
こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである東ソー(株)【4042】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。


この記事でわかること
・バリュー投資の7つの基準に沿った東ソー(株)【4042】 の評価
どんな会社?
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・東ソー(株)【4042】 は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株は何か?を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。


東ソー(株)【4042】 の基本情報
・設立年月日 1935年2月11日
・上場年月日 1949年5月
・業種 化学
・特色 塩ビ・苛性ソーダ大手、石化も展開。免疫診断装置・試薬や触媒、歯科材料など機能商品を強化。
・資本金 552億円
・従業員数 (単独)3,758人 (連結)13,858人
・株価 1,712円(2022.7.8)
・単元 100株
・決算 3月末日


東ソーは1935年、アンモニアソーダ法によるソーダ灰および苛性ソーダの製造・販売を目的として設立されました。以来、無機化学製品に加えて、石油化学製品、機能商品分野へ事業領域を拡大し、2004年より、コモディティ分野とスペシャリティ分野を両軸に位置付け、2つをバランスよく強化していくハイブリッド経営を成長戦略の基本に捉えて事業を行っています。
塩の電気分解を出発点にして苛性ソーダ、塩ビ樹脂、ウレタン原料などの製品を製造するクロル・アルカリ事業が売上と利益の多くを占め、次いでバイオサイエンス事業(計測分野・診断分野)、有機化成品事業(エチレンアミン、臭素など)、高機能材料事業(セラミックス、合成ゼオライト、石英ガラス、シリカなど)の3つの領域で付加価値の高い製品を製造する機能商品事業、さらにエンジニアリング、石油化学、その他の計5つのセグメントを展開されています。
歯科治療に使われるジルコニア粉末や電池に使われる電解二酸化マンガンなど数多くのNo.1,Only1製品を持ち、技術的にもしっかりされている印象ですね。
ではここからは、東ソー(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
化学215社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 5377億7000万円(18位) |
売上高 | 9185億8000万円(13位) |
営業利益 | 1440億4500万円(7位) |
経常利益 | 1604億6700万円(6位) |
純利益 | 1079億3800万円(8位) |
営業利益率 | 15.7%(24位) |
純利益率 | 11.8%(28位) |
総資産 | 1兆876億円(16位) |
負債 | 3279億4300万円(20位) |
化学の中で売上高は第13位。総資産は第16位で業界の中では上位の一社。ただ利益率も高く、営業利益率は15.7%の業界24位、純利益率は11.8%で業界18位とかなりのもの。もちろん事業規模は文句なしです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「年内に現金になる資産(流動資産)が、年内に支払うべき負債(流動負債)の2倍以上であること」。 また、②「来年以降に支払うべき負債(長期負債=固定負債)が、流動資産からすべての負債を差し引いた純流動資産を超えていないこと」。
2022年3月期の決算短信では、東ソーの流動資産は552,517百万円、流動負債は269,878百万円、固定負債は58,064百万円なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 2.05倍で基準達成、
②は、固定負債58,064百万円 < 純流動資産22,639百万円 で基準達成となり、
よって、流動資産に対して流動/固定負債とも少なくきれいな財務状況ですね。基準達成です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
東ソーの業績を確認すると、2009年に赤字となったようですが、ここ10年は赤字がなく、基準達成です。
年度 | 純利益 |
2013年3月 | 168億6700万円 |
2014年3月 | 295億6400万円 |
2015年3月 | 622億9700万円 |
2016年3月 | 396億7500万円 |
2017年3月 | 756億6400万円 |
2018年3月 | 887億9500万円 |
2019年3月 | 781億3300万円 |
2020年3月 | 555億5000万円 |
2021年3月 | 632億7600万円 |
2022年3月 | 1079億3800万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
東ソーのIR情報を確認すると、EPSの最初の3年平均が120.9円、直近の3年平均が203.2円なので、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = 68.0% となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2013年3月 | 56.11円 | |
2014年3月 | 98.7円 | 3年平均:120.9円 |
2015年3月 | 207.94円 | |
2016年3月 | 125.21円 | |
2017年3月 | 233.12円 | |
2018年3月 | 273.49円 | |
2019年3月 | 240.62円 | |
2020年3月 | 171.03円 | |
2021年3月 | 197.89円 | 3年平均:203.2円 |
2022年3月 | 339.23円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲で東ソーのIR情報を確認すると、毎年しっかり配当が出ており、基準達成です。 ここ最近はしっかり増配されている点もいいですね。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 12円/株 | 2.52% |
2011年3月 | 12円/株 | 2.01% |
2012年3月 | 12円/株 | 2.61% |
2013年3月 | 12円/株 | 2.29% |
2014年3月 | 12円/株 | 1.51% |
2015年3月 | 20円/株 | 1.65% |
2016年3月 | 28円/株 | 2.96% |
2017年3月 | 48円/株 | 2.45% |
2018年3月 | 56円/株 | 2.68% |
2019年3月 | 56円/株 | 3.25% |
2020年3月 | 56円/株 | 4.55% |
2021年3月 | 60円/株 | 2.83% |
2022年3月 | 80円/株 | 4.41% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PER(株価収益率)」が15倍以下であること。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは5.01倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBR(株価純資産倍率)が1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.76倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も3.81で基準達成です。これはかなり優秀なのでは。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高9185億円 |
②財務状況 | ◎ | 問題なし |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | 〇 | +68.0% |
⑤配当 | ◎ | 利回り4.41% |
⑥株価収益率 | ◎ | 5.01倍 |
⑦株価純資産倍率 | ◎ | 0.76倍 |
全項目で基準達成となり、「東ソー(株)は割安株に該当する」という結果となりました。財務状況もきれいで、収益も安定、成長性もあって配当しっかり、PER/PBRも十分低く、これぞ割安株ですね。
先日の社長インタビューでは、今最大の経営課題は脱炭素と成長戦略の両立とのこと。脱炭素も進めながら、今後も成長分野への積極投資を進められるとのこと。
うん、かなりいいいですね。私自身、すごく買いたくなってます。
というわけで現時点では、「バリュー投資」の7つの基準をすべてクリアしているのは、コムシスホールディングス【1721】と積水ハウス【1928】、宝ホールディングス【2531】、SUMCO【3436】、東ソー【4042】の5社となりました。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。


以上、皆さんの参考になれば幸いです。




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