こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである中外製薬(株)【4519】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った中外製薬の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・中外製薬は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
中外製薬(株)【4519】 の基本情報
・設立年月日 1943年3月8日
・上場年月日 1956年3月
・業種 医薬品
・特色 ロシュ傘下で成長続ける異色の医薬品大手。抗体・バイオで先行、抗がん剤、骨・関節領域に強い。
・資本金 732億円
・従業員数 (単独)-人 (連結)7,911人
・株価 4,527円(2023.9.17)
・単元 100株
・決算 12月末日
2002年にスイスの大手医薬品メーカー、エフ・ホフマン・ラ・ロシュとの「戦略的アライアンス」に基づきロシュグループに傘下入りし、主力製品は「ヘムライブラ(血友病治療薬)」、「ロナプリーブ(新型コロナ治療薬)」、「テセントリク(免疫チェックポイント阻害薬)」、「エンスプリング(視神経脊髄炎治療薬)」です。
ロシュの創薬品と旧来の中外製薬のバイオ医薬による開発力とのシナジー効果による開発パイプラインを持ち、新薬売り上げ構成比の6割超は、国が革新的な新薬の創出を加速する目的で導入した制度の対象品目となっています。抗がん剤では現在国内シェア1位です。
ライオンに営業譲渡した「バルサン」や「新グロモント」、「中外胃腸薬」なんかも元々は中外製薬の主力商品だったそうです。
革新的な医薬品とサービスの提供を通じて新しい価値を創造し、世界の医療と人々の健康に貢献します
2014年には、新たなスローガンとして「創造で、想像を超える。」を制定し、これまでの常識や枠組みにとらわれず、世の中の人々が待ち望むもの、そしてその期待を超えていくものを継続的に生み出すことにより、ヘルスケア産業のトップイノベーターを目指すという姿勢を示されています。
ではここからは、中外製薬(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
医薬品72社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 7兆4481億円(3位) |
売上高 | 1兆2599億円(5位) |
営業利益 | 5333億900万円(1位) |
経常利益 | 5311億6600万円(1位) |
純利益 | 3744億2900万円(1位) |
営業利益率 | 42.3%(2位) |
純利益率 | 29.7%(3位) |
総資産 | 1兆8315億円(5位) |
負債 | 3182億6600万円(7位) |
医薬品の中で売上高は3位、総資産は5位。利益率はかなりの高さで、純利益率は29.7%の3位。国内医薬品メーカーの最大手の一社です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2022年12月期の決算短信によると、
流動資産:1兆3365億円
流動負債:4237億3000万円
固定負債:216億4100万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 3.15倍で基準達成、
②は、固定負債216億円 < 純流動資産9127億円 で基準達成となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も極めて低く、すごくきれいな財務状況です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、毎年きっちり利益を上げられており、右肩上がりの傾向です。もちろん赤字はありません。というわけで基準達成です。
年度 | 純利益 |
2013年12月 | 508億9500万円 |
2014年12月 | 509億8000万円 |
2015年12月 | 611億2500万円 |
2016年12月 | 535億9200万円 |
2017年12月 | 727億1300万円 |
2018年12月 | 924億8800万円 |
2019年12月 | 1575億6000万円 |
2020年12月 | 2147億3300万円 |
2021年12月 | 3029億9500万円 |
2022年12月 | 3744億2900万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均 ) / 最初の3年平均 × 100 = 444.4%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2013年12月 | 31.16円 | |
2014年12月 | 31.18円 | 3年平均:33.2円 |
2015年12月 | 37.33円 | |
2016年12月 | 32.71円 | |
2017年12月 | 44.35円 | |
2018年12月 | 56.36円 | |
2019年12月 | 95.95円 | |
2020年12月 | 130.66円 | |
2021年12月 | 184.29円 | 3年平均:180.9円 |
2022年12月 | 227.64円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、きっちり配当が出てますね。しかも配当利回りは控え目ながらここ数年はほぼ連続増配であり、すばらしいです。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2009年12月 | 13.33円/株 | 2.3% |
2010年12月 | 13.33円/株 | 2.68% |
2011年12月 | 13.33円/株 | 3.15% |
2012年12月 | 13.33円/株 | 2.42% |
2013年12月 | 15円/株 | 1.94% |
2014年12月 | 16円/株 | 1.62% |
2015年12月 | 19.33円/株 | 1.37% |
2016年12月 | 17.33円/株 | 1.55% |
2017年12月 | 20.67円/株 | 1.07% |
2018年12月 | 28.67円/株 | 1.35% |
2019年12月 | 46.67円/株 | 1.39% |
2020年12月 | 55円/株 | 1.61% |
2021年12月 | 76円/株 | 2.03% |
2022年12月 | 78円/株 | 2.32% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは19.89倍であり、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは4.92倍であり、①のPBRは基準未達です。
②のPER × PBR は97.86で基準未達です。これはちょっと株価が高すぎますね。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高1兆2599億円 |
②財務状況 | ◎ | 文句なし |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | ◎ | +444.4% |
⑤配当 | 〇 | 利回り2.32% |
⑥株価収益率 | △ | 19.89倍 |
⑦株価純資産倍率 | × | 4.92倍 |
株価収益率と株価純資産倍率の2項目が基準未達となり、
中外製薬(株)は割安株には該当しません!
という結果となりました。
財務状況は非常にきれいで利益も右肩上がりでしっかり、しかもほぼ連続増配と、非常に優秀なのですが、その分既に株価が上がりすぎてますね。仕方ないので、今後安くなるのを待ちましょう。
独自のサイエンス力・技術力とロシュとの戦略的アライアンスを基盤とした成長ドライバーをグローバル市場で確実に価値最大化すること、そして後続の革新的新薬をいち早く創出し、高い患者価値を証明しつつ迅速な開発を成し遂げることで、今後も持続的な利益成長を目指す。
ロシュの充実したパイプラインにより日本市場における安定した収益基盤を確保しながら、自社創製品の後期開発や販売ではロシュのグローバル・プラットフォームを活用する、高い生産性を実現するビジネスモデルを最大限活用し、自社創薬に資源を集中し、革新的な研究開発プロジェクトを連続的に創出するという好循環が期待できそうですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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