こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つであるオムロン(株)【6645】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿ったオムロンの評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・オムロンは割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
オムロン(株)【6645】 の基本情報
・設立年月日 1948年5月19日
・上場年月日 1962年4月
・業種 電気機器
・特色 感知・制御技術が基盤。稼ぎ頭は制御機器。リレー等電子部品や鉄道システム、ヘルスケアも展開。
・資本金 641億円
・従業員数 (単独)4,621人 (連結)28,034人
・株価 6,116(2023.12.13)
・単元 100株
・決算 3月末日
オートメーションのリーディングカンパニーとして、工場の自動化を中心とした制御機器、電子部品、駅の自動改札機や太陽光発電用パワーコンディショナーなどの社会システム、ヘルスケアなど多岐にわたる事業を展開し、約120の国と地域で商品・サービスを提供しています。
制御機器・ファクトリーオートメーション(FA)システム事業、電子部品事業、車載電装部品事業、社会システム事業、健康医療機器・サービス事業の主要5事業をカンパニー制で展開しています。
世界初の無接点近接スイッチを開発するなど産業用オートメーション機器に強みを持ち、一般消費者には健康医療機器で知られており、家庭用電子血圧計は世界トップシェアを誇ります。
自動改札機、ATMなど世の中にない製品を創り出すベンチャー精神もあり、現代の便利さを作り上げた一社とも言えますね。
われわれの働きで われわれの生活を向上し よりよい社会をつくりましょう
「ソーシャルニーズの創造」「絶えざるチャレンジ」「人間性の尊重」の3つを大切にする価値観と定義し、創業者が発表した未来予測理論「SINIC理論」に基づき、社会の潜在的なニーズをいち早く察知し、独自のセンシング技術とコントロール技術を組み合わせて応えることを目指されています。
ではここからは、オムロン(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
電気機器100社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 1兆2043億円(21位) |
売上高 | 8760億8200万円(23位) |
純利益 | 738億6100万円(18位) |
純利益率 | 8.4%(27位) |
総資産 | 9981億6000万円(22位) |
電気機器の中で売上高は21位、総資産は22位。利益率もまずまず高く、純利益率は8.4%の27位。制御機器・オートメーションで日本を代表する企業の一社です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:1527億9100万円
流動負債:2534億7700万円
固定負債:95億6700万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 0.60倍で基準未達、
②は、固定負債95億円 > 純流動資産-1006億円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も高く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2009年に一度赤字が出ていますが、ここ10年は毎年しっかり利益を上げられています。問題ありません。基準達成です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 461億8500万円 |
2015年3月 | 621億7000万円 |
2016年3月 | 472億9000万円 |
2017年3月 | 459億8700万円 |
2018年3月 | 631億5900万円 |
2019年3月 | 543億2300万円 |
2020年3月 | 748億9500万円 |
2021年3月 | 433億700万円 |
2022年3月 | 614億円 |
2023年3月 | 738億6100万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = +25.2%となり、惜しくも基準未達です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 209.82円 | |
2015年3月 | 283.89円 | 3年平均:237.6円 |
2016年3月 | 218.95円 | |
2017年3月 | 215.09円 | |
2018年3月 | 296.85円 | |
2019年3月 | 260.78円 | |
2020年3月 | 365.26円 | |
2021年3月 | 214.72円 | |
2022年3月 | 305.65円 | 3年平均:297.5円 |
2023年3月 | 372.19円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、毎年きっちり配当が出ていますね。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 17円/株 | 0.78% |
2011年3月 | 30円/株 | 1.28% |
2012年3月 | 28円/株 | 1.57% |
2013年3月 | 37円/株 | 1.59% |
2014年3月 | 53円/株 | 1.24% |
2015年3月 | 71円/株 | 1.31% |
2016年3月 | 68円/株 | 2.03% |
2017年3月 | 68円/株 | 1.39% |
2018年3月 | 76円/株 | 1.21% |
2019年3月 | 84円/株 | 1.62% |
2020年3月 | 84円/株 | 1.49% |
2021年3月 | 84円/株 | 0.97% |
2022年3月 | 92円/株 | 1.12% |
2023年3月 | 98円/株 | 1.27% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは66.89倍であり、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.58倍であり、①のPBRは基準未達です。
②のPER × PBR も105.69で基準未達です。これは株価が高いですね。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高8760億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | △ | +25.2% |
⑤配当 | 〇 | 利回り1.27% |
⑥株価収益率 | × | 66.89倍 |
⑦株価純資産倍率 | △ | 1.58倍 |
財務状況と収益成長性、株価収益率/純資産倍率の4項目で基準未達となり、
オムロン(株)は割安株に該当しません!
という結果となりました。
負債が多く、成長性が今一つ、安定感はあるものの、株価も高いですね。仕方ありません。
オムロングループ全社員が企業理念を実践し、センシング&コントロール+Think技術で、持続可能な社会をステークホルダーとともにつくっていく。
今後はモノ+サービスでの価値の実現、また、パートナーとの共創には、そのベースとなるデータプラットフォームの構築が重要になると認識し、自社のデバイスやサービスから生成されるデータとパートナーのデータとの連携によるデータプラットフォームを構築し、そのデータの利活用により、モノ+サービスによる新たなソリューションを開発していくとのこと。まだまだ企業としての成長が期待できそうですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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