
こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである(株)日立製作所【6501】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。


この記事でわかること
・バリュー投資の7つの基準に沿った(株)日立製作所【6501】 の評価
どんな会社?
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・ (株)日立製作所【6501】は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株は何か?を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。


(株)日立製作所【6501】 の基本情報
・設立年月日 1920年2月1日
・上場年月日 1949年5月
・業種 電気機器
・特色 総合電機・重電首位で事業広範囲。総合路線見直し、インフラ系重視の戦略に。海外事業を拡大。
・資本金 4,617億円
・従業員数 (単独)29,565人 (連結)372,293人
・株価 6,278円(2022.9.28)
・単元 100株
・決算 3月末日


日立製作所は日立グループの中核企業であり、世界有数の総合電機メーカーです。IT、エネルギー、インダストリー、モビリティ、ライフ(日立ハイテク含む)、日立建機(売却予定)、日立金属(売却予定)、その他の8の部門から構成されており、日本の全業種中でもトヨタ自動車に次ぐ規模の従業員数を誇る巨大企業です。
前身は、現在の茨城県日立市にあった銅と硫化鉄鉱を産出する久原鉱業所日立鉱山です。この日立鉱山を母体として久原財閥が誕生し、久原財閥の流れを受けて日産コンツェルンが形成され、日立鉱山で使用する機械の修理製造部門が1910年に国産初の5馬力誘導電動機(モーター)を完成させて日立製作所が設立され、その後日本最大規模の総合電機メーカー、そして世界有数の大手電機メーカーとして発展してきました。
グループの企業理念は、「優れた自主技術・製品の開発を通じて社会に貢献する」。この使命を実現するために、日立創業の精神である「和・誠・開拓者精神」という価値を堅持しています。
ではここからは、(株)日立製作所に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
電気機器247社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 6兆4625億円(3位) |
売上高 | 10兆2646億円(1位) |
営業利益 | -(-位) |
経常利益 | 8393億3300万円(2位) |
純利益 | 5834億7000万円(2位) |
営業利益率 | -%(-位) |
純利益率 | 5.7%(132位) |
総資産 | 14兆6020億円(2位) |
負債 | 8兆9529億円(2位) |
電気機器の中で売上高は1位、総資産は2位。利益率もまずまずで、純利益率は5.7%の132位。世界の日立ですからね。事業規模は文句なしです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「年内に現金になる資産(流動資産)が、年内に支払うべき負債(流動負債)の2倍以上であること」。 また、②「来年以降に支払うべき負債(長期負債=固定負債)が、流動資産からすべての負債を差し引いた純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:6兆8883億4400万円
流動負債:6兆1729億8400万円
固定負債:2兆7799億7100万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.12倍で基準未達、
②も、固定負債2兆7799億7100万円 > 純流動資産7153億6000万円 で基準未達となり、
よって、流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も高く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2008年~2010年の3年は赤字ですが、ここ10年は毎年しっかり利益を上げられており問題ありません。基準達成です。
年度 | 純利益 |
2013年3月 | 1753億2600万円 |
2014年3月 | 4138億7700万円 |
2015年3月 | 2174億8200万円 |
2016年3月 | 1721億5500万円 |
2017年3月 | 2312億6100万円 |
2018年3月 | 3629億8800万円 |
2019年3月 | 2225億4600万円 |
2020年3月 | 875億9600万円 |
2021年3月 | 5016億1300万円 |
2022年3月 | 5834億7000万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
IR情報を確認すると、EPSの最初の3年平均が278.3円、直近の3年平均が404.6円なので、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = 45.4%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2013年3月 | 181.37円 | |
2014年3月 | 428.46円 | 3年平均:278.3円 |
2015年3月 | 225.19円 | |
2016年3月 | 178.27円 | |
2017年3月 | 239.23円 | |
2018年3月 | 375.49円 | |
2019年3月 | 230.21円 | |
2020年3月 | 90.71円 | |
2021年3月 | 519.29円 | 3年平均:404.6円 |
2022年3月 | 603.75円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、毎年きっちり配当が出ていますね。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2011年3月 | 40円/株 | 1.85% |
2012年3月 | 40円/株 | 1.51% |
2013年3月 | 50円/株 | 1.84% |
2014年3月 | 52.5円/株 | 1.38% |
2015年3月 | 60円/株 | 7.29% |
2016年3月 | 60円/株 | 2.28% |
2017年3月 | 65円/株 | 2.16% |
2018年3月 | 75円/株 | 1.95% |
2019年3月 | 90円/株 | 2.51% |
2020年3月 | 95円/株 | 3.02% |
2021年3月 | 105円/株 | 2.1% |
2022年3月 | 125円/株 | 2.03% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PER(株価収益率)」が15倍以下であること。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは10.09倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBR(株価純資産倍率)が1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.31倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も13.22で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高10兆2646億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | 〇 | +45.4% |
⑤配当 | 〇 | 利回り2.03% |
⑥株価収益率 | 〇 | 10.09倍 |
⑦株価純資産倍率 | 〇 | 1.31倍 |
財務状況のみが基準未達となり、「(株)日立製作所は割安株に該当しない」という結果となりました。流動資産に対して流動/固定負債の割合がかなり高いですね。その他はしっかりクリアしているのですが仕方なしです。
2022年から成長の10年に入ることを宣言している日立。その中心となるのがグリーンとデジタル。次期中期経営計画では、顧客データから価値を創出し、デジタルイノベーションを加速するための日立の先進的なデジタル技術を活用したソリューション/サービス/テクノロジーの総称である「Lumada」を基盤にしたソリューションを広げていくとのこと。総合電機メーカーとして今後さらなる発展を続けられるかに注目です。
というわけで現時点では、
「バリュー投資」の7つの基準をすべてクリアしているのは、
・コムシスホールディングス【1721】
・積水ハウス【1928】
・宝ホールディングス【2531】
・SUMCO【3436】
・東ソー【4042】
・日本ガイシ【5333】
・アマダ【6113】
の7社となりました。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。


以上、皆さんの参考になれば幸いです。




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