こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つであるENEOSホールディングス(株)【5020】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿ったENEOSホールディングスの評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・ENEOSホールディングスは割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
ENEOSホールディングス(株)【5020】 の基本情報
・設立年月日 2010年4月1日
・上場年月日 2010年4月1日
・業種 石油・石炭製品
・特色 2017年4月に東燃ゼネラルと経営統合、国内シェア5割の石油元売り首位。銅など非鉄事業兼営。
・資本金 1000億円
・従業員数 (単独)873人 (連結)44,617人
・株価 522円(2023.10.9)
・単元 100株
・決算 3月末日
基盤事業として石油輸送、製油所、地熱、風力やバイオ燃料といった再生可能エネルギー、産業用の石炭や各種燃料などを供給しています。資源事業としてはベトナム・ノルウェー・イギリスの油田開発の他、日本で唯一海外での石炭鉱山オペレータを行なう企業としてオーストラリアでの開発なども手掛けています。
ENEOSホールディングスは、石油精製・販売大手の新日本石油株式会社(現・ENEOS株式会社)と新日鉱ホールディングス株式会社(現・JX金属株式会社)が経営統合して設立されました。両社合わせたガソリンスタンド数は1万3千で当時2位のエクソンモービルの2倍以上、燃料油販売量の国内占有率も約34%という圧倒的シェアとなっています。
石油会社として、世界で売上高第8位なんだそう。すごい規模です。
地球の力を、社会の力に、そして人々の暮らしの力に。エネルギー・資源・素材における創造と革新を通じて、社会の発展と活力ある未来づくりに貢献します。
大切にしたい価値観として、「高い倫理観」「安全・環境・健康」「お客様本位」「挑戦」「向上心」を掲げ、時代の要請に真摯に向き合い、商品・サービスの安定的な供給に努めるとともに、新たな価値を生み出すことを目指し、今日と未来の課題解決に取り組まれています。
ではここからは、ENEOSホールディングス(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
石油・石炭製品10社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 1兆5735億円(1位) |
売上高 | 15兆165億円(1位) |
営業利益 | 2812億8500万円(2位) |
純利益 | 1437億6600万円(2位) |
営業利益率 | 1.9%(6位) |
純利益率 | 1.0%(7位) |
総資産 | 10兆3056億円(1位) |
負債 | 6兆9562億円(1位) |
石油・石炭製品の中で売上高、総資産とも1位。利益率は低めで純利益率は1.0%の7位。石油・石炭製品メーカーの中でダントツのトップ企業です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:4兆8877億円
流動負債:3兆4677億円
固定負債:3兆1992億円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.41倍で基準未達、
②は、固定負債3兆1992億円 > 純流動資産1兆4200億円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も高いですね。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2015年と2016年、2020年が赤字ですね。2020年は原油価格の急落に加えて、新型コロナの影響で航空機などの燃料や自動車のガソリン需要が減り、仕入れた原油価格が目減りして損失になったそう。というわけで基準未達です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 1070億4200万円 |
2015年3月 | -2772億1200万円 |
2016年3月 | -2736億700万円 |
2017年3月 | 1500億800万円 |
2018年3月 | 3619億2200万円 |
2019年3月 | 3223億1900万円 |
2020年3月 | -1879億4600万円 |
2021年3月 | 1139億9800万円 |
2022年3月 | 5371億1700万円 |
2023年3月 | 1437億6600万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均 ) / 最初の3年平均 × 100 は計算上∞となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 43.05円 | |
2015年3月 | -111.49円 | 3年平均:-59.5円 |
2016年3月 | -110.04円 | |
2017年3月 | 60.33円 | |
2018年3月 | 105.92円 | |
2019年3月 | 95.36円 | |
2020年3月 | -57.86円 | |
2021年3月 | 35.48円 | |
2022年3月 | 167.27円 | 3年平均:83.1円 |
2023年3月 | 46.57円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、きっちり配当が出てますね。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2011年3月 | 15.5円/株 | 2.77% |
2012年3月 | 16円/株 | 3.12% |
2013年3月 | 16円/株 | 3.07% |
2014年3月 | 16円/株 | 3.22% |
2015年3月 | 16円/株 | 3.46% |
2016年3月 | 16円/株 | 3.69% |
2017年3月 | 16円/株 | 2.93% |
2018年3月 | 19円/株 | 2.95% |
2019年3月 | 21円/株 | 4.14% |
2020年3月 | 22円/株 | 5.95% |
2021年3月 | 22円/株 | 4.38% |
2022年3月 | 22円/株 | 4.8% |
2022年3月 | 22円/株 | 4.73% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは8.74倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.54倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も4.72で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高15兆円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | × | 2015年,2016年,2020年赤字 |
④収益成長性 | ◎ | +∞% |
⑤配当 | ◎ | 利回り4.73% |
⑥株価収益率 | ◎ | 8.74倍 |
⑦株価純資産倍率 | ◎ | 0.54倍 |
財務状況と収益安定性の2項目で基準未達となり、
ENEOSホールディングス(株)は割安株には該当しません!
という結果となりました。
流動/固定いずれの負債も多く、赤字が10年中3年もあるのは厳しいですね。
「確かな収益の礎の確立」と「エネルギートランジションの実現に向けた取り組みの加速」及び「経営基盤の強化」を「3つの柱」を掲げ、化石燃料中心のポートフォリオを脱炭素分野へシフトしながら、エネルギートランジションを進化させていく。
ENEOSも出光興産と同様、世界的に脱炭素化、脱化石燃料が進む中、化石燃料に絡む産業各社は事業構造の転換を迫られています。温室ガス排出ゼロと希望を謳い、太陽光やバイオマス、風力発電への転換をとなるのでしょうが、現代社会の現実的なエネルギー供給を本当に担えるのか、国内トップ企業であるENEOSに課せられた使命なのかもしれませんね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
👇👇👇ブログランキングに参加中 👇👇👇
👇押していただけると励みになります 👇
コメント