・資本金 1,478億円
・従業員数 (単独)6,992人 (連結)48,682人
・株価 816.6円(2023.8.13)
・単元 100株
・決算 3月末日
有機合成化学、高分子化学、バイオテクノロジー、ナノテクノロジーをコア技術とし、繊維、樹脂、ケミカル、フィルム、さらには電子情報材料、炭素繊維複合材料、医薬、医療機器、水処理事業とさまざまな事業を展開しています。
事業セグメントとしては繊維、機能化成品、炭素繊維複合材料、環境・エンジニアリング、ライフサイエンスの5つで、売上、利益が大きいのは繊維、機能化成品事業です。
最も利益の大きい機能化成品事業では、自動車向け樹脂、PETフィルム、リチウム二次電池用バッテリーセパレータフィルム、有機EL関連材料等を含む、樹脂・ケミカル、フィルム、電子情報材料の各事業を展開しています。
繊維事業では、ナイロン、ポリエステル、アクリルの3大合成繊維全てを有し、衣料用途から産業資材用途まで幅広く展開しています。
わたしたちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します
コーポレートスローガンには、「Innovation by Chemistry」を掲げ、技術の革新のみならず、企業活動の全ての領域で「Innovation」に挑戦し、「化学」を核にして新しい価値を創出し、持続可能な社会の発展を支えることを目指されています。
ではここからは、東レ(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
繊維製品50社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 1兆3079億円(1位) |
売上高 | 2兆4893億円(1位) |
営業利益 | 1090億100万円(1位) |
経常利益 | 1118億7000万円(1位) |
純利益 | 728億2300万円(1位) |
営業利益率 | 4.4%(20位) |
純利益率 | 2.9%(27位) |
総資産 | 3兆3473億円(1位) |
負債 | 1兆5998億円(1位) |
繊維製品の中で売上高、総資産とも抜けた1位。利益率は中位で、純利益率は2.9%の27位。国内トップの繊維メーカーです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:1兆4292億円
流動負債:8262億1100万円
固定負債:7320億2000万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.73倍で基準未達、
②は、固定負債7320億円 > 純流動資産6029億円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も高いですね。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
東レの業績を確認すると、2009年と2010年は赤字でしたが、ここ10年は赤字はなく、基準達成です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 596億800万円 |
2015年3月 | 710億2100万円 |
2016年3月 | 901億3200万円 |
2017年3月 | 994億1800万円 |
2018年3月 | 959億1500万円 |
2019年3月 | 793億7300万円 |
2020年3月 | 842億3000万円 |
2021年3月 | 457億9400万円 |
2022年3月 | 842億3500万円 |
2023年3月 | 728億2300万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均 ) / 最初の3年平均 × 100 = -7.7% となり、基準未達です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 36.59円 | |
2015年3月 | 44.33円 | 3年平均:45.8円 |
2016年3月 | 56.38円 | |
2017年3月 | 62.17円 | |
2018年3月 | 59.97円 | |
2019年3月 | 49.61円 | |
2020年3月 | 52.65円 | |
2021年3月 | 28.61円 | |
2022年3月 | 52.63円 | 3年平均:42.2円 |
2023年3月 | 45.49円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
東レのIR情報を確認すると、毎年しっかり配当を出されており、基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 5円/株 | 0.92% |
2011年3月 | 7.5円/株 | 1.24% |
2012年3月 | 10円/株 | 1.63% |
2013年3月 | 10円/株 | 1.57% |
2014年3月 | 10円/株 | 1.47% |
2015年3月 | 11円/株 | 1.09% |
2016年3月 | 13円/株 | 1.36% |
2017年3月 | 14円/株 | 1.42% |
2018年3月 | 15円/株 | 1.49% |
2019年3月 | 16円/株 | 2.26% |
2020年3月 | 16円/株 | 3.41% |
2021年3月 | 9円/株 | 1.26% |
2022年3月 | 16円/株 | 2.5% |
2023年3月 | 18円/株 | 2.38% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは17.21倍であり、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.80倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も13.77で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高2兆4893億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | △ | -7.7% |
⑤配当 | 〇 | 利回り2.38% |
⑥株価収益率 | △ | 17.21倍 |
⑦株価純資産倍率 | ◎ | 0.80倍 |
財務状況と収益安定性/成長性、株価収益率の4項目で基準未達となり、
帝人(株)は割安株には該当しません!
という結果となりました。
流動資産に対して負債が多く、成長性も物足りないですね。PERもちょっと高いです。
「持続的な成長の実現」「価値創出力強化」「競争力強化」「『人を基本とする経営』の深化」「リスクマネジメントとグループガバナンスの強化」を基本戦略として掲げ、サステナビリティ/デジタルイノベーション事業の拡大、事業の高度化・高付加価値化及び品質力・コスト競争力強化に取り組む。
繊維製品の中では抜けた最大手とはいえ、やはり繊維事業は縮小傾向にあるのは間違いなく、今後の収益力の確保とさらなる成長が必要ですね。ここは世界シェアトップの炭素繊維がどこまで成長できるかと、低迷する航空機需要が今後どこまで回復するかにかかっているような気がします。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
👇👇👇ブログランキングに参加中 👇👇👇
👇押していただけると励みになります 👇
コメント