こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである住友電気工業(株)【5802】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った住友電工の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・住友電工は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
住友電気工業(株)【5802】 の基本情報
・設立年月日 1911年8月
・上場年月日 1949年5月
・業種 非鉄金属
・特色 電線首位。自動車用ワイヤハーネスで世界大手の一角。光ファイバーなど通信インフラも大手。
・資本金 997億円
・従業員数 (単独)7,504人 (連結)280,753人
・株価 1,838円(2023.11.23)
・単元 100株
・決算 3月末日
1691年の住友家による別子銅山の開発に始まり、「自動車」「情報通信」「エレクトロニクス」「環境エネルギー」「産業素材」の5つの分野で事業を展開しています。
近年は従来の電線事業の他に光ファイバーの製造技術による光通信システム、粉末冶金、超硬合金、半導体材料などの新素材など、新分野の開発でも多くの実績を残しており、製造業としては海外展開の最も進んだ企業の一つです。
事業範囲が広く、日系自動車メーカー向けに各種製品で高シェアを持っているのも大きな強みですね。
●顧客の要望に応え、最も優れた製品・サービスを提供します
●技術を創造し、変革を生み出し、絶えざる成長に努めます
●社会的責任を自覚し、よりよい社会、環境づくりに貢献します
●高い企業倫理を保持し、常に信頼される会社を目指します
●自己実現を可能にする、生き生きとした企業風土を育みます
「Glorious Excellent Company」の実現に向けて、不易の精神である「住友事業精神」と「住友電工グループ経営理念」を堅持しつつ、持続的に成長、発展する企業となることを目指されています。
ではここからは、住友電気工業(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
非鉄金属34社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 1兆4334億円(1位) |
売上高 | 4兆55億円(1位) |
営業利益 | 1774億4300万円(1位) |
純利益 | 1126億5400万円(2位) |
営業利益率 | 4.4%(17位) |
純利益率 | 2.8%(20位) |
総資産 | 4兆1582億円(1位) |
負債 | 1兆9298億円(1位) |
非鉄金属の中で売上高、総資産とも1位。利益率は低めで、純利益率は2.8%の20位。非鉄金属メーカーのトップ企業です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:2兆1626億円
流動負債:1兆3994億円
固定負債:5027億8200万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.55倍で基準未達、
②は、固定負債5027億円 < 純流動資産7632億円 で基準達成となり、
流動資産に対して流動負債が割合が高いですね。残念ながら基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、毎年しっかり利益を出されています。基準達成です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 667億4800万円 |
2015年3月 | 1197億7100万円 |
2016年3月 | 910億100万円 |
2017年3月 | 1075億6200万円 |
2018年3月 | 1203億2800万円 |
2019年3月 | 1180億6300万円 |
2020年3月 | 727億2000万円 |
2021年3月 | 563億4400万円 |
2022年3月 | 963億600万円 |
2023年3月 | 1126億5400万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均 ) / 最初の3年平均 × 100 = -2.8%となり、基準未達です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 84.15円 | |
2015年3月 | 151円 | 3年平均:116.6円 |
2016年3月 | 114.73円 | |
2017年3月 | 137.61円 | |
2018年3月 | 154.29円 | |
2019年3月 | 151.38円 | |
2020年3月 | 93.24円 | |
2021年3月 | 72.25円 | |
2022年3月 | 123.49円 | 3年平均:113.4円 |
2023年3月 | 144.45円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、毎年しっかり配当が出ています。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 16円/株 | 1.4% |
2011年3月 | 19円/株 | 1.65% |
2012年3月 | 19円/株 | 1.68% |
2013年3月 | 20円/株 | 1.72% |
2014年3月 | 22円/株 | 1.43% |
2015年3月 | 30円/株 | 1.9% |
2016年3月 | 35円/株 | 2.56% |
2017年3月 | 40円/株 | 2.17% |
2018年3月 | 46円/株 | 2.83% |
2019年3月 | 48円/株 | 3.27% |
2020年3月 | 40円/株 | 3.51% |
2021年3月 | 32円/株 | 1.93% |
2022年3月 | 50円/株 | 3.42% |
2023年3月 | 50円/株 | 2.95% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは13.28倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.72倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も9.56で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高4兆55億円 |
②財務状況 | △ | 流動負債多い |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | × | -2.8% |
⑤配当 | 〇 | 利回り2.95% |
⑥株価収益率 | 〇 | 13.28倍 |
⑦株価純資産倍率 | ◎ | 0.72倍 |
財務状況と収益成長性の2項目で基準未達となり、
住友電気工業(株)は割安株には該当しません!
という結果となりました。
流動資産に対して流動負債の割合が高く、収益の成長性が物足りないですね。すごく安定はしているんですが、仕方なしです。
成長を牽引する「エネルギー」「情報通信」「モビリティ」の注力3分野において、「脱炭素社会」「情報化社会」で広がる事業機会を捉えたグループ横断的な9つのテーマを「成長テーマ」として位置づけ、それらへの取組みを通して技術で新たな価値を創造し、「グリーンな地球と安心・快適な暮らし」の実現を目指す。
足踏み状態となっている収益力の回復を図るため、自動車関連事業では一層のコスト低減と生産の効率化に取り組み、需要変動に耐えうる筋肉質な事業体質の構築が望まれます。また、情報通信事業では、光ケーブルなどのクラウドサービス市場の拡大や5Gの本格立ち上がりに関連する製品の生産能力増強と需要の確実な捕捉など、事業環境に的確に対応して中長期的な企業価値向上を目指すとのこと。経営基盤はしっかりされてますので、今後の成長に期待ですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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