こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである(株)ジェイテクト【6473】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿ったジェイテクトの評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・ジェイテクトは割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
(株)ジェイテクト【6473】 の基本情報
・設立年月日 1935年1月18日
・上場年月日 1949年5月
・業種 機械
・特色 光洋精工と豊田工機が合併、電動パワステ等自動車部品、車・産機向け軸受け、工作機械が3本柱。
・資本金 455億円
・従業員数 (単独)11,350人 (連結)46,150人
・株価 1,248.5円(2023.12.10)
・単元 100株
・決算 3月末日
トヨタグループ主要13社に属する機械・自動車部品製造会社。 世界で1位のシェアを誇る「電動パワーステアリング」をはじめとした、クオリティの高い製品を製造しており、 トヨタ以外の自動車メーカーにも製品を供給しています。
主力製品は自動車のステアリング、駆動系部品、軸受け(ベアリング)、工作機械、メカトロニクス製品などで、ホームエレベーターなどの住宅機器の製造も行っています。
ステアリングシステムなどで世界トップシェアを持っており、その技術力が強みです。
事業活動を通じて社会課題を解決し、「地球のため、世の中のため、お客様のため」に貢献する企業であり続ける。
社員一人ひとりが「本気」になり、活発な「対話」を通して、「全員参加」で「絶え間無い改善」を実践していきます。ジェイテクトは「安全第一・品質第二」と「No.1&Only One」にこだわり、広がり続ける未来のために「地球、世の中、お客様」に貢献し続け、その先にあるシアワセを創り出すことを目指されています。
ではここからは、(株)ジェイテクトに対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
機械100社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 4282億2300万円(15位) |
売上高 | 1兆6781億円(5位) |
営業利益 | 493億2500万円(11位) |
純利益 | 342億7600万円(12位) |
営業利益率 | 2.9%(83位) |
純利益率 | 2.0%(83位) |
総資産 | 1兆5647億円(7位) |
負債 | 8045億9500万円(6位) |
機械の中で売上高は5位、総資産は7位。利益率は低めで、純利益率は2.0%の83位。パワステ業界では世界トップ企業です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:7352億9900万円
流動負債:4277億5500万円
固定負債:3128億6400万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.72倍で基準未達、
②は、固定負債3128億円 > 純流動資産3075億円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も高く、残念ながら基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2020年に赤字がありますね。主力の機械器具部品事業で、米中貿易摩擦の激化や中国の景気減速に加え、新型コロナウイルスの感染拡大により需要が減少し、売上高が伸び悩んだことと、欧州の連結子会社で減損損失を特別損失に計上したことが響いたとのこと。残念ながら基準未達です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 233億8400万円 |
2015年3月 | 425億2000万円 |
2016年3月 | 486億7200万円 |
2017年3月 | 475億2200万円 |
2018年3月 | 496億9700万円 |
2019年3月 | 272億4800万円 |
2020年3月 | -37億9400万円 |
2021年3月 | 8億円 |
2022年3月 | 206億8200万円 |
2023年3月 | 342億7600万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = -51.4%となり、基準未達です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 68.4円 | |
2015年3月 | 124.24円 | 3年平均:111.5円 |
2016年3月 | 141.91円 | |
2017年3月 | 138.56円 | |
2018年3月 | 144.9円 | |
2019年3月 | 79.45円 | |
2020年3月 | -11.06円 | |
2021年3月 | 2.33円 | |
2022年3月 | 60.3円 | 3年平均:54.2円 |
2023年3月 | 99.94円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、毎年きっちり配当が出ていますね。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 11円/株 | 1% |
2011年3月 | 16円/株 | 1.48% |
2012年3月 | 16円/株 | 1.61% |
2013年3月 | 16円/株 | 1.79% |
2014年3月 | 18円/株 | 1.17% |
2015年3月 | 34円/株 | 1.81% |
2016年3月 | 42円/株 | 2.88% |
2017年3月 | 42円/株 | 2.43% |
2018年3月 | 43円/株 | 2.73% |
2019年3月 | 44円/株 | 3.23% |
2020年3月 | 38円/株 | 5.17% |
2021年3月 | 16円/株 | 1.42% |
2022年3月 | 18円/株 | 1.87% |
2023年3月 | 30円/株 | 2.94% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは10.71倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.59倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も6.32で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高1兆6781億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | △ | 2020年赤字 |
④収益成長性 | × | -51.4% |
⑤配当 | 〇 | 利回り2.94% |
⑥株価収益率 | 〇 | 10.74倍 |
⑦株価純資産倍率 | ◎ | 0.59倍 |
財務状況と収益安定性/成長性、配当の3項目で基準未達となり、
(株)ジェイテクトは割安株に該当しません!
という結果となりました。
流動資産に対して流動/固定負債の割合が高い上、赤字もあり、成長性も足りませんね。仕方なしです。
自動車事業、産機・軸受事業、工作機械、システム事業の既存事業で創出した資金を、将来の事業の柱の創出・育成や社会課題を解決する新領域の開拓等、将来への種まきに投じ、これらの取組みによって「年輪経営」を実現し、経営基盤を強化していく。
ジェイテクトの課題は利益率の低さ。2020年度のグループ方針では、主要な取組みとして掲げている4つのキーワード「人づくり、仕組みづくり」「経営基盤強化」「競争力強化」「将来への種まき」に対応する施策を進めているとのこと。損益分岐点の引き下げがなかなか難しいようですが、「競争力強化」「将来への種まき」については少しずつ芽が出つつあるのこと。今後の成長に期待ですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
👇👇👇ブログランキングに参加中 👇👇👇
👇押していただけると励みになります 👇
コメント