こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである日本電気(株)【6701】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った日本電気の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・日本電気は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
日本電気(株)【6701】 の基本情報
・設立年月日 1899年7月17日
・上場年月日 1949年5月
・業種 電気機器
・特色 官公庁・企業向けITサービス大手。通信インフラ国内首位。生体認証技術に強み。5Gに注力。
・資本金 4,278億円
・従業員数 (単独)22,036人 (連結)118,527人
・株価 8,131円(2023.12.17)
・単元 100株
・決算 3月末日
略称NEC、旧社名は住友通信工業株式会社で、住友電気工業と兄弟会社である住友グループの電機メーカーです。 有線・無線通信機器、コンピュータおよびITサービスを主力事業とし、主に政府機関向けの人工衛星・宇宙探査機の開発・製造も行っています。
日本のマイコン、パーソナルコンピュータ市場では黎明期より手がけ、国内で「NEC」というブランドでパソコン市場の活性化に貢献されていましたが、2000年以降は個人消費者向け製品から法人向け製品や社会インフラ製品へ注力するよう事業改革が進められています。
パソコンといえばNECでしたね。私も長く使ってました。
Orchestrating a brighter world
共通の価値観であり行動の原点である「NEC Way」のもと、安全・安心・公平・効率という社会価値を創造し、誰もが人間性を十分に発揮できる持続可能な社会を実現することを目指されています。
ではここからは、日本電気(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
電気機器100社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 2兆1665億円(17位) |
売上高 | 3兆3130億円(8位) |
純利益 | 1145億円(13位) |
純利益率 | 3.5%(67位) |
総資産 | 4兆781億円(6位) |
電気機器の中で売上高、総資産ともは8位。利益率は低めで、純利益率は4.7%の158位。「海底から宇宙まで」、ICTを活用した情報通信事業において世界有数の企業の一つです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:1兆9959億円
流動負債:1兆3655億円
固定負債:7058億1700万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.46倍で基準未達、
②は、固定負債7058億円 > 純流動資産6304億円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も高く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2009年,2011年,2012年に赤字が出ていますが、直近10年はしっかり利益を上げられており、問題ありません。基準達成です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 337億4200万円 |
2015年3月 | 573億200万円 |
2016年3月 | 759億2300万円 |
2017年3月 | 273億1000万円 |
2018年3月 | 458億7000万円 |
2019年3月 | 396億7500万円 |
2020年3月 | 999億6700万円 |
2021年3月 | 1496億600万円 |
2022年3月 | 1412億7700万円 |
2023年3月 | 1145億円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = +133.5%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 129.86円 | |
2015年3月 | 220.51円 | 3年平均:214.2円 |
2016年3月 | 292.15円 | |
2017年3月 | 105.09円 | |
2018年3月 | 176.54円 | |
2019年3月 | 152.75円 | |
2020年3月 | 385.02円 | |
2021年3月 | 557.18円 | |
2022年3月 | 518.54円 | 3年平均:500.1円 |
2023年3月 | 424.51円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、2011年と2012年が無配ですね。残念ながら基準未達です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 40円/株 | 1.42% |
2011年3月 | 0円/株 | 0% |
2012年3月 | 0円/株 | 0% |
2013年3月 | 40円/株 | 1.63% |
2014年3月 | 40円/株 | 1.26% |
2015年3月 | 40円/株 | 1.13% |
2016年3月 | 60円/株 | 2.12% |
2017年3月 | 60円/株 | 2.24% |
2018年3月 | 60円/株 | 2.01% |
2019年3月 | 40円/株 | 1.07% |
2020年3月 | 70円/株 | 1.77% |
2021年3月 | 90円/株 | 1.38% |
2022年3月 | 100円/株 | 1.94% |
2023年3月 | 110円/株 | 2.16% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは15.48倍であり、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.28倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も19.81で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高3兆3130億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | ◎ | +133.5% |
⑤配当 | × | 2011年と2012年無配 |
⑥株価収益率 | △ | 15.48倍 |
⑦株価純資産倍率 | 〇 | 1.28倍 |
財務状況と配当、株価収益率の3項目で基準未達となり、
日本電気(株)は割安株に該当しません!
という結果となりました。
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も高く、12年中2年で無配、株価もちょっと高いですね。仕方なしです。
強みである技術力を顧客価値に転換し、「日本を含むグローバルでの事業フォーカス」、「国内IT事業のトランスフォーメーション」および「次の柱となる成長事業の創造」により成長を実現する。
2030VISIONでは、「日本を含むグローバルでの事業フォーカス」、「国内IT事業のトランスフォーメーション」および「次の柱となる成長事業の創造」により成長を実現するとのこと。ベース事業においても、利益率が低い事業について改善計画を策定し、計画が未達成となった場合には事業撤退を含めた経営判断を行うなどして、各事業における堅調な成長と競合他社を上回る利益率の実現を目指すそう。今後、持続的に成長していこうという積極的な姿勢が感じられ、さらなる成長が期待できそうですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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