こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである(株)ジーエス・ユアサ コーポレーション【6674】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿ったジーエス・ユアサ コーポレーションの評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・ジーエス・ユアサ コーポレーションは割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
(株)ジーエス・ユアサ コーポレーション【6674】 の基本情報
・設立年月日 2004年4月1日
・上場年月日 2004年4月1日
・業種 電気機器
・特色 車載用鉛電池、産業用電池電源が主力。鉛蓄電池で世界2位。リチウムイオン電池の育成注力。
・資本金 330億円
・従業員数 (単独)14人 (連結)14,317人
・株価 2,015円(2023.12.13)
・単元 100株
・決算 3月末日
傘下のグループ企業全体の経営戦略を策定・統括する持株会社で、グループとしてはフォークリフトや電動車いすなどの電動車両用鉛蓄電池のほか、携帯電話基地局向けやビル・上下水道・発電所など社会インフラ設備の電力バックアップ用電源装置を提供しています。
自動車・二輪車用の鉛蓄電池で国内の市場占有率は首位、世界でも第2位の市場占有率を持っています。太陽光発電設備用パワーコンディショナの提供を通じて、再生可能エネルギーの普及にも貢献されています。
「ジーエス(GS)」は、創業者である島津源蔵(Genzo Shimazu)のイニシャルに由来するそう。
革新と成長
「電池で培った先進のエネルギー技術で世界のお客様へ快適さと安心をお届けします」という経営ビジョンのもと、社員と企業の革新と成長を通じ、人と社会と地球環境に貢献することを目指されています。
ではここからは、(株)ジーエス・ユアサ コーポレーションに対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
電気機器100社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 1621億2000万円(57位) |
売上高 | 5177億3500万円(29位) |
純利益 | 139億2500万円(47位) |
純利益率 | 2.7%(73位) |
総資産 | 5593億2300万円(33位) |
電気機器の中で売上高は29位、総資産は33位。利益率は低めで、純利益率は2.7%の73位。鉛蓄電池で世界2位の業界を代表する企業の一社です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:2661億2500万円
流動負債:1753億1200万円
固定負債:947億400万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.52倍で基準未達、
②は、固定負債947億円 > 純流動資産908億円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も高く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、毎年しっかり利益を上げられており、問題ありません。基準達成です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 99億8200万円 |
2015年3月 | 100億4300万円 |
2016年3月 | 90億3000万円 |
2017年3月 | 122億2900万円 |
2018年3月 | 114億4900万円 |
2019年3月 | 135億2400万円 |
2020年3月 | 136億7400万円 |
2021年3月 | 114億5500万円 |
2022年3月 | 84億6800万円 |
2023年3月 | 139億2500万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = +19.4%となり、惜しくも基準未達です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 120.9円 | |
2015年3月 | 121.65円 | 3年平均:117.3円 |
2016年3月 | 109.38円 | |
2017年3月 | 148.14円 | |
2018年3月 | 138.89円 | |
2019年3月 | 164.74円 | |
2020年3月 | 168.23円 | |
2021年3月 | 141.91円 | |
2022年3月 | 105.22円 | 3年平均:140.1円 |
2023年3月 | 173.09円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、毎年きっちり配当が出ていますね。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 30円/株 | 0.95% |
2011年3月 | 40円/株 | 1.45% |
2012年3月 | 40円/株 | 1.76% |
2013年3月 | 30円/株 | 1.57% |
2014年3月 | 40円/株 | 1.46% |
2015年3月 | 50円/株 | 1.85% |
2016年3月 | 50円/株 | 2.08% |
2017年3月 | 50円/株 | 1.93% |
2018年3月 | 50円/株 | 1.72% |
2019年3月 | 50円/株 | 2.3% |
2020年3月 | 50円/株 | 3.44% |
2021年3月 | 50円/株 | 1.67% |
2022年3月 | 50円/株 | 2.14% |
2023年3月 | 50円/株 | 2.1% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは10.13倍であり、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.66倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も6.69で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高5177億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | △ | +19.4% |
⑤配当 | 〇 | 利回り2.1% |
⑥株価収益率 | 〇 | 10.13倍 |
⑦株価純資産倍率 | ◎ | 0.66倍 |
財務状況と収益成長性の2項目で基準未達となり、
(株)ジーエス・ユアサ コーポレーションは割安株に該当しません!
という結果となりました。
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も高いですね。また成長性もあと一歩足りず、仕方ありません。
自動車電池事業では、需要変動への迅速な対応と在庫削減を両立する供給体制を構築するとともに原材料価格などの適正な売価反映による収益率の向上を図る。また、中国事業の抜本的見直しを推進する一方、アセアン拠点の強化による利益の最大化に取り組み、選択と集中による将来に向けた経営体制の変革と収益の強化を図る。
鉛蓄電池とリチウムイオン電池という2つの柱を持つ強みはあるものの、長期目線で考えると、鉛電池事業は先細りであり、リチウム電池事業は海外勢や国内大手との競争が激しく先行きが不透明という課題があります。自動車用だけでなく、今後は民生家電用に進出するなど、スケールメリットが発揮して一層のコストダウンを進めるような動きが必要なのかもしれませんね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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