こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである日立建機(株)【6305】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った日立建機の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・日立建機は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
日立建機(株)【6305】 の基本情報
・設立年月日 1970年10月1日
・上場年月日 1981年12月17日
・業種 機械
・特色 油圧ショベル軸に建機で国内2位、世界で3位圏。鉱山機械も展開。日立製作所が一部株式売却。
・資本金 815億円
・従業員数 (単独)5,762人 (連結)25,881人
・株価 3,842円(2023.12.3)
・単元 100株
・決算 3月末日
油圧ショベルを主力とする建設機械および鉱山向けなどの産業機器製造と販売・アフターサービス・レンタルなどを行っています。
日立製作所が手掛けていた建設機械の製造部門が1969年11月に日立建設機械製造として分社化されたもので、それ以前に設立されていた建設機械の販売やサービス会社と1970年10月に合併して発足した会社で、建設機械業界では日本でコマツに次ぐ2位、世界でキャタピラー、コマツに次ぐ3位の規模です。
純国産技術による油圧ショベルを日本で初めて開発した企業であり、独自の研究開発と圧倒的な技術力が強みです。
豊かな大地、豊かな街を未来へ・・・
快適な生活空間づくりに貢献する。
「Challenge(チャレンジ精神)」「Custome(個客志向)」「Communication(風通しの良さ)」という3つの「C」をキーワードとする「Kenkijinスピリット」を原動力に、顧客の期待に応え、革新的な製品・サービス・ソリューションを協創し、ともに新たな価値を創造し続けることを目指されています。
ではここからは、日立建機(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
機械100社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 8170億9200万円(9位) |
売上高 | 1兆2794億円(7位) |
営業利益 | 1333億1000万円(4位) |
純利益 | 701億7500万円(6位) |
営業利益率 | 10.4%(31位) |
純利益率 | 5.5%(53位) |
総資産 | 1兆7608億円(6位) |
負債 | 9813億3500万円(5位) |
機械の中で売上高は7位、総資産は6位。利益率は中位で、純利益率は5.5%の53位。建設機械では国内および世界でも大手の一社です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:9089億500万円
流動負債:6148億7000万円
固定負債:3110億9300万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.48倍で基準未達、
②は、固定負債3110億円 > 純流動資産2940億円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も高く、残念ながら基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、毎年しっかり利益を上げられています。基準達成です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 357億4700万円 |
2015年3月 | 260億2300万円 |
2016年3月 | 88億400万円 |
2017年3月 | 80億2200万円 |
2018年3月 | 600億400万円 |
2019年3月 | 685億4200万円 |
2020年3月 | 411億7100万円 |
2021年3月 | 103億4000万円 |
2022年3月 | 758億2600万円 |
2023年3月 | 701億7500万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = +121.3%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 168.3円 | |
2015年3月 | 122.44円 | 3年平均:110.7円 |
2016年3月 | 41.41円 | |
2017年3月 | 37.72円 | |
2018年3月 | 282.16円 | |
2019年3月 | 322.31円 | |
2020年3月 | 193.61円 | |
2021年3月 | 48.62円 | |
2022年3月 | 356.57円 | 3年平均:245.1円 |
2023年3月 | 330円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、毎年しっかり配当が出ています。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 10円/株 | 0.45% |
2011年3月 | 20円/株 | 0.96% |
2012年3月 | 30円/株 | 1.64% |
2013年3月 | 40円/株 | 1.97% |
2014年3月 | 50円/株 | 2.52% |
2015年3月 | 60円/株 | 2.85% |
2016年3月 | 40円/株 | 2.24% |
2017年3月 | 12円/株 | 0.43% |
2018年3月 | 85円/株 | 2.07% |
2019年3月 | 100円/株 | 3.4% |
2020年3月 | 60円/株 | 2.74% |
2021年3月 | 20円/株 | 0.56% |
2022年3月 | 110円/株 | 3.44% |
2023年3月 | 110円/株 | 3.58% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは8.34倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.11倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も9.26で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高1兆2794億円 |
②財務状況 | △ | 流動負債多い |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | ◎ | +121.3% |
⑤配当 | ◎ | 利回り3.58% |
⑥株価収益率 | ◎ | 8.34倍 |
⑦株価純資産倍率 | 〇 | 1.11倍 |
財務状況のみが基準未達となり、
日立建機(株)は割安株に該当しません!
という結果となりました。
流動資産に対して流動負債の割合が若干高いですね。その他項目はしっかりクリアできているだけに惜しいところでした。
卓越した技術をベースに、革新的な製品・サービス・ソリューションを顧客や連携パートナーと協創する。そして、この取り組みを通じて、ビジョンである豊かな大地、豊かな街を未来へつなげるための新たな価値を創造し、安全で持続可能な社会の実現に貢献する。
日立建機は、2022年4月に現在の機能別組織体制を見直し、業種や製品の大きさ別に設計・製造・販売・サービスが一体となったビジネスユニット制を導入しています。顧客の課題解決と持続的な成長を加速する体制を構築するのが目的とのことなので、今後の製品・サービス事業の強化とソリューション事業の拡大に期待ですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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