こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである(株)ブリヂストン【5108】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿ったブリヂストンの評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・ブリヂストンは割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
(株)ブリヂストン【5108】 の基本情報
・設立年月日 1931年3月1日
・上場年月日 1961年10月
・業種 ゴム製品
・特色 タイヤで世界首位。米ファイアストン買収など世界展開。タイヤ管理などサービス型事業を加速。
・資本金 1,263億円
・従業員数 (単独)13,903人 (連結)129,262人
・株価 5,855円(2023.10.9)
・単元 100株
・決算 12月末日
大きく分けて「コア事業(タイヤ事業)」「成長事業(ソリューション事業)」「多角化事業」3つの事業を展開されており、主力の「コア事業(タイヤ事業)」では、乗用車用、トラック・バス用、鉱山・建設車両用、産業車両用、農業機械用、航空機用、二輪自動車用のタイヤ・チューブ、タイヤ関連用品、自動車整備・補修、タイヤ原材料などを扱われています。
「成長事業(ソリューション事業)」は、 タイヤ/タイヤデータを活用し、高付加価値を提供する事業であるタイヤセントリックソリューションや、タイヤ/ タイヤデータ/ モビリティデータを活用し、新しい価値を提供する事業であるモビリティソリューションからなります。
「多角化事業」では、自動車関連部品、ウレタンフォーム及びその関連用品、電子精密部品、工業資材関連用品、建築資材関連用品などの化工品、Bridgestone Americas, Inc.が統括する多角化事業、ゴルフボール、ゴルフクラブなどのスポーツ関連用品、自転車及び関連用品、ファイナンスなど、非常に幅広いですね。
世界各地にタイヤのサプライチェーンを有し、強固な基盤を持ってリスク分散ができている点は圧倒的ですね。
最高の品質で社会に貢献
「誠実協調」常に誠意をもって、仕事、人、社会と向き合うこと。
「進取独創」世の中で起こっていることを、常にお客様の目線で理解すること。
「現物現場」現場に足を運び、「真実」を自らの目で確かめること。
「熟慮断行」物事を遂行する際は、様々な場面やあらゆる可能性を想定し、深く考えること。
の4つを心構えとしています。すごく練り上げられた企業理念という印象です。
ではここからは、(株)ブリヂストンに対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
ゴム製品19社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 4兆84億円(1位) |
売上高 | 4兆1100億円(1位) |
営業利益 | 4412億9800万円(1位) |
純利益 | 3003億6700万円(1位) |
営業利益率 | 10.7%(5位) |
純利益率 | 7.3%(6位) |
総資産 | 5兆3913億円(1位) |
負債 | 2兆177億円(1位) |
ゴム製品の中で売上高、総資産ともダントツの1位。利益率も高く、純利益率は7.3%の6位。世界首位のタイヤメーカーです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2022年12月期の決算短信によると、
流動資産:2兆5126億円
流動負債:1兆858億円
固定負債:8639億100万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 2.31倍で基準達成、
②は、固定負債8639億円 < 純流動資産1兆4268億円 で基準達成となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も低く、きれいな財務状況ですね。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、うーん、2020年に赤字が出てますね。20年12月期から減損判定がシビアな国際会計基準へ移行したためで、「その他の費用」として中国でのトラック・バス向けやロシアでの乗用車向けタイヤなどによる減損損失や海外工場の閉鎖協議に関する引当金を計上したことが響いたそう。1951年以来69年ぶりの赤字なんだとか。それ以降は非常に安定しているのですが。残念ながら基準未達です。
年度 | 純利益 |
2013年12月 | 2020億5300万円 |
2014年12月 | 3005億8900万円 |
2015年12月 | 2842億9400万円 |
2016年12月 | 2655億5000万円 |
2017年12月 | 2882億7500万円 |
2018年12月 | 2916億4200万円 |
2019年12月 | 2401億1100万円 |
2020年12月 | -233億100万円 |
2021年12月 | 3940億3700万円 |
2022年12月 | 3003億500万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均 ) / 最初の3年平均 × 100 = -4.6%となり、基準未達です。
年度 | EPS | |
2013年12月 | 258.1円 | |
2014年12月 | 383.84円 | 3年平均:335.0円 |
2015年12月 | 362.99円 | |
2016年12月 | 339.04円 | |
2017年12月 | 375.67円 | |
2018年12月 | 387.95円 | |
2019年12月 | 332.31円 | |
2020年12月 | -33.09円 | |
2021年12月 | 559.56円 | 3年平均:319.6円 |
2022年12月 | 432.2円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、きっちり配当が出てますね。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2009年12月 | 16円/株 | 0.98% |
2010年12月 | 20円/株 | 1.27% |
2011年12月 | 22円/株 | 1.26% |
2012年12月 | 32円/株 | 1.44% |
2013年12月 | 57円/株 | 1.43% |
2014年12月 | 100円/株 | 2.38% |
2015年12月 | 130円/株 | 3.11% |
2016年12月 | 140円/株 | 3.32% |
2017年12月 | 150円/株 | 2.86% |
2018年12月 | 160円/株 | 3.78% |
2019年12月 | 160円/株 | 3.93% |
2020年12月 | 110円/株 | 3.25% |
2021年12月 | 170円/株 | 3.44% |
2022年12月 | 175円/株 | 3.73% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは11.96倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.21倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も14.47で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高4.1兆円 |
②財務状況 | 〇 | 問題なし |
③収益安定性 | △ | 2020年赤字 |
④収益成長性 | △ | -4.6% |
⑤配当 | ◎ | 利回り3.73% |
⑥株価収益率 | 〇 | 11.96倍 |
⑦株価純資産倍率 | 〇 | 1.21倍 |
収益安定性と収益成長性の2項目で基準未達となり、
(株)ブリヂストンは割安株には該当しません!
という結果となりました。
財務状況はきれいですし、利益率も良好なので2020年の赤字さえなければクリアだった可能性が高いのですが、惜しいところです。
「過去の課題に正面から向き合い、先送りしない」、「足元をしっかり、実行と結果に拘る」、2030年をマイルストンとした「将来への布石を打つ」の3つの課題に取り組む。
ブリヂストンにとって、汎用品のタイヤは現地企業との価格競争が激しく利益が出なくなっており、稼ぐ力を取り戻すための事業や生産拠点の再編が大きな経営課題となっています。自動車部品や建材など非タイヤ事業の売上高を23年には6割減らし、非タイヤ事業は会社の売却や撤退などで連結対象から外すなどすることで、今後は本業のタイヤ、それも高級タイヤに集中する計画とのこと。今後の動きに注目です。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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