こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである住友化学(株)【4005】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った住友化学の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・住友化学は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
住友化学(株)【4005】 の基本情報
・設立年月日 1925年6月1日
・上場年月日 1949年5月
・業種 化学
・特色 総合化学大手。石油化学はシンガポール、サウジでも合弁展開。医薬品、農薬、電子材料等が稼ぐ。
・資本金 896億円
・従業員数 (単独)6,637人 (連結)33,572人
・株価 407.8円(2023.9.3)
・単元 100株
・決算 3月末日
時代の変遷にあわせて事業の変革を遂げ、エッセンシャルケミカル、エネルギー・機能材料、情報電子化学、健康・農業関連事業、医薬品の5事業分野にわたり、幅広い産業や人々の暮らしを支える製品をグローバルに供給しています。
愛媛県新居浜の別子銅山で銅の製錬の際に生じる排ガスの煙害を解決するため、その原因である亜硫酸ガスから肥料を製造することを目的に1913年に設立されました。
別子銅山の煙害解消と食糧増産への貢献を図りつつ、事業を通じて広く社会に貢献するという理念が根っこにあるということですね。
1.技術を基盤とした新しい価値の創造に常に挑戦します。
2.事業活動を通じて人類社会の発展に貢献します。
3.活力にあふれ社会から信頼される企業風土を醸成します。
「信用を重んじ確実を旨とする」、「浮利にはしり軽進すべからず」という「営業の要旨」に定められた理念や「自利利他 公私一如」という考え方など、当社が創業以来脈々と受け継ぎ、大切にしてきた住友の事業精神のもとに定められたものとのことです。
ではここからは、住友化学(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
化学100社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 6669億400万円(16位) |
売上高 | 2兆8952億円(2位) |
営業利益 | -309億8400万円(100位) |
経常利益 | 2億3100万円(96位) |
純利益 | 69億8700万円(61位) |
営業利益率 | -%(-位) |
純利益率 | 0.2%(94位) |
総資産 | 4兆3737億円(3位) |
負債 | 2兆8238億円(2位) |
化学の中で売上高は2位、総資産は3位。利益率はかなり低く、純利益率は0.2%の94位ですが、日本を代表する化学メーカーの一社です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:1兆7628億円
流動負債:1兆2783億円
固定負債:1兆3979億円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.38倍で基準未達、
②は、固定負債1兆3979億円 > 純流動資産4845億円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も高いですね。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
住友化学の業績を確認すると、2009年と2013年が赤字であったものの、ここ10年はしかり収益を挙げられています。基準達成です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 369億7700万円 |
2015年3月 | 521億9200万円 |
2016年3月 | 814億5100万円 |
2017年3月 | 765億4000万円 |
2018年3月 | 1337億6800万円 |
2019年3月 | 1179億9200万円 |
2020年3月 | 309億2600万円 |
2021年3月 | 460億4300万円 |
2022年3月 | 1621億3000万円 |
2023年3月 | 69億8700万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均 ) / 最初の3年平均 × 100 = 26.1% となり、惜しくも基準未達です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 22.62円 | |
2015年3月 | 31.93円 | 3年平均:34.8円 |
2016年3月 | 49.84円 | |
2017年3月 | 46.84円 | |
2018年3月 | 81.81円 | |
2019年3月 | 72.17円 | |
2020年3月 | 18.91円 | |
2021年3月 | 28.16円 | |
2022年3月 | 99.16円 | 3年平均:43.9円 |
2023年3月 | 4.27円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲で住友化学のIR情報を確認すると、毎年しっかり配当が出ており、基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 6円/株 | 1.31% |
2011年3月 | 9円/株 | 2.17% |
2012年3月 | 9円/株 | 2.56% |
2013年3月 | 6円/株 | 2.05% |
2014年3月 | 9円/株 | 2.36% |
2015年3月 | 9円/株 | 1.46% |
2016年3月 | 14円/株 | 2.75% |
2017年3月 | 14円/株 | 2.25% |
2018年3月 | 22円/株 | 3.55% |
2019年3月 | 22円/株 | 4.27% |
2020年3月 | 17円/株 | 5.3% |
2021年3月 | 15円/株 | 2.62% |
2022年3月 | 24円/株 | 4.27% |
2023年3月 | 18円/株 | 4.04% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは66.63倍であり、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.54倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR は35.98で基準未達です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高2兆8952億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | △ | +26.1% |
⑤配当 | ◎ | 利回り4.04% |
⑥株価収益率 | × | 66.63倍 |
⑦株価純資産倍率 | △ | 0.54倍 PER×PBRがNG |
財務状況と収益成長性、株価収益率/純資産倍率の4項目で基準未達となり、
住友化学(株)は割安株には該当しません!
という結果となりました。
流動資産に対して流動/固定負債が多い上、成長性が今一つ、直近の純利益も低水準となる見込みで、PERが高くなりすぎてますね。仕方ありません。
医薬品の基幹製品を含む複数の成長ドライバの販売伸長や、低収益事業の再編・撤退等により事業ポートフォリオ高度化を進める。
また、電池部材およびスーパーエンジニアリングプラスチックスを成長事業と位置づけ、顧客ニーズを捉えた製品ラインナップと研究開発力、評価・製造・プロセス技術を強みとして、集中的に資源を投下していくとのこと。今後に期待ですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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