こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである東ソー(株)【4042】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った東ソーの評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・東ソーは割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
東ソー(株)【4042】 の基本情報
・設立年月日 1935年2月11日
・上場年月日 1949年5月
・業種 化学
・特色 塩ビ・苛性ソーダ大手、石化も展開。免疫診断装置・試薬や触媒、歯科材料など機能商品を強化。
・資本金 552億円
・従業員数 (単独)3,846人 (連結)14,266人
・株価 1,922.5円(2023.9.3)
・単元 100株
・決算 3月末日
1935年、アンモニアソーダ法によるソーダ灰および苛性ソーダの製造・販売を目的として設立されて以来、無機化学製品に加えて、石油化学製品、機能商品分野へ事業領域を拡大し、コモディティ分野とスペシャリティ分野を両軸に位置付け、2つをバランスよく強化していくハイブリッド経営を成長戦略の基本に捉えて事業を行っています。
塩の電気分解を出発点にして苛性ソーダ、塩ビ樹脂などの製品を製造するクロル・アルカリ事業が売上と利益の多くを占め、次いでバイオサイエンス、有機化成品、高機能材料の3つの領域で付加価値の高い製品を製造する機能商品事業、さらにエンジニアリング、石油化学、その他の計5つのセグメントを展開されています。
歯科治療に使われるジルコニア粉末や電池に使われる電解二酸化マンガンなど数多くのNo.1,Only1製品を持ち、技術的にもしっかりされている印象ですね。
私たちの東ソーは、化学の革新を通して、幸せを実現し、社会に貢献する
世の中にしあわせの輪を広げていくために、化学の領域を日々革新していくことで、よりよい明日に向けて、社会に貢献し、「明日のしあわせを化学する」ことを目指されています。
ではここからは、東ソー(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
化学100社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 6119億900万円(17位) |
売上高 | 1兆643億円(13位) |
営業利益 | 746億600万円(11位) |
経常利益 | 899億8300万円(11位) |
純利益 | 503億3500万円(11位) |
営業利益率 | 7.0%(49位) |
純利益率 | 4.7%(50位) |
総資産 | 1兆2070億円(14位) |
負債 | 4076億3900万円(16位) |
化学の中で売上高は13位、総資産は14位。利益率は中位で、純利益率は4.7%の50位。国内大手化学メーカーの一社です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:7076億2500万円
流動負債:3363億1200万円
固定負債:637億4000万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 2.10倍で基準達成、
②は、固定負債637億円 < 純流動資産3713億円 で基準達成となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も低く、きれいな財務状況ですね。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
東ソーの業績を確認すると、2009年に赤字となったようですが、ここ10年は赤字がなく、基準達成です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 295億6400万円 |
2015年3月 | 622億9700万円 |
2016年3月 | 396億7500万円 |
2017年3月 | 756億6400万円 |
2018年3月 | 887億9500万円 |
2019年3月 | 781億3300万円 |
2020年3月 | 555億5000万円 |
2021年3月 | 632億7600万円 |
2022年3月 | 1079億3800万円 |
2023年3月 | 503億3500万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均 ) / 最初の3年平均 × 100 = 61.0% となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 98.7円 | |
2015年3月 | 207.94円 | 3年平均:144.0円 |
2016年3月 | 125.21円 | |
2017年3月 | 233.12円 | |
2018年3月 | 273.49円 | |
2019年3月 | 240.62円 | |
2020年3月 | 171.03円 | |
2021年3月 | 197.89円 | |
2022年3月 | 339.23円 | 3年平均:231.8円 |
2023年3月 | 158.14円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲で東ソーのIR情報を確認すると、毎年しっかり配当が出ており、基準達成です。 ここ最近はしっかり増配されている点もいいですね。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 12円/株 | 2.52% |
2011年3月 | 12円/株 | 2.01% |
2012年3月 | 12円/株 | 2.61% |
2013年3月 | 12円/株 | 2.29% |
2014年3月 | 12円/株 | 1.51% |
2015年3月 | 20円/株 | 1.65% |
2016年3月 | 28円/株 | 2.96% |
2017年3月 | 48円/株 | 2.45% |
2018年3月 | 56円/株 | 2.68% |
2019年3月 | 56円/株 | 3.25% |
2020年3月 | 56円/株 | 4.55% |
2021年3月 | 60円/株 | 2.83% |
2022年3月 | 80円/株 | 4.41% |
2023年3月 | 80円/株 | 4.45% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは10.20倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.82倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も8.36で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高1兆643億円 |
②財務状況 | 〇 | 問題なし |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | 〇 | +61.0% |
⑤配当 | ◎ | 利回り4.45% |
⑥株価収益率 | 〇 | 10.20倍 |
⑦株価純資産倍率 | ◎ | 0.82倍 |
全項目で基準達成となり、
東ソー(株)は割安株には該当します!
という結果となりました。
財務状況もきれいで、収益も安定、成長性もあって配当しっかり、PER/PBRも十分低く、これぞ割安株ですね。
機能商品を中心としたスペシャリティ事業は、厳しい事業環境下においても増益を確保しており、能力増強した主力製品の拡販に努めるとともに、成長分野での更なる投資を継続していく。
コモディティ事業については、世界経済の回復の足取りが鈍く、製品の海外市況は当面低迷すると予想されていることから、原燃料の多様化によるコスト低減を進めるとともに、増大したコストの販売価格への転嫁にも取り組まれるそう。攻めと守りもしっかりな様子。まだまだ成長が期待できそうですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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