
こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである(株)フジクラ【5803】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。


この記事でわかること
・バリュー投資の7つの基準に沿った(株)フジクラ【5803】 の評価
どんな会社?
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・(株)フジクラ【5803】 は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株は何か?を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。


(株)フジクラ【5803】 の基本情報
・設立年月日 1910年3月18日
・上場年月日 1949年5月
・業種 非鉄金属
・特色 電線御三家の一角。独立系。フレキシブルプリント基板(FPC)で世界有数。不動産収益厚い。
・資本金 530億円
・従業員数 (単独)2,528人 (連結)52,434人
・株価 968円(2022.9.2)
・単元 100株
・決算 3月末日


フジクラは、明治18年の創業以来、電線、ケーブルの研究、開発、製造で培ってきたDNA“つなぐ”テクノロジーを通じて、エネルギー・情報通信といったインフラ関連事業、電子部品を中心としたエレクトロニクス事業、自動車用ワイヤハーネスを中心とした自動車電装事業など4つの事業分野で高い信頼の製品、サービスを顧客に提供しています。
エネルギー・情報通信事業では、光ファイバで常に世界トップレベルであり、光ファイバを極低損失で接続する光融着接続機では世界トップシェアです。電力会社向け電力ケーブル・架空送電線から汎用低電圧ケーブル・産業用ケーブルまで電力インフラに必要不可欠な製品をグローバルに届けています。
エレクトロニクス事業では、スマートフォンやデジタルカメラなどの最先端機器に、小型・軽量化に最適なフレキシブルプリント配線板をはじめ、多様な電子部品、モジュールをトータルに提供するトータルソリューションを実現しています。
自動車電装事業では、自動車用ワイヤハーネス、車内LAN、シートセンサ、環境対応で需要増が見込まれる電気自動車用給電コネクタなど、トータルな配線システムを提供しています。
経営理念としては、
「”つなぐ”テクノロジーを通じ顧客の価値創造と社会に貢献する」
「”つなぐ”テクノロジーの分野であくなき挑戦を続け 価値ある商品及びソリューションの提供により 顧客の信頼に応え社会に貢献します」
をミッションとして掲げ、
ビジョンとして、
「”つなぐ”テクノロジーの分野で、顧客に最も信頼されるパートナーになる」
「先進的で有用性の高い商品とソリューションを継続的に開発し、”つなぐ”テクノロジーの分野でリーダーになる」
「一人ひとりが主役として行動し、世界で通用する有能な人財集団になる」
ことを目指されています。
“つなぐ”テクノロジー、なかなか刺さるキーワードですね。
ではここからは、(株)フジクラに対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
非鉄金属35社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 2716億3300万円(5位) |
売上高 | 6703億5000万円(7位) |
営業利益 | 382億8800万円(6位) |
経常利益 | 340億8900万円(7位) |
純利益 | 391億100万円(6位) |
営業利益率 | 5.7%(15位) |
純利益率 | 5.8%(12位) |
総資産 | 6584億1900万円(8位) |
負債 | 3934億6800万円(7位) |
非鉄金属の中で売上高は7位、総資産は8位。利益率もそこそこで、純利益率は5.8%の12位。非鉄金属メーカーの電線御三家ですからね、もちろん事業規模は文句なしです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「年内に現金になる資産(流動資産)が、年内に支払うべき負債(流動負債)の2倍以上であること」。 また、②「来年以降に支払うべき負債(長期負債=固定負債)が、流動資産からすべての負債を差し引いた純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:3955億8000万円
流動負債:2142億3400万円
固定負債:1792億3400万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.85倍で基準未達、
②は、固定負債1792億3400万円 < 純流動資産1813億4600万円 で基準達成となり、
よって、流動資産に対して流動負債の割合が若干高く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2020年と2021年に赤字がありますね。特に赤字の大きかった2020年は価格競争が激化した光ファイバーが落ち込んだ上、新型コロナウイルスの影響で欧州の車向け部材も振るわず、それぞれ工場設備などで減損損失を計上、繰り延べ税金資産も取り崩したとのこと。残念ながら基準未達です。
年度 | 純利益 |
2013年3月 | 30億4900万円 |
2014年3月 | 33億2800万円 |
2015年3月 | 122億100万円 |
2016年3月 | 113億1700万円 |
2017年3月 | 129億円 |
2018年3月 | 183億5900万円 |
2019年3月 | 14億5300万円 |
2020年3月 | -385億1000万円 |
2021年3月 | -53億6900万円 |
2022年3月 | 391億100万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
IR情報を確認すると、EPSの最初の3年平均が18.8円、直近の3年平均が-4.7円なので、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = -125.2%となり、基準未達です。
年度 | EPS | |
2013年3月 | 8.45円 | |
2014年3月 | 9.99円 | 3年平均:18.8円 |
2015年3月 | 37.93円 | |
2016年3月 | 36.98円 | |
2017年3月 | 44.6円 | |
2018年3月 | 64.36円 | |
2019年3月 | 5.09円 | |
2020年3月 | -136.58円 | |
2021年3月 | -19.5円 | 3年平均:-4.7円 |
2022年3月 | 141.85円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、2021年が無配ですね。これはいけません、基準未達です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 5円/株 | 0.93% |
2011年3月 | 6円/株 | 1.49% |
2012年3月 | 5円/株 | 1.81% |
2013年3月 | 5円/株 | 1.71% |
2014年3月 | 6円/株 | 1.27% |
2015年3月 | 7円/株 | 1.33% |
2016年3月 | 8円/株 | 1.51% |
2017年3月 | 10円/株 | 1.25% |
2018年3月 | 14円/株 | 1.94% |
2019年3月 | 12円/株 | 2.88% |
2020年3月 | 5円/株 | 1.6% |
2021年3月 | 0円/株 | 0% |
2022年3月 | 10円/株 | 1.6% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PER(株価収益率)」が15倍以下であること。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは7.85倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBR(株価純資産倍率)が1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.10倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も8.64で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高6703億円 |
②財務状況 | △ | 流動負債多い |
③収益安定性 | × | 2020年,2021年赤字 |
④収益成長性 | × | -125.2% |
⑤配当 | △ | 2021年無配 |
⑥株価収益率 | ◎ | 7.85倍 |
⑦株価純資産倍率 | 〇 | 1.10倍 |
財務状況と収益成長性/成長性、配当の4項目が基準未達となり、「(株)フジクラは割安株に該当しない」という結果となりました。流動資産に対して流動負債の割合が高く、赤字があること、2021年が無配であること、これだけ未達があれば仕方なしです。
まずは赤字体質の解消と成長性の確保、経営方針でも述べられていますが、新たな価値創出を目指し、市場ニーズや需要の動向などを見極めながら、当社のコア事業・技術を活かせる重点テーマに絞り込んで、新規事業の創出、新製品の開発を継続し、成果を実現すること。技術力のある会社であることは伺えますので、技術的な見地から自社の未来のあるべき姿を見定め、しっかりと成長軌道に乗せていけるかどうかですね。
というわけで現時点では、
「バリュー投資」の7つの基準をすべてクリアしているのは、
・コムシスホールディングス【1721】
・積水ハウス【1928】
・宝ホールディングス【2531】
・SUMCO【3436】
・東ソー【4042】
・日本ガイシ【5333】
の6社となりました。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。


以上、皆さんの参考になれば幸いです。




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