こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである王子ホールディングス(株)【3861】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った王子ホールディングスの評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・王子ホールディングスは割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
王子ホールディングス(株)【3861】 の基本情報
・設立年月日 1949年8月1日
・上場年月日 1949年12月
・業種 パルプ・紙
・特色 1873年創立。製紙国内首位、段ボール、パルプ、感熱紙のアジア、南米展開など海外先行。
・資本金 1,038億円
・従業員数 (単独)352人 (連結)37,845人
・株価 590.9円(2023.8.27)
・単元 100株
・決算 3月末日
国内における洋紙生産のパイオニアであり、現在の事業分野は製紙の域を超えて広がり、「産業資材」「生活消費財」「機能材」「資源環境ビジネス」「印刷情報メディア」の5つのカンパニーと、独立事業会社群を含むコーポレートマネジメントグループ、シェアードサービス会社群の7つに分類されます。
産業資材・生活消費財ビジネスでは、段ボール、紙器、紙袋といった各事業に不可欠な包装資材について、原紙製造から製品加工、さらにパッケージデザインまでの素材・加工一貫の生産・販売体制を整えており、顧客ニーズにタイムリーに対応しています。
ティッシュペーパーのネピアは圧倒的なブランド力がありますね。
「革新的価値の創造」「未来と世界への貢献」「環境・社会との共生」
存在意義(パーパス)には、「森林を健全に育て、その森林資源を活かした製品を創造し、社会に届けることで、希望あふれる地球の未来の実現に向け、時代を動かしていく」を掲げ、地球の温暖化や環境問題に取り組み、 希望あふれる地球の未来の実現に向け時代を動かしていくことを目指されています。
ではここからは、王子ホールディングス(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
紙・パルプ25社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 5857億1200万円(1位) |
売上高 | 1兆7066億円(1位) |
営業利益 | 848億1800万円(1位) |
経常利益 | 950億800万円(1位) |
純利益 | 564億8300万円(1位) |
営業利益率 | 5.0%(11位) |
純利益率 | 3.3%(12位) |
総資産 | 2兆3187億円(1位) |
負債 | 1兆3308億円(1位) |
紙・パルプの中で売上高、総資産とも1位。利益率は低めで、純利益率は3.3%の12位。製紙の国内トップ企業です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:7886億7000万円
流動負債:6870億7000万円
固定負債:6443億8300万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.15倍で基準未達、
②は、固定負債6443億円 > 純流動資産1016億円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も高いですね。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
王子HDの業績を確認すると、2009年に一度赤字になっていますがそれ以降は赤字はなし。基準達成です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 316億1800万円 |
2015年3月 | 155億2600万円 |
2016年3月 | 127億600万円 |
2017年3月 | 402億7000万円 |
2018年3月 | 362億2200万円 |
2019年3月 | 519億7700万円 |
2020年3月 | 581億8100万円 |
2021年3月 | 496億3600万円 |
2022年3月 | 875億900万円 |
2023年3月 | 564億8300万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均 ) / 最初の3年平均 × 100 = 222.7% となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 32.01円 | |
2015年3月 | 15.71円 | 3年平均:20.2円 |
2016年3月 | 12.86円 | |
2017年3月 | 40.74円 | |
2018年3月 | 36.64円 | |
2019年3月 | 52.52円 | |
2020年3月 | 58.78円 | |
2021年3月 | 50.13円 | |
2022年3月 | 88.35円 | 3年平均:65.2円 |
2023年3月 | 57円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
王子HDのIR情報を確認すると、毎年きっちり配当が出ており、基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 10円/株 | 2.44% |
2011年3月 | 10円/株 | 2.53% |
2012年3月 | 10円/株 | 2.5% |
2013年3月 | 10円/株 | 2.88% |
2014年3月 | 10円/株 | 2.16% |
2015年3月 | 10円/株 | 2.03% |
2016年3月 | 10円/株 | 2.21% |
2017年3月 | 10円/株 | 1.92% |
2018年3月 | 10円/株 | 1.46% |
2019年3月 | 12円/株 | 1.75% |
2020年3月 | 14円/株 | 2.42% |
2021年3月 | 14円/株 | 1.96% |
2022年3月 | 14円/株 | 2.31% |
2023年3月 | 16円/株 | 3.05% |
なお、株主優待は半年以上保有の3月末の権利確定で1000株以上で4180円相当の自社グループ製品カタログギフト券がもらえます。優待でプラス 0.7%程度の配当があることになりますね。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは9.01倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.61倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も5.50で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高1兆7066億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | ◎ | +222.7% |
⑤配当 | ◎ | 利回り3.05%+優待あり |
⑥株価収益率 | ◎ | 9.01倍 |
⑦株価純資産倍率 | ◎ | 0.61倍 |
財務状況のみが基準未達となり、
王子ホールディングス(株)は割安株には該当しません!
という結果となりました。
収益の安定性と成長性は問題なく、配当もしっかり、株価も手ごろではありますが、流動資産に対して流動/固定いずれの負債も多いですね。仕方ありません。
事業の核であり、大切な財産である「森林」を適切に育て、管理するともに、今後も森林資源に根付いた事業活動を通じて環境問題・社会課題への対応に尽力していく。
ここ数年で海外事業の拡充と、国内製紙事業の構造転換でコスト削減を徹底するなどし、着々と財務基盤の強化を進められている点はすごく良いと思いますので、今後脱炭素を含む投資を継続しつつ、安定したキャッシュフローを創出していくことに期待したいです。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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