
こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである富士電機(株)【6504】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。


この記事でわかること
・バリュー投資の7つの基準に沿った富士電機(株)【6504】 の評価
どんな会社?
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・ 富士電機(株)【6504】は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株は何か?を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。


富士電機(株)【6504】 の基本情報
・設立年月日 1923年8月29日
・上場年月日 1949年5月
・業種 電気機器
・特色 重電大手。パワエレ機器や自販機、パワー半導体に強み。発電設備は海外中心、収益は下期偏重。
・資本金 475億円
・従業員数 (単独)10,802人 (連結)27,067人
・株価 5,290円(2022.10.2)
・単元 100株
・決算 3月末日


富士電機は、大型電気機器を主力製品とする日本の重電機メーカーの1社です。古河機械金属・古河電気工業・富士通とともに古河グループの中核企業であり、重電8社(日立製作所・東芝・三菱電機・富士電機・明電舎・日新電機・ダイヘン・東光高岳)の一角、この業界では4位に位置しています。
自動販売機の分野では国内1位のシェアを持ち、その技術力を駆使して最近は日本コカ・コーラと共同開発したピークシフト自動販売機、セブン-イレブン・ジャパンと共同開発した同社店舗内セブンカフェ用コーヒードリップマシン、JR東日本グループと共同開発した次世代自動販売機などを世に送り出しています。
発電関連設備にも強く、特に地熱発電分野では世界一のシェア(4割)持っており、長年「電気を自在に操る技術」に長けて来た企業として、スマートグリッドの展開にも積極的です。
基本理念は、「地球社会の良き企業市民として、地域、顧客、パートナーとの信頼関係を深め、誠実にその使命を果たします」。企業スローガンに「熱く、高く、そして優しく」、ブランドステートメントには「Innovating Energy Technology」を掲げ、電気、熱エネルギー技術の革新の追求により、エネルギーを最も効率的に利用できる製品を創り出し、安全・安心で持続可能な社会の実現に貢献することを目指されています。
ではここからは、富士電機(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
電気機器247社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 8227億3200万円(25位) |
売上高 | 9102億2600万円(20位) |
営業利益 | 748億3500万円(22位) |
経常利益 | 792億9700万円(24位) |
純利益 | 586億6000万円(24位) |
営業利益率 | 8.2%(110位) |
純利益率 | 6.4%(111位) |
総資産 | 1兆1002億円(22位) |
負債 | 5715億9300万円(18位) |
電気機器の中で売上高は20位、総資産は22位。利益率はそこそこで、純利益率は6.4%の111位。日本の大手重電機メーカーの1社であり、事業規模は文句なしです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「年内に現金になる資産(流動資産)が、年内に支払うべき負債(流動負債)の2倍以上であること」。 また、②「来年以降に支払うべき負債(長期負債=固定負債)が、流動資産からすべての負債を差し引いた純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:6718億9900万円
流動負債:3953億7600万円
固定負債:1762億1600万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.70倍で基準未達、
②は、固定負債1762億1600万円 < 純流動資産2765億2300万円 で基準達成となり、
よって、流動資産に対して流動の負債の割合が若干高く、惜しくも基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2009年に一度赤字が出ていますが、ここ10年は毎年しっかり利益を上げられています。問題ありません。基準達成です。
年度 | 純利益 |
2013年3月 | 263億6800万円 |
2014年3月 | 195億8200万円 |
2015年3月 | 279億7800万円 |
2016年3月 | 306億4400万円 |
2017年3月 | 409億7800万円 |
2018年3月 | 377億6300万円 |
2019年3月 | 402億6700万円 |
2020年3月 | 287億9300万円 |
2021年3月 | 419億2600万円 |
2022年3月 | 586億6000万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
IR情報を確認すると、EPSの最初の3年平均が169.8円、直近の3年平均が301.9円なので、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = 77.8%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2013年3月 | 176.61円 | |
2014年3月 | 137.02円 | 3年平均:169.8円 |
2015年3月 | 195.8円 | |
2016年3月 | 214.47円 | |
2017年3月 | 286.82円 | |
2018年3月 | 264.34円 | |
2019年3月 | 281.88円 | |
2020年3月 | 201.57円 | |
2021年3月 | 293.51円 | 3年平均:310.9円 |
2022年3月 | 410.68円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、毎年きっちり配当が出ていますね。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 7.5円/株 | 0.59% |
2011年3月 | 20円/株 | 1.52% |
2012年3月 | 20円/株 | 1.83% |
2013年3月 | 25円/株 | 1.82% |
2014年3月 | 35円/株 | 1.52% |
2015年3月 | 45円/株 | 1.59% |
2016年3月 | 50円/株 | 2.57% |
2017年3月 | 55円/株 | 1.66% |
2018年3月 | 70円/株 | 1.93% |
2019年3月 | 80円/株 | 2.55% |
2020年3月 | 80円/株 | 3.27% |
2021年3月 | 85円/株 | 1.84% |
2022年3月 | 100円/株 | 1.62% |
なお、株主優待は6月末の権利確定でオリジナルカレンダーがもらえます。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PER(株価収益率)」が15倍以下であること。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは12.81倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBR(株価純資産倍率)が1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.58倍であり、①のPBRは基準未達です。
②のPER × PBR は20.24で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高9102億円 |
②財務状況 | △ | 流動負債多い |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | 〇 | +77.8% |
⑤配当 | 〇 | 利回り1.62%+優待あり |
⑥株価収益率 | 〇 | 12.81倍 |
⑦株価純資産倍率 | △ | 1.58倍 |
財務状況と株価純資産倍率の2項目で基準未達となり、「富士電機(株)は割安株に該当しない」という結果となりました。流動資産に対して流動負債の割合がちょっと高く、株価も高いですね。
富士電機では現在、2023年度を最終年度とする5か年の中期経営計画「令和.Prosperity2023」において、売上高1兆円、営業利益率1%以上を経営目標に掲げ、パワエレ事業、パワー半導体事業の拡大を中核とする「成長戦略の推進」、グローバルでのものつくり力強化による「収益力の更なる強化」、及び、ESG(環境、人財、ガバナンス)を中心とした「経営基盤の継続的な強化」を推し進めているとのこと。高い技術力を武器に、さらなる成長に期待ですね。
というわけで現時点では、
「バリュー投資」の7つの基準をすべてクリアしているのは、
・コムシスホールディングス【1721】
・積水ハウス【1928】
・宝ホールディングス【2531】
・SUMCO【3436】
・東ソー【4042】
・日本ガイシ【5333】
・アマダ【6113】
の7社となりました。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。


以上、皆さんの参考になれば幸いです。




👇👇👇ブログランキングに参加中 👇👇👇
👇押していただけると励みになります 👇
コメント