こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである三菱ケミカルグループ(株)【4188】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った三菱ケミカルグループの評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・三菱ケミカルグループは割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
三菱ケミカルグループ(株)【4188】 の基本情報
・設立年月日 2005年10月3日
・上場年月日 2005年10月1日
・業種 化学
・特色 総合化学首位。化学・レイヨン・樹脂が合併した三菱ケミカルが中核。製薬や産業ガス等も。
・資本金 500億円
・従業員数 (単独)430人 (連結)68,639人
・株価 898.9円(2023.9.10)
・単元 100株
・決算 3月末日
事業領域は、「機能商品」「ケミカルズ」「産業ガス」「ヘルスケア」の4つで、売上と営業利益は「機能商品」「ケミカルズ」「産業ガス」の3領域で稼ぎ出しており、化学メーカーとして世界8位、国内1位の売上高を誇ります。
2005年に三菱グループの化学メーカーである三菱化学株式会社(現・三菱ケミカル株式会社)と、その子会社の医薬品メーカー・三菱ウェルファーマ株式会社(現・田辺三菱製薬株式会社)の株式移転により、両社の共同持株会社として設立されました。
石油からできる化学製品のほとんどを製造しており、圧倒的なコスト競争力を持っている点は大きな強みですね。
私たちは、革新的なソリューションで、
人、社会、そして地球の心地よさが続いていく
KAITEKIの実現をリードしていきます。
人、社会、そして地球の心地よさがずっと続いていくことを「KAITEKI」と呼び、KAITEKIを実現することをビジョンとし、Science.Value.Life.をスローガンによりよいイノベーションによって、すべてのステークホルダーへ価値を提供し、人々の健康な暮らしや社会と地球の持続可能性に貢献して、KAITEKIの実現をリードしていくことを目指されています。
ではここからは、三菱ケミカルグループ(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
化学100社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 1兆2786億円(10位) |
売上高 | 4兆6345億円(1位) |
営業利益 | 1827億1800万円(2位) |
経常利益 | 1679億6400万円(2位) |
純利益 | 960億6600万円(3位) |
営業利益率 | 3.9%(74位) |
純利益率 | 2.1%(80位) |
総資産 | 5兆9928億円(1位) |
負債 | 3兆8525億円(1位) |
化学の中で売上高、総資産とも1位。ダントツの規模ですね。ただ利益率は低めで、純利益率は2.1%の80位。国内トップ化学メーカーです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:2兆1496億円
流動負債:1兆6638億円
固定負債:2兆1220億円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.29倍で基準未達、
②は、固定負債2兆1220億円 > 純流動資産4858億円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も高いですね。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2021年に赤字がありますね。傘下の医薬ベンチャーの収益性低下とアメリカの工場閉鎖に伴う減損損失や構造改革費用の計上によって赤字となったとのこと。残念ながら基準未達です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 322億4800万円 |
2015年3月 | 608億5900万円 |
2016年3月 | 513億5800万円 |
2017年3月 | 1562億5900万円 |
2018年3月 | 2117億8800万円 |
2019年3月 | 1695億3000万円 |
2020年3月 | 540億7700万円 |
2021年3月 | -75億5700万円 |
2022年3月 | 1771億6200万円 |
2023年3月 | 964億6100万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均 ) / 最初の3年平均 × 100 = 90.3%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 21.9円 | |
2015年3月 | 41.4円 | 3年平均:32.8円 |
2016年3月 | 35.06円 | |
2017年3月 | 106.73円 | |
2018年3月 | 147.14円 | |
2019年3月 | 119.22円 | |
2020年3月 | 38.08円 | |
2021年3月 | -5.32円 | |
2022年3月 | 124.68円 | 3年平均:62.4円 |
2023年3月 | 67.85円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、きっちり配当が出てますね。基準達成です。じわじわ増配していますし、配当利回りも向上している点も好感が持てます。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 8円/株 | 1.67% |
2011年3月 | 10円/株 | 1.91% |
2012年3月 | 10円/株 | 2.26% |
2013年3月 | 12円/株 | 2.76% |
2014年3月 | 12円/株 | 2.8% |
2015年3月 | 13円/株 | 1.86% |
2016年3月 | 15円/株 | 2.55% |
2017年3月 | 20円/株 | 2.32% |
2018年3月 | 32円/株 | 3.1% |
2019年3月 | 40円/株 | 5.13% |
2020年3月 | 32円/株 | 4.98% |
2021年3月 | 24円/株 | 2.89% |
2022年3月 | 30円/株 | 3.67% |
2023年3月 | 30円/株 | 3.82% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは13.18倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.76倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も10.02で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高3兆9769億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | △ | 2021年赤字 |
④収益成長性 | 〇 | +90.3% |
⑤配当 | ◎ | 利回り3.82% |
⑥株価収益率 | 〇 | 13.18倍 |
⑦株価純資産倍率 | ◎ | 0.76倍 |
財務状況と収益安定性の2項目で基準未達となり、
三菱ケミカルグループ(株)は割安株には該当しません!
という結果となりました。
流動資産に対して流動/固定いずれの負債も多く、赤字も出てますからね。仕方なしです。
市場の成長性、競争力(グループの強み)、サステナビリティ(カーボンニュートラル)という3つの評価基準に基づき注力事業を選別し、競争優位性を有する成長市場にフォーカスしたポートフォリオ運営を進めていく。
機能商品については、マーケット志向型の組織へ転換し、すべての製品ラインアップをグローバルに展開し、ヘルスケアにおいて構造改革を推進するとともに、グローバルに事業基盤を有する産業ガス、MMAではさらなる競争力の強化を図るとのこと。今後さらなる成長に期待しましょう。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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