
こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである昭和電工(株)【4004】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。


この記事でわかること
・バリュー投資の7つの基準に沿った昭和電工(株)【4004】 の評価
どんな会社?
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・昭和電工(株)【4004】 は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株は何か?を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。


昭和電工(株)【4004】 の基本情報
・設立年月日 1939年6月1日
・上場年月日 1949年5月
・業種 化学
・特色 総合化学メーカー。電炉用黒鉛電極で首位。2020年に日立化成買収、半導体や自動車関連部材に力。
・資本金 1,821億円
・従業員数 (単独)3,298人 (連結)26,054人
・株価 2,250円(2022.7.5)
・単元 100株
・決算 12月末日


昭和電工グループは、日本の重要な資源である豊富な水力を利用する電気化学に端を発し、無機化学・有機化学・金属材料へと発展を遂げ、現在は、情報通信産業自動車産業に用いられる素材・部品や、生活に必要なさまざまな製品を展開されています。
事業セグメントは大きく分けて5つで非常に幅広いです。
半導体製造の前工程・後工程にかかわる材料や次世代パワー半導体材料であるSiCエピタキシャルウェハー、ハードディスクなどを提供する半導体・電子材料。
車の軽量化に寄与する樹脂製バックドアモジュール、樹脂ギア、電動化にかかわるリチウムイオン電池材料、熱制御部材などを提供するモビリティ。
セラミックス製品、機能性化学品、アルミ機能部材、コーティング材料など、当社の事業群のイノベーションや競争力強化を支える幅広い技術・素材を提供するイノベーション材料。
オレフィン、有機化学品、基礎化学品、産業ガス、黒鉛電極など、市場で高い競争力・シェアを有する製品を提供するケミカル。
体外診断用医薬品の製造・販売や、再生医療等製品の製法開発・受託製造などを行うその他セグメント。
また、2023年1月には、昭和電工株式会社と昭和電工マテリアルズ株式会社(旧日立化成)が統合し、昭和電工の川中の素材技術と昭和電工マテリアルズの川下のアプリケーション技術、そして両社の評価・解析技術の融合によって、幅広い機能の提供を目指すとのことです。
ではここからは、昭和電工(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
化学215社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 3985億5500万円(23位) |
売上高 | 1兆4196億円(7位) |
営業利益 | 871億9800万円(13位) |
経常利益 | 868億6100万円(13位) |
純利益 | -120億9400万円(214位) |
営業利益率 | 6.1%(133位) |
純利益率 | -%(-位) |
総資産 | 2兆1476億円(7位) |
負債 | 1兆3126億円(6位) |
化学の中で売上高は第7位。総資産も第7位と上位の存在。ただ利益面ではなかなか厳しい状況であり、営業利益率は6.1%の業界133位、純利益では昨年度は赤字。とはいえ事業規模としては基準達成です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「年内に現金になる資産(流動資産)が、年内に支払うべき負債(流動負債)の2倍以上であること」。 また、②「来年以降に支払うべき負債(長期負債=固定負債)が、流動資産からすべての負債を差し引いた純流動資産を超えていないこと」。
2022年12月期の決算短信では、昭和電工の流動資産は793,396百万円、流動負債は660,927百万円、固定負債は651,769百万円なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.20倍で基準未達、
②は、固定負債651,769百万円 > 純流動資産132,469百万円 で基準未達となり、
よって、流動資産に対して流動/固定負債が多く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
昭和電工の業績を確認すると、2020年と2021年が赤字です。日立化成(現昭和電工マテリアルズ)の買収費用とその後進めている事業整理に伴う特別損失によるものとのこと。これ以前の2009年も赤字があり、収益安定性という点ではNGですね。基準未達です。
年度 | 純利益 |
2012年12月 | 93億6800万円 |
2013年12月 | 90億6500万円 |
2014年12月 | 29億2900万円 |
2015年12月 | 9億2100万円 |
2016年12月 | 123億500万円 |
2017年12月 | 374億400万円 |
2018年12月 | 1115億300万円 |
2019年12月 | 730億8800万円 |
2020年12月 | -763億400万円 |
2021年12月 | -120億9400万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
昭和電工のIR情報を確認すると、EPSの最初の3年平均が47.7円、直近の3年平均が33.1円なので、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = -169.5% となり、基準未達です。
年度 | EPS | |
2012年12月 | 62.57円 | |
2013年12月 | 60.57円 | 最初の3年平均:47.7円 |
2014年12月 | 19.89円 | |
2015年12月 | 6.45円 | |
2016年12月 | 86.27円 | |
2017年12月 | 262.44円 | |
2018年12月 | 758.14円 | |
2019年12月 | 501.03円 | |
2020年12月 | -523.06円 | 直近の3年平均:-33.1円 |
2021年12月 | -77.4円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
昭和電工のIR情報を確認すると、2016年が無配であり、基準未達です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2009年12月 | 30円/株 | 1.62% |
2010年12月 | 30円/株 | 1.64% |
2011年12月 | 30円/株 | 1.92% |
2012年12月 | 30円/株 | 2.29% |
2013年12月 | 30円/株 | 2.01% |
2014年12月 | 30円/株 | 2.01% |
2015年12月 | 30円/株 | 2.11% |
2016年12月 | 0円/株 | 0% |
2017年12月 | 50円/株 | 1.04% |
2018年12月 | 120円/株 | 3.67% |
2019年12月 | 130円/株 | 4.48% |
2020年12月 | 65円/株 | 2.96% |
2021年12月 | 65円/株 | 2.69% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PER(株価収益率)」が15倍以下であること。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは15.09倍であり、惜しくも基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBR(株価純資産倍率)が1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.76倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も11.47で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高1兆4196億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | × | 2020年,2021年赤字 |
④収益成長性 | × | -169.5% |
⑤配当 | × | 2016年無配 利回り2.69% |
⑥株価収益率 | △ | 15.09倍 |
⑦株価純資産倍率 | ◎ | 0.76倍 |
財務状況、収益安定/成長性、配当、株価収益率の5項目で基準未達となり、「昭和電工(株)は割安株に該当しない」という結果となりました。流動資産に対して流動/固定負債が多いこと、ここ2年が赤字であること、無配があることなど、課題が非常に多いですね。
なにより本体より時価総額の大きい日立化成を買収したこと。次世代通信規格「5G」など通信需要の増加などで半導体関連の成長は底固いと判断し、買収によって世界トップクラスの機能性材料メーカーになることを目指したこの決断が今後どのような展開なるかに注目です。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。






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