こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである(株)日立製作所【6501】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った日立製作所の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・日立製作所は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
(株)日立製作所【6501】 の基本情報
・設立年月日 1920年2月1日
・上場年月日 1949年5月
・業種 電気機器
・特色 総合電機・重電首位で事業広範囲。総合路線見直し、インフラ系重視の戦略に。海外事業を拡大。
・資本金 4,617億円
・従業員数 (単独)29,065人 (連結)326,249人
・株価 9,997円(2023.12.11)
・単元 100株
・決算 3月末日
日立グループの中核企業であり、世界有数の総合電機メーカーです。IT、エネルギー、インダストリー、モビリティ、ライフ(日立ハイテク含む)、日立建機(売却予定)、日立金属(売却予定)、その他の8の部門から構成されており、日本の全業種中でもトヨタ自動車に次ぐ規模の従業員数を誇る巨大企業です。
現在の茨城県日立市にあった銅と硫化鉄鉱を産出する久原鉱業所日立鉱山を前身とし、この日立鉱山を母体として誕生した久原財閥から日産コンツェルンが形成され、日立鉱山で使用する機械の修理製造部門から日立製作所を設立、その後日本最大規模の総合電機メーカー、そして世界有数の大手電機メーカーとして発展してきました。
110年を超える歴史が培った世界トップクラスの総合力が強みです。
優れた自主技術・製品の開発を通じて社会に貢献する
日立創業の精神である「和・誠・開拓者精神」という価値を堅持し、「日立は、社会が直面する課題にイノベーションで応えます。優れたチームワークとグローバル市場での豊富な経験によって、活気あふれる世界をめざします。」をビジョンに掲げ、データとテクノロジーで持続可能な社会の実現と人々の幸せの両立に挑戦されています。
ではここからは、(株)日立製作所に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
電気機器100社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 9兆1447億円(4位) |
売上高 | 10兆8811億円(1位) |
営業利益 | -(-位) |
純利益 | 6491億2400万円(2位) |
営業利益率 | -%(-位) |
純利益率 | 6.0%(44位) |
総資産 | 13兆4752億円(2位) |
負債 | 7兆6494億円(2位) |
電気機器の中で売上高は1位、総資産は2位。利益率は中位で、純利益率は6.0%の44位。世界の日立ですからね。文句なしの規模です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:5兆9285億円
流動負債:5兆1661億円
固定負債:1兆9996億円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.15倍で基準未達、
②は、固定負債1兆9996億円 > 純流動資産7624億円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も高く、残念ながら基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2008年~2010年の3年は赤字ですが、ここ10年は毎年しっかり利益を上げられており問題ありません。基準達成です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 4138億7700万円 |
2015年3月 | 2174億8200万円 |
2016年3月 | 1721億5500万円 |
2017年3月 | 2312億6100万円 |
2018年3月 | 3629億8800万円 |
2019年3月 | 2225億4600万円 |
2020年3月 | 875億9600万円 |
2021年3月 | 5016億1300万円 |
2022年3月 | 5834億7000万円 |
2023年3月 | 6491億2400万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = +117.3%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 428.46円 | |
2015年3月 | 225.19円 | 3年平均:277.3円 |
2016年3月 | 178.27円 | |
2017年3月 | 239.23円 | |
2018年3月 | 375.49円 | |
2019年3月 | 230.21円 | |
2020年3月 | 90.71円 | |
2021年3月 | 519.29円 | |
2022年3月 | 603.75円 | 3年平均:602.5円 |
2023年3月 | 684.55円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、毎年きっちり配当が出ていますね。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2011年3月 | 40円/株 | 1.85% |
2012年3月 | 40円/株 | 1.51% |
2013年3月 | 50円/株 | 1.84% |
2014年3月 | 52.5円/株 | 1.38% |
2015年3月 | 60円/株 | 7.29% |
2016年3月 | 60円/株 | 2.28% |
2017年3月 | 65円/株 | 2.16% |
2018年3月 | 75円/株 | 1.95% |
2019年3月 | 90円/株 | 2.51% |
2020年3月 | 95円/株 | 3.02% |
2021年3月 | 105円/株 | 2.1% |
2022年3月 | 125円/株 | 2.03% |
2023年3月 | 145円/株 | 2% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは17.93倍であり、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.71倍であり、①のPBRは基準未達です。
②のPER × PBR も30.66で基準未達です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高10兆8811億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | ◎ | +117.3% |
⑤配当 | 〇 | 利回り2% |
⑥株価収益率 | △ | 17.93倍 |
⑦株価純資産倍率 | △ | 1.71倍 |
財務状況と株価収益率、株価純資産倍率の3項目で基準未達となり、
(株)日立製作所は割安株に該当しません!
という結果となりました。
流動資産に対して流動/固定負債の割合がかなり高いですね。株価もちょっと割高感ですし、仕方なしです。
「デジタル」「グリーン」「イノベーション」の3つを成長の柱とし、グループ一体となったOne Hitachiでのグローバルな成長により、めざす社会を実現する。
2022年から成長の10年に入ることを宣言している日立。その中心となるのがグリーンとデジタル。次期中期経営計画では、顧客データから価値を創出し、デジタルイノベーションを加速するための日立の先進的なデジタル技術を活用したソリューション/サービス/テクノロジーの総称である「Lumada」を基盤にしたソリューションを広げていくとのこと。総合電機メーカーとして今後さらなる発展を続けられるかに注目です。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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