
こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである旭化成(株)【3407】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。


この記事でわかること
・バリュー投資の7つの基準に沿った旭化成(株)【3407】 の評価
どんな会社?
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・旭化成(株)【3407】 は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株は何か?を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。


旭化成(株)【3407】 の基本情報
・設立年月日 1931年5月21日
・上場年月日 1949年5月
・業種 化学
・特色 総合化学企業。ケミカル、住宅が利益の2大柱。繊維、電子部品、医薬・医療機器など事業多彩。
・資本金 1,033億円
・従業員数 (単独)8,623人 (連結)46,751人
・株価 1,056円(2022.6.27)
・単元 100株
・決算 3月末日


旭化成(株)は事業持株会社で、7つの事業会社を中核に「マテリアル」「住宅」「ヘルスケア」の3領域で事業を展開してます。
マテリアル領域では、「サランラップ」や「Ziploc」などの生活製品をはじめコアである化学技術をベースに多彩な事業を展開するケミカル事業、コットンから生まれたセルロース繊維「キュプラ」などを展開する繊維事業、携帯情報端末の主要デバイスである電子コンパスなどの製品群を展開するエレクトロニクス事業からなります。
住宅領域では、「ヘーベルハウス」で有名な住宅事業、軽量気泡コンクリートパネルのトップブランド「へーベル」をはじめとする建材事業などを展開しています。
ヘルスケア領域では、医薬品、診断薬を展開する医薬事業、血液浄化治療システムのリーディングカンパニーとしての医療事業も展開されています。
ではここからは、旭化成(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
化学215社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 1兆4642億円(7位) |
売上高 | 2兆4613億円(4位) |
営業利益 | 2026億4700万円(5位) |
経常利益 | 2120億5200万円(5位) |
純利益 | 1618億8000万円(5位) |
営業利益率 | 8.2%(92位) |
純利益率 | 6.6%(89位) |
総資産 | 3兆3490億円(5位) |
負債 | 1兆6302億円(3位) |
化学の中で売上高は第4位。総資産は第5位で日経225企業の化学の中では最上位の1社。利益率は営業利益率が8.2%で業界92位と低めですがこの規模ですからね。もちろん化学メーカーとして事業規模は文句なしのレベルです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「年内に現金になる資産(流動資産)が、年内に支払うべき負債(流動負債)の2倍以上であること」。 また、②「来年以降に支払うべき負債(長期負債=固定負債)が、流動資産からすべての負債を差し引いた純流動資産を超えていないこと」。
2022年3月期の決算短信では、旭化成の流動資産は1,334,209百万円、流動負債は923,850百万円、固定負債は706,410百万円なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.44倍で基準未達、
②は、固定負債706,410百万円 > 純流動資産410,359百万円 で基準未達となり、
よって、純流動資産に対して流動/固定負債いずれも多く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
旭化成の業績を確認すると、全く赤字はなくしっかりされてます。基準達成です。幅広い事業領域と製品ラインナップで安定感抜群ですね。
年度 | 純利益 |
2013年3月 | 537億1200万円 |
2014年3月 | 1012億9600万円 |
2015年3月 | 1056億5200万円 |
2016年3月 | 917億5400万円 |
2017年3月 | 1150億円 |
2018年3月 | 1702億4800万円 |
2019年3月 | 1475億1200万円 |
2020年3月 | 1039億3100万円 |
2021年3月 | 797億6800万円 |
2022年3月 | 1618億8000万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
旭化成のIR情報を確認すると、EPSの最初の3年平均が62.1円、直近の3年平均が83.1円なので、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = 33.8% となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2013年3月 | 38.29円 | |
2014年3月 | 72.48円 | 最初の3年平均:62.1円 |
2015年3月 | 75.62円 | |
2016年3月 | 65.69円 | |
2017年3月 | 82.34円 | |
2018年3月 | 121.93円 | |
2019年3月 | 105.66円 | |
2020年3月 | 74.85円 | |
2021年3月 | 57.85円 | 直近の3年平均:83.1円 |
2022年3月 | 116.68円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
旭化成のIR情報を確認すると、毎年しっかり配当を出されており、基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 10円/株 | 1.99% |
2011年3月 | 11円/株 | 1.96% |
2012年3月 | 14円/株 | 2.74% |
2013年3月 | 14円/株 | 2.23% |
2014年3月 | 17円/株 | 2.42% |
2015年3月 | 19円/株 | 1.65% |
2016年3月 | 20円/株 | 2.63% |
2017年3月 | 24円/株 | 2.22% |
2018年3月 | 34円/株 | 2.43% |
2019年3月 | 34円/株 | 2.98% |
2020年3月 | 34円/株 | 4.44% |
2021年3月 | 34円/株 | 2.67% |
2022年3月 | 34円/株 | 3.2% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PER(株価収益率)」が15倍以下であること。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは8.90倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBR(株価純資産倍率)が1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.87倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も7.74で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高2兆4613億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | 〇 | +33.8% |
⑤配当 | ◎ | 利回り3.2% |
⑥株価収益率 | ◎ | 8.90倍 |
⑦株価純資産倍率 | ◎ | 0.87倍 |
財務状況のみ基準未達となり、「旭化成(株)は割安株には該当しない」という結果となりました。
流動資産に対する流動/固定負債が基準より多い点がマイナス、財務状況以外の項目はしっかりクリアされているので惜しいですね。
旭化成は事業領域が多岐にわたっており、特定の顧客層に依存する単一事業よりも、多くのコア事業とさまざまな販売チャネル、多様な人材を抱えている会社の方が経営の安定性は高いといえます。ただ、中には自動車関連など、厳しい事業もあるのは事実なので、ある程度は選択と集中を行い、継続的な成長を実現していく必要がありそうですね。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。






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