こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである(株)レゾナック・ホールディングス【4004】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿ったレゾナック・ホールディングスの評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・レゾナック・ホールディングスは割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
(株)レゾナック・ホールディングス【4004】 の基本情報
・設立年月日 1939年6月1日
・上場年月日 1949年5月
・業種 化学
・特色 総合化学メーカー。電炉用黒鉛電極で首位。2020年に日立化成買収、半導体や自動車関連部材に力。
・資本金 1,821億円
・従業員数 (単独)3,322人 (連結)25,803人
・株価 2,412円(2023.9.3)
・単元 100株
・決算 12月末日
日本の重要な資源である豊富な水力を利用する電気化学に端を発し、無機化学・有機化学・金属材料へと発展を遂げ、現在は、情報通信産業自動車産業に用いられる素材・部品や、生活に必要なさまざまな製品を展開しています。
昭和電工株式会社と昭和電工マテリアルズ株式会社(旧日立化成)が統合し、昭和電工の川中の素材技術と昭和電工マテリアルズの川下のアプリケーション技術、そして両社の評価・解析技術の融合によって、幅広い機能の提供を目指されています。
成長のコアは半導体材料事業であり、様々な材料や要素技術を持っていることが大きな強みです。
化学の力で社会を変える
先端材料パートナーとして時代が求める機能を創出し、グローバル社会の持続可能な発展に貢献することを目指し、「プロフェッショナルとしての成果へのこだわり」、「機敏さと柔軟性」、「枠を超えるオープンマインド」、「未来への先見性と高い倫理観」の4つを大切にする価値観として挙げられています。
ではここからは、昭和電工(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
化学100社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 4369億円(23位) |
売上高 | 1兆3926億円(8位) |
営業利益 | 593億7100万円(13位) |
経常利益 | 593億6700万円(15位) |
純利益 | 307億9300万円(19位) |
営業利益率 | 4.3%(70位) |
純利益率 | 2.2%(78位) |
総資産 | 2兆454億円(8位) |
負債 | 1兆4710億円(4位) |
化学の中で売上高、総資産とも8位。利益率は低めで、純利益率は2.2%の78位。国内大手化学メーカーの一社です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2022年12月期の決算短信によると、
流動資産:7870億3700万円
流動負債:4588億7700万円
固定負債:1兆601億円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.72倍で基準未達、
②は、固定負債1兆601億円 > 純流動資産3281億円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も高いですね。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
レゾナック・ホールディングスの業績を確認すると、2020年と2021年が赤字です。日立化成(現昭和電工マテリアルズ)の買収費用とその後進めている事業整理に伴う特別損失によるものとのこと。これ以前の2009年も赤字があり、収益安定性という点ではNGですね。基準未達です。
年度 | 純利益 |
2013年12月 | 90億6500万円 |
2014年12月 | 29億2900万円 |
2015年12月 | 9億2100万円 |
2016年12月 | 123億500万円 |
2017年12月 | 374億400万円 |
2018年12月 | 1115億300万円 |
2019年12月 | 730億8800万円 |
2020年12月 | -763億400万円 |
2021年12月 | -120億9400万円 |
2022年12月 | 324億2200万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均 ) / 最初の3年平均 × 100 = -584.9% となり、基準未達です。
年度 | EPS | |
2013年12月 | 60.57円 | |
2014年12月 | 19.89円 | 3年平均:29.0円 |
2015年12月 | 6.45円 | |
2016年12月 | 86.27円 | |
2017年12月 | 262.44円 | |
2018年12月 | 758.14円 | |
2019年12月 | 501.03円 | |
2020年12月 | -523.06円 | |
2021年12月 | -77.4円 | 3年平均:-140.5円 |
2022年12月 | 179.02円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
レゾナック・ホールディングスのIR情報を確認すると、2016年が無配であり、基準未達です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2009年12月 | 30円/株 | 1.62% |
2010年12月 | 30円/株 | 1.64% |
2011年12月 | 30円/株 | 1.92% |
2012年12月 | 30円/株 | 2.29% |
2013年12月 | 30円/株 | 2.01% |
2014年12月 | 30円/株 | 2.01% |
2015年12月 | 30円/株 | 2.11% |
2016年12月 | 0円/株 | 0% |
2017年12月 | 50円/株 | 1.04% |
2018年12月 | 120円/株 | 3.67% |
2019年12月 | 130円/株 | 4.48% |
2020年12月 | 65円/株 | 2.96% |
2021年12月 | 65円/株 | 2.69% |
2022年12月 | 65円/株 | 3.22% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、2023年12月度が赤字見込みのためPERは算出不可で、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.80倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR はPERが算出不可のためこちらも算出不可、基準未達です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高1兆3926億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | × | 2020年,2021年赤字 |
④収益成長性 | × | -584.9% |
⑤配当 | △ | 2016年無配 |
⑥株価収益率 | × | 算出不可 |
⑦株価純資産倍率 | △ | 0.80倍 PER×PBRが算出不可 |
財務状況と収益安定性/成長性、配当、株価収益率/純資産倍率の6項目で基準未達となり、
(株)レゾナック・ホールディングスは割安株には該当しません!
という結果となりました。
流動資産に対して流動/固定負債が多いこと、複数年で赤字があること、無配があることなど、2022年度も赤字見込みであり、課題が非常に多いですね。
コア成長事業である半導体材料に集中的に経営資源を配分し、また、モビリティ事業においては、想定以上の速度で内燃機関車から電動車へ移行する市場環境に適応した機動的な資源配分を加速することで、成長を実現していく。
何より本体より時価総額の大きい日立化成を買収したこと。次世代通信規格「5G」など通信需要の増加などで半導体関連の成長は底固いと判断し、買収によって世界トップクラスの機能性材料メーカーになることを目指したこの決断が今後どのような展開なるかに注目です。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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