こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである三井化学(株)【4183】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った三井化学の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・三井化学は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
三井化学(株)【4183】 の基本情報
・設立年月日 1955年7月1日
・上場年月日 1962年10月
・業種 化学
・特色 三井系の総合化学メーカー。汎用の石化中心からヘルスケア、自動車向け等の機能材料へシフト。
・資本金 1,255億円
・従業員数 (単独)5,042人 (連結)18,933人
・株価 3,906円(2023.9.10)
・単元 100株
・決算 3月末日
主な事業は、「ヘルスケア事業」「モビリティ事業」「フード・パッケージ事業」「基盤素材事業」の4つ。売上、収益面では基盤素材が約50%、モビリティが25%位、以下フード、ヘルスケアの順になっています。
基盤素材事業では、ウレタン、基礎化学品など幅広い分野で使用させる大型市況品をグローバルに生産・販売しており、モビリティ事業では、自動車材料を中心に、あらゆる種類の人や物の移動手段を対象として、エラストマーを核として機能性ポリマーなどを海外に展開しています。
意外にも、メガネレンズ事業でも圧倒的な世界シェアを誇っています。
地球環境との調和の中で、材料・物質の革新と創出を通して
高品質の製品とサービスを顧客に提供し、もって広く社会に貢献する
「化学の力で社会課題を解決し、多様な価値の創造を通して持続的に成長し続ける企業グループ」を目指すべき企業グループ像として定め、化学の力で社会課題を解決し、多様な価値の創造を通して持続的に成長し続けることを目指されています。
ではここからは、三井化学(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
化学100社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 7423億8800万円(14位) |
売上高 | 1兆8795億円(6位) |
営業利益 | 1289億9800万円(4位) |
経常利益 | 1172億7800万円(5位) |
純利益 | 829億3600万円(5位) |
営業利益率 | 6.9%(51位) |
純利益率 | 4.4%(53位) |
総資産 | 2兆628億円(7位) |
負債 | 1兆1552億円(7位) |
化学の中で売上高は6位、総資産は7位。利益率は低めで、純利益率は4.4%の53位。国内大手化学メーカーの一社です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:1兆942億円
流動負債:6954億4400万円
固定負債:4894億5600万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.57倍で基準未達、
②は、固定負債4894億円 > 純流動資産3987億円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も高いですね。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
三井化学の業績を確認すると、2014年に赤字がありますね。鹿島工場の閉鎖などに伴う事業構造改善費用として206億円の特別損失を計上したとのこと。残念ながら基準未達です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | -251億3800万円 |
2015年3月 | 172億6100万円 |
2016年3月 | 229億6300万円 |
2017年3月 | 648億3900万円 |
2018年3月 | 715億8500万円 |
2019年3月 | 761億1500万円 |
2020年3月 | 339億7000万円 |
2021年3月 | 578億7300万円 |
2022年3月 | 1099億9000万円 |
2023年3月 | 829億3600万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均 ) / 最初の3年平均 × 100 = 1616.5%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | -125.51円 | |
2015年3月 | 86.21円 | 3年平均:25.2円 |
2016年3月 | 114.74円 | |
2017年3月 | 324.05円 | |
2018年3月 | 358.38円 | |
2019年3月 | 385.6円 | |
2020年3月 | 174.52円 | |
2021年3月 | 298円 | |
2022年3月 | 565.45円 | 3年平均:431.6円 |
2023年3月 | 431.47円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲で三井化学のIR情報を確認すると、きっちり配当が出てますね。基準達成です。最近は配当利回りも向上している点も好感が持てますね。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 15円/株 | 1.06% |
2011年3月 | 30円/株 | 2.04% |
2012年3月 | 30円/株 | 2.39% |
2013年3月 | 30円/株 | 2.93% |
2014年3月 | 15円/株 | 1.19% |
2015年3月 | 25円/株 | 1.3% |
2016年3月 | 40円/株 | 2.13% |
2017年3月 | 70円/株 | 2.55% |
2018年3月 | 90円/株 | 2.68% |
2019年3月 | 100円/株 | 3.74% |
2020年3月 | 100円/株 | 4.88% |
2021年3月 | 100円/株 | 2.86% |
2022年3月 | 120円/株 | 3.88% |
2023年3月 | 120円/株 | 3.52% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは8.84倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.92倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も8.13で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高1兆6126億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | △ | 2014年赤字 |
④収益成長性 | ◎ | +1616.5% |
⑤配当 | ◎ | 利回り3.52% |
⑥株価収益率 | ◎ | 8.84倍 |
⑦株価純資産倍率 | ◎ | 0.92倍 |
財務状況と収益安定性の2項目で基準未達となり、
三井化学(株)は割安株には該当しません!
という結果となりました。
成長性や配当は優秀なのですが、流動資産に対して負債が多く、赤字が出ているのは厳しいですね。
「社会課題視点」、「ソリューション型ビジネスモデル」、「サーキュラーエコノミー型ビジネスモデル」、「デジタルトランスフォーメーション(DX)」を全社・全事業に展開して従来型の素材提供型ビジネスからの転換を図るとともに、強靭な「経営基盤・事業基盤」を構築し、変革を加速する。
ここ最近はこれまで取り組んできた事業構造改革により、景気の影響を受けやすい基盤素材事業の割合を小さくする一方、収益性が高い機能化学品の事業拡大を進めており、事業ポートフォリオを変革させています。その結果、ここ最近は化学メーカーの中でも好調な業績を出しており、今後はかなり期待できそうです。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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