
こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つであるコニカミノルタ(株)【4902】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。


この記事でわかること
・バリュー投資の7つの基準に沿ったコニカミノルタ(株)【4902】 の評価
どんな会社?
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・コニカミノルタ(株)【4902】 は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株は何か?を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。


コニカミノルタ(株)【4902】 の基本情報
・設立年月日 1936年12月22日
・上場年月日 1949年5月
・業種 電気機器
・特色 複合機中堅。関連サービスも展開。液晶TACフィルム世界シェア3割。X線撮影装置(DR)も。
・資本金 375億円
・従業員数 (単独)4,545人 (連結)39,121人
・株価 480円(2022.8.3)
・単元 100株
・決算 3月末日


コニカミノルタはもともと、カメラ・写真フィルムメーカーとして創業し、創業から約150年に亘って培った4つのコア技術「材料・画像・光学・微細加工」を進化させ、現在ではオフィスサービスからヘルスケア、プラネタリウムに至るまで、多彩なビジネスを展開しています。
海外売上高比率は80%と高く、世界150カ国で販売・サービスをグローバルに展開。モノづくりの会社から進化し、先端のICT技術を掛け合わせ、多分野で顧客・社会の課題提起・解決に挑戦する「課題提起型デジタルカンパニー」です。
メーカーを超えた「課題提起型デジタルカンパニー」を目指し、オフィスソリューション、介護向けソリューション、プレシジョンメディシン(個別化医療)事業などの領域にも参入しています。
企業理念は、「新しい価値の創造」、経営ビジョンは「Imaging to the People」。お客さまの「みたい」を実現することで、グローバル社会から支持され、必要とされる企業、人と社会の持続的な成長に貢献する、足腰のしっかりした、進化し続けるイノベーション企業を目指されています。
ではここからは、コニカミノルタ(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
電気機器247社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 2320億4700万円(49位) |
売上高 | 9114億2600万円(19位) |
営業利益 | -222億9700万円(247位) |
経常利益 | -236億1700万円(247位) |
純利益 | -261億2300万円(247位) |
営業利益率 | -%(-位) |
純利益率 | -%(-位) |
総資産 | 1兆4115億円(19位) |
負債 | 8289億7900万円(14位) |
電気機器の中で売上高は19位、総資産も19位。残念ながら昨年は業界最大の赤字であり、利益率は算出不可ですが電気機器メーカーの中で大手の一社であり、事業規模は文句なしです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「年内に現金になる資産(流動資産)が、年内に支払うべき負債(流動負債)の2倍以上であること」。 また、②「来年以降に支払うべき負債(長期負債=固定負債)が、流動資産からすべての負債を差し引いた純流動資産を超えていないこと」。
2022年3月期の決算短信によると、
流動資産:6638億8100万円
流動負債:5231億1900万円
固定負債:3058億5900万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.27倍で基準未達、
②も、固定負債3058億5900万円 > 純流動資産1402億6200万円 で基準未達となり、
よって、流動資産に対して流動/固定負債いずれの割合も高く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、うーん。ここ3年が赤字ですね。特に赤字幅の大きかった2022年3月期は、監視カメラを手掛ける独子会社などで約109億円の減損損失を計上したほか、米国での遺伝子診断事業の売掛金の回収見込み額が約92億円減り、主力の事務機も物流の遅れや半導体不足などによる事業環境の悪化が響いたそうです。これはいけません。というわけで基準未達です。
年度 | 純利益 |
2013年3月 | 151億2400万円 |
2014年3月 | 283億5400万円 |
2015年3月 | 409億3400万円 |
2016年3月 | 319億7300万円 |
2017年3月 | 315億4200万円 |
2018年3月 | 322億4800万円 |
2019年3月 | 417億500万円 |
2020年3月 | -30億7300万円 |
2021年3月 | -152億1100万円 |
2022年3月 | -261億2300万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
IR情報を確認すると、EPSの最初の3年平均が54.4円、直近の3年平均が-30.0円なので、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = -155.1% となり、基準未達です。
年度 | EPS | |
2013年3月 | 28.45円 | |
2014年3月 | 53.67円 | 3年平均:54.4円 |
2015年3月 | 81.01円 | |
2016年3月 | 64.39円 | |
2017年3月 | 63.65円 | |
2018年3月 | 65.17円 | |
2019年3月 | 84.33円 | |
2020年3月 | -6.21円 | |
2021年3月 | -30.74円 | 3年平均:-30.0円 |
2022年3月 | -52.93円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、きっちり配当が出てますね。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 15円/株 | 1.37% |
2011年3月 | 15円/株 | 2.15% |
2012年3月 | 15円/株 | 2.07% |
2013年3月 | 15円/株 | 2.18% |
2014年3月 | 17.5円/株 | 1.82% |
2015年3月 | 20円/株 | 1.64% |
2016年3月 | 30円/株 | 3.14% |
2017年3月 | 30円/株 | 3.01% |
2018年3月 | 30円/株 | 3.29% |
2019年3月 | 30円/株 | 2.75% |
2020年3月 | 25円/株 | 5.69% |
2021年3月 | 25円/株 | 4.17% |
2022年3月 | 30円/株 | 5.81% |
なお、株主優待は9月末の権利確定で100株以上でオリジナルカレンダーがもらえます。


⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PER(株価収益率)」が15倍以下であること。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは43.09倍であり、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBR(株価純資産倍率)が1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.42倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も18.10で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高9114億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | × | 2020年,2021年,2022年赤字 |
④収益成長性 | × | -155.1% |
⑤配当 | ◎ | 利回り5.81%+優待あり |
⑥株価収益率 | × | 43.09倍 |
⑦株価純資産倍率 | ◎ | 0.42倍 |
財務状況と収益安定性/成長性、株価収益率の4項目で基準未達となり、「コニカミノルタ(株)は割安株に該当しない」という結果となりました。特にここ3年が赤字なのは厳しすぎますね。
コニカミノルタは現在、2020年の新型コロナウイルスの影響によってオフィス事業が大きなダメージを受け、「個別・分散・リモート」において、コニカミルノタの強みを生かす経営へとシフト。体質転換を図っており、2025年度までに、「オフィスからデジタルワークプレイス事業への転換」、「画像IoTを軸とした計測、検査、診断事業の拡大」という2つのポートフォリオ転換の完遂に取り組むそうです。依然として厳しい経営環境のなかにありますが、今後どのように転換していくのかに注目です。
というわけで現時点では、
「バリュー投資」の7つの基準をすべてクリアしているのは、
・コムシスホールディングス【1721】
・積水ハウス【1928】
・宝ホールディングス【2531】
・SUMCO【3436】
・東ソー【4042】
の5社です。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。


以上、皆さんの参考になれば幸いです。




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