
こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである横浜ゴム(株)【5101】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。


この記事でわかること
・バリュー投資の7つの基準に沿った横浜ゴム(株)【5101】 の評価
どんな会社?
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・横浜ゴム(株)【5101】 は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株は何か?を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。


横浜ゴム(株)【5101】 の基本情報
・設立年月日 1917年10月13日
・上場年月日 1950年4月
・業種 ゴム製品
・特色 タイヤ国内3位。農機や産業車両向けタイヤ強化。ホース配管や工業資材、ゴルフクラブも展開。
・資本金 389億円
・従業員数 (単独)5,258人 (連結)27,621人
・株価 1,963円(2022.8.6)
・単元 100株
・決算 12月末日


横浜ゴムは、工業用ホース、自動車用ホース、カップリング、コンベヤベルト、海洋製品、土木製品、航空機部品など、幅広い製品を取り扱っています。 長期にわたり世界的に重要な役割を果たし、自動車、石油、ガス、鉱業、建設、航空宇宙などのさまざまな産業の発展に貢献しています。
タイヤが売上の約7割を占める主力事業で、乗用車に装着する一般タイヤから氷雪上路面を走行するウインタータイヤ、トラック・バス用タイヤ、建設車両などで使用される大型の特殊タイヤ、モータースポーツ用タイヤまであらゆるカテゴリーのタイヤを開発・生産しています。
基本理念は「心と技術をこめたモノづくりにより 幸せと豊かさに貢献します」、将来に向けて一貫してこだわり続ける目指すべき姿とされており、企業スローガンは「すごいをさりげなく」。すっきりと分かりやすいスローガンですね。
ではここからは、横浜ゴム(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
ゴム製品19社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 3152億8700万円(3位) |
売上高 | 6708億900万円(3位) |
営業利益 | 836億3600万円(2位) |
経常利益 | 851億9900万円(2位) |
純利益 | 655億円(2位) |
営業利益率 | 12.5%(3位) |
純利益率 | 9.8%(6位) |
総資産 | 1兆613億円(3位) |
負債 | 4924億9800万円(3位) |
ゴム製品の中で売上高は3位、総資産も3位。利益率も高めで純利益率は9.8%の6位。ゴム製品メーカーの中でも上位の一社であり、事業規模は文句なしです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「年内に現金になる資産(流動資産)が、年内に支払うべき負債(流動負債)の2倍以上であること」。 また、②「来年以降に支払うべき負債(長期負債=固定負債)が、流動資産からすべての負債を差し引いた純流動資産を超えていないこと」。
2022年12月期の決算短信によると、
流動資産:4294億4000万円
流動負債:2800億9500万円
固定負債:2124億300万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.53倍で基準未達、
②も、固定負債2124億300万円 > 純流動資産1493億4500万円 で基準未達となり、
よって、流動資産に対して流動/固定負債いずれの割合も高く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2009年に赤字が出ていますが、それ以降は赤字はなく安定して毎年利益を上げています。というわけで基準達成です。
年度 | 純利益 |
2012年12月 | 326億1100万円 |
2013年12月 | 350億700万円 |
2014年12月 | 405億200万円 |
2015年12月 | 363億700万円 |
2016年12月 | 93億6200万円 |
2017年12月 | 399億7500万円 |
2018年12月 | 356億2300万円 |
2019年12月 | 419億7100万円 |
2020年12月 | 263億1200万円 |
2021年12月 | 655億円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
IR情報を確認すると、EPSの最初の3年平均が219.2円、直近の3年平均が278.1円なので、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = 26.8%となり、惜しくも基準未達です。
年度 | EPS | |
2012年12月 | 190.37円 | |
2013年12月 | 216.64円 | 3年平均:219.2円 |
2014年12月 | 250.67円 | |
2015年12月 | 226.07円 | |
2016年12月 | 58.39円 | |
2017年12月 | 249.31円 | |
2018年12月 | 222.12円 | |
2019年12月 | 261.62円 | |
2020年12月 | 164.09円 | 3年平均:278.1円 |
2021年12月 | 408.47円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、きっちり配当が出てますね。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2009年3月 | 20円/株 | 2.44% |
2010年3月 | 20円/株 | 2.27% |
2011年3月 | 20円/株 | 2.48% |
2011年12月 | 14円/株 | 1.62% |
2012年12月 | 40円/株 | 3.23% |
2013年12月 | 44円/株 | 2.13% |
2014年12月 | 52円/株 | 2.35% |
2015年12月 | 52円/株 | 2.78% |
2016年12月 | 52円/株 | 2.48% |
2017年12月 | 62円/株 | 2.24% |
2018年12月 | 62円/株 | 3% |
2019年12月 | 64円/株 | 3% |
2020年12月 | 64円/株 | 4.17% |
2021年12月 | 65円/株 | 3.53% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PER(株価収益率)」が15倍以下であること。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは7.87倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBR(株価純資産倍率)が1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.56倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も4.41で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高6708億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | △ | +26.8% |
⑤配当 | ◎ | 利回り3.53% |
⑥株価収益率 | ◎ | 7.87倍 |
⑦株価純資産倍率 | ◎ | 0.56倍 |
財務状況と収益成長性の2項目で基準未達となり、「横浜ゴム(株)は割安株に該当しない」という結果となりました。流動/固定いずれの負債も多く、収益の成長性がちょっと足りないですね。
タイヤ原料の約30%を占める天然ゴムは、環境破壊や病害など多くのリスクを抱えます。一方、合成ゴムは化石資源由来のため、将来的な枯渇のリスクや二酸化炭素排出の課題があり、いかに低燃費に貢献する原材料を開発するかということ加え、“持続可能性”のある材料開発が急務となっています。
今回基準を下回った収益成長性の改善を実現するためには、このような環境対応の技術開発はコストアップになる可能性が高く、ある意味相反する課題なのかもしれませんが、タイヤメーカーにとって避けられない課題です。今後、利益と環境、それぞれが両立できるような革新的な技術開発が進むことに期待したいです。
というわけで現時点では、
「バリュー投資」の7つの基準をすべてクリアしているのは、
・コムシスホールディングス【1721】
・積水ハウス【1928】
・宝ホールディングス【2531】
・SUMCO【3436】
・東ソー【4042】
の5社です。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。


以上、皆さんの参考になれば幸いです。




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