
こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つであるエーザイ(株)【4523】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。


この記事でわかること
・バリュー投資の7つの基準に沿ったエーザイ(株)【4523】 の評価
どんな会社?
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・エーザイ(株)【4523】 は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株は何か?を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。


エーザイ(株)【4523】 の基本情報
・設立年月日 1941年12月6日
・上場年月日 1961年9月
・業種 医薬品
・特色 神経系、がん領域に強み。認知症薬は米バイオジェンと、抗がん薬では米メルクと国際協業推進。
・資本金 449億円
・従業員数 (単独)3,034人 (連結)11,322人
・株価 6,344円(2022.7.22)
・単元 100株
・決算 3月末日


エーザイは、医薬品の研究開発、製造、販売および輸出入を行っており、設立75年以上を誇る大手製薬メーカーです。
1960年代に東南アジアに進出した事を皮切りに海外展開を進めており、世界規模の研究開発・生産・販売拠点ネットワークを構築しています。特に戦略的重点領域として位置づけている、「認知症・中枢神経領域」「がん領域」を中心とするアンメット・メディカル・ニーズの高い領域において、革新的な新薬の創出と提供に取り組んでいます。
現在の主力商品は1990年代に発売した自社開発製品のアリセプトとパリエット/アシフェックスで、この二つで売上のおよそ60%を占めており、売上高に占める自社開発品の比率が約90%と高く、かつ海外での売上比率も全売上高の半数超と多いのが特徴です。
また、米国においては、創薬・研究・開発・生産・物流・営業まで、製品販売にかかわる全ての部門をエーザイ、もしくはその子会社で持つ唯一の日本の製薬会社です。
企業理念は、「患者様と生活者の皆様の喜怒哀楽を考え、そのベネフィット向上を第一義とし、世界のヘルスケアの多様なニーズを充足する」であり、めざす企業像を「一人ひとりが法令と倫理を遵守したビジネス活動を徹底し、いかなる医療システム下においても存在意義のあるヒューマン・ヘルスケア企業」として掲げています。
ではここからは、エーザイ(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
医薬品71社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 1兆8023億円(8位) |
売上高 | 7562億2600万円(6位) |
営業利益 | 537億5000万円(9位) |
経常利益 | 544億5800万円(10位) |
純利益 | 479億5400万円(10位) |
営業利益率 | 7.1%(35位) |
純利益率 | 6.3%(37位) |
総資産 | 1兆2393億円(7位) |
負債 | 4677億8200万円(6位) |
医薬品の中で売上高は6位、総資産は7位。利益率は低めで、営業利益率は7.1%で業界35位、純利益率は6.3%と業界37位。大手医薬品メーカーの一社であり、事業規模は文句なしです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「年内に現金になる資産(流動資産)が、年内に支払うべき負債(流動負債)の2倍以上であること」。 また、②「来年以降に支払うべき負債(長期負債=固定負債)が、流動資産からすべての負債を差し引いた純流動資産を超えていないこと」。
2022年3月期の決算短信では、流動資産は518,344百万円、流動負債は256,017百万円、固定負債は106,050百万円なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 2.02倍で基準達成、
②は、固定負債106,050百万円 < 純流動資産262,327百万円 で基準達成となり、
よって、負債に対して流動資産の割合が基準以上であり、財務状況は問題なしですね。基準達成です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、毎年きっちり利益を上げられており、赤字はありません。というわけで基準達成です。
年度 | 純利益 |
2013年3月 | 516億7400万円 |
2014年3月 | 382億5100万円 |
2015年3月 | 432億5400万円 |
2016年3月 | 549億3300万円 |
2017年3月 | 393億5800万円 |
2018年3月 | 518億4500万円 |
2019年3月 | 633億8600万円 |
2020年3月 | 1217億6700万円 |
2021年3月 | 419億4200万円 |
2022年3月 | 479億5400万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
IR情報を確認すると、 EPSの最初の3年平均が153.3円、直近の3年平均が246.2円なので、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = 60.6% となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2013年3月 | 174.24円 | |
2014年3月 | 134.13円 | 3年平均:153.3円 |
2015年3月 | 151.57円 | |
2016年3月 | 192.23円 | |
2017年3月 | 137.62円 | |
2018年3月 | 181.18円 | |
2019年3月 | 221.34円 | |
2020年3月 | 425.01円 | |
2021年3月 | 146.34円 | 3年平均:246.2円 |
2022年3月 | 167.27円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、きっちり配当が出てますね。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 150円/株 | 4.5% |
2011年3月 | 150円/株 | 5.03% |
2012年3月 | 150円/株 | 4.56% |
2013年3月 | 150円/株 | 3.57% |
2014年3月 | 150円/株 | 3.73% |
2015年3月 | 150円/株 | 1.76% |
2016年3月 | 150円/株 | 2.22% |
2017年3月 | 150円/株 | 2.6% |
2018年3月 | 150円/株 | 2.21% |
2019年3月 | 150円/株 | 2.41% |
2020年3月 | 160円/株 | 2.02% |
2021年3月 | 160円/株 | 2.16% |
2022年3月 | 160円/株 | 2.82% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PER(株価収益率)」が15倍以下であること。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは31.92倍であり、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBR(株価純資産倍率)が1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは2.43倍であり、①のPBRは基準未達です。
②のPER × PBR は77.57で基準未達です。
これはかなり株価が高い、ということになりますね。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高7562億円 |
②財務状況 | 〇 | 問題なし |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | 〇 | +60.6% |
⑤配当 | 〇 | 利回り2.82% |
⑥株価収益率 | × | 31.92倍 |
⑦株価純資産倍率 | × | 2.43倍 |
株価収益率と株価純資産倍率の2項目で基準未達となり、「エーザイ(株)は割安株に該当しない」という結果となりました。財務状況は問題なく、利益や配当もしっかり、非常に優秀なのですが、それだけに既に株価が上がりすぎてますね。残念です。
アルツハイマー病の治療薬としてアメリカの製薬会社バイオジェンと共同開発した新薬「アデュカヌマブ」で世界的にも注目されていますし、ESGの分野でも他社に大きく先行した取り組みを実践しているそうで、国内の製薬企業をリードする一社として今後も注目は必要ですね。
というわけで現時点では、
「バリュー投資」の7つの基準をすべてクリアしているのは、
・コムシスホールディングス【1721】
・積水ハウス【1928】
・宝ホールディングス【2531】
・SUMCO【3436】
・東ソー【4042】
の5社です。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。


以上、皆さんの参考になれば幸いです。




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