
こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つであるテルモ(株)【4543】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。


この記事でわかること
・バリュー投資の7つの基準に沿ったテルモ(株)【4543】 の評価
どんな会社?
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・テルモ(株)【4543】 は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株は何か?を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。


テルモ(株)【4543】 の基本情報
・設立年月日 1921年9月17日
・上場年月日 19621年6月21日
・業種 精密機器
・特色 医療機器大手。カテーテルなど心臓血管分野に強み。医薬品類も。米国、中国などで生産拡大。
・資本金 387億円
・従業員数 (単独)5,377人 (連結)28,294人
・株価 4,523円(2022.7.24)
・単元 100株
・決算 3月末日


テルモは、体温計の国産化から始まり、設立以来、医療の基盤を支え続けてきました。 現在は、カテーテル治療、心臓外科手術、薬剤投与、糖尿病管理、腹膜透析、輸血や細胞治療などに関する幅広い製品・サービスを提供しています。
現在の主力製品は「高度管理医療機器」として最も厳格な管理が必要とされています。 血管内治療に用いられるガイドワイヤーや、多品種にわたる診断用・治療用カテーテルを生産するとともに、心臓外科手術やECMO(体外式膜型人工肺)に用いられる人工肺を素材から組み立てまで一貫生産し、世界各国に供給しています。
企業理念は、「医療を通じて社会に貢献する」。医療の分野において価値ある商品とサービスを提供し、Respect(尊重)、Integrity(誠実)、Care(ケア)、Quality(品質)、Creativity(創造力)の5つをコアバリューとし、医療を支える人・受ける人双方の信頼に応え、社会に貢献することを目指されています。
ではここからは、テルモ(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
精密機器49社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 3兆2748億円(3位) |
売上高 | 7033億300万円(2位) |
営業利益 | 1159億6000万円(2位) |
経常利益 | 1145億100万円(3位) |
純利益 | 888億1300万円(3位) |
営業利益率 | 16.5%(10位) |
純利益率 | 12.6%(10位) |
総資産 | 1兆4736億円(1位) |
負債 | 4613億7900万円(3位) |
精密機器の中で売上高は2位、総資産は1位。利益率も高く、営業利益率は16.5%で業界10位、純利益率は12.6%と業界10位。精密機器メーカーとして最大手の一社であり、事業規模は文句なしです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「年内に現金になる資産(流動資産)が、年内に支払うべき負債(流動負債)の2倍以上であること」。 また、②「来年以降に支払うべき負債(長期負債=固定負債)が、流動資産からすべての負債を差し引いた純流動資産を超えていないこと」。
2022年3月期の決算短信では、流動資産は558,713百万円、流動負債は177,721百万円、固定負債は283,658百万円なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 3.14倍で基準達成、
②は、固定負債283,658百万円 < 純流動資産380,992百万円 で基準達成となり、
よって、負債に対して流動資産の割合が基準以上であり、財務状況は問題なしですね。基準達成です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、毎年きっちり利益を上げられており、赤字はありません。というわけで基準達成です。
年度 | 純利益 |
2013年3月 | 470億1400万円 |
2014年3月 | 340億9600万円 |
2015年3月 | 384億7000万円 |
2016年3月 | 506億7600万円 |
2017年3月 | 550億300万円 |
2018年3月 | 912億9500万円 |
2019年3月 | 794億7000万円 |
2020年3月 | 852億1100万円 |
2021年3月 | 772億6800万円 |
2022年3月 | 888億1300万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
IR情報を確認すると、 EPSの最初の3年平均が52.5円、直近の3年平均が111.3円なので、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = 112.0% となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2013年3月 | 61.9円 | |
2014年3月 | 44.89円 | 3年平均:52.5円 |
2015年3月 | 50.66円 | |
2016年3月 | 67.57円 | |
2017年3月 | 76.15円 | |
2018年3月 | 129.56円 | |
2019年3月 | 108.7円 | |
2020年3月 | 113.96円 | |
2021年3月 | 102.33円 | 3年平均:111.3円 |
2022年3月 | 117.45円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、利回りは低めですけどきっちり配当が出てますね。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 8円/株 | 0.64% |
2011年3月 | 8.5円/株 | 0.78% |
2012年3月 | 9.75円/株 | 0.99% |
2013年3月 | 11円/株 | 1.09% |
2014年3月 | 14.5円/株 | 1.29% |
2015年3月 | 15.25円/株 | 0.96% |
2016年3月 | 19.5円/株 | 0.97% |
2017年3月 | 21円/株 | 1.09% |
2018年3月 | 25円/株 | 0.89% |
2019年3月 | 27円/株 | 0.8% |
2020年3月 | 28円/株 | 0.75% |
2021年3月 | 29円/株 | 0.73% |
2022年3月 | 34円/株 | 0.91% |
なお、株主優待は3月末および9月末の権利確定で血圧計、体温計、栄養補助食品、圧迫ストッキングなどの一部の自社製品を特別価格で購入できます。 また3月末の権利確定で自社オリジナルカレンダーがもらえます。さらに9月末の権利確定で自社施設であるテルモメディカルプラネックスの見学会に抽選で参加できます。
なお、株主優待は3月末および9月末の権利確定で血圧計や体温計、栄養補助食品、圧迫ストッキングなど一部の自社製品が特別価格で購入できます。また3月末の権利確定で自社オリジナルカレンダーがもらえます。さらに9月末の権利確定で自社施設であるテルモメディカルプラネックスの見学会に抽選で参加できます。




⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PER(株価収益率)」が15倍以下であること。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは34.21倍であり、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBR(株価純資産倍率)が1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは3.38倍であり、①のPBRは基準未達です。
②のPER × PBR は115.63で基準未達です。
これはかなり株価が高い、ということになりますね。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高7033億円 |
②財務状況 | ◎ | 問題なし |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | ◎ | +112.0% |
⑤配当 | 〇 | 利回り0.91% |
⑥株価収益率 | × | 34.21倍 |
⑦株価純資産倍率 | × | 3.38倍 |
株価収益率と株価純資産倍率の2項目で基準未達となり、「テルモ(株)は割安株に該当しない」という結果となりました。財務状況は問題なく、利益や配当もしっかり、非常に優秀なのですが、それだけに既に株価が上がりすぎてますね。残念です。
テルモは、2026年度に営業利益率を20%以上に引き上げ、売上高1兆円を目指す5カ年の成長戦略を描いています。これまでのデバイス中心の事業から、医療現場の課題解決や患者の生活の質(QOL)向上などを見据えたソリューション中心の事業に移行することで、成長性・収益性を高め、特に米国と中国の2大市場で大きく売り上げを伸ばすとのこと。日本の高い技術を世界の医療分野で活かしていっていただきたいものです。
というわけで現時点では、
「バリュー投資」の7つの基準をすべてクリアしているのは、
・コムシスホールディングス【1721】
・積水ハウス【1928】
・宝ホールディングス【2531】
・SUMCO【3436】
・東ソー【4042】
の5社です。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。


以上、皆さんの参考になれば幸いです。




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