
こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである富士通(株)【6702】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。


この記事でわかること
・バリュー投資の7つの基準に沿った富士通(株)【6702】 の評価
どんな会社?
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・富士通(株)【6702】は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株は何か?を探し当てるためのご参考にしていただければ幸いです。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。


富士通(株)【6702】 の基本情報
・設立年月日 1935年6月20日
・上場年月日 1949年5月
・業種 電気機器
・特色 ITサービス国内首位。官公庁・金融・流通向け多い。コンサル機能を強化し、DX関連に注力。
・資本金 3,246億円
・従業員数 (単独)34,430人 (連結)124,216人
・株価 16,235円(2022.10.9)
・単元 100株
・決算 3月末日


富士通株式会社は、日本の総合エレクトロニクスメーカーであり、総合ITベンダー。通信システム、情報処理システムおよび電子デバイスの製造・販売ならびにそれらに関するサービスの提供を行っています。
理化学研究所と共同開発したスーパーコンピュータ「富岳」が、計算速度のランキングで世界首位を獲得し、「非接触型手のひら静脈認証」などの世界初の商品を開発するなど、高い商品力を誇ります。また、環境保全にも積極的であり、CO2排出を減少させる技術の利用において最も優れているITベンダーのランキングで、2年連続で世界首位を獲得しています。
富士通が果たしていくべき役割、存在意義として「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと」をパーパスとして定め、「多様な価値を信頼でつなぎ、変化に対応するしなやかさをもたらすことで、誰もが夢に向かって前進できるサステナブルな世界をつくる」ことを目指されています。
ではここからは、富士通(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
電気機器247社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 3兆1019億円(9位) |
売上高 | 3兆5868億円(5位) |
営業利益 | 2192億100万円(8位) |
経常利益 | 2399億8600万円(9位) |
純利益 | 1826億9100万円(10位) |
営業利益率 | 6.1%(147位) |
純利益率 | 5.1%(144位) |
総資産 | 3兆1874億円(10位) |
負債 | 1兆4495億円(11位) |
電気機器の中で売上高は5位で、総資産は10位。利益率は低めで、純利益率は5.1%の144位。ITサービスの国内首位であり、事業規模は文句なしです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「年内に現金になる資産(流動資産)が、年内に支払うべき負債(流動負債)の2倍以上であること」。 また、②「来年以降に支払うべき負債(長期負債=固定負債)が、流動資産からすべての負債を差し引いた純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:1兆7945億4500万円
流動負債:1兆1780億4800万円
固定負債:2715億4000万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.52倍で基準未達、
②は、固定負債2715億4000万円 < 純流動資産6164億9700万円 で基準達成となり、
よって、流動資産に対して流動負債の割合が若干高く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2013年に赤字が出ていますね。不振を続けていた半導体事業の構造改革や欧州子会社の減損などで特別損失を計上したことが響いたそう。残念ながら基準未達です。
年度 | 純利益 |
2013年3月 | -799億1900万円 |
2014年3月 | 1132億1500万円 |
2015年3月 | 1400億2400万円 |
2016年3月 | 867億6300万円 |
2017年3月 | 884億8900万円 |
2018年3月 | 1693億4000万円 |
2019年3月 | 1045億6200万円 |
2020年3月 | 1600億4200万円 |
2021年3月 | 2027億円 |
2022年3月 | 1826億9100万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
IR情報を確認すると、EPSの最初の3年平均が279.3円、直近の3年平均が909.7円なので、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = 225.7%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2013年3月 | -386.08円 | |
2014年3月 | 547.14円 | 3年平均:279.3円 |
2015年3月 | 676.76円 | |
2016年3月 | 419.37円 | |
2017年3月 | 428.33円 | |
2018年3月 | 825.32円 | |
2019年3月 | 512.5円 | |
2020年3月 | 791.2円 | |
2021年3月 | 1013.78円 | 3年平均:909.7円 |
2022年3月 | 924.21円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、利回りは低めながら毎年しっかり配当が出ています。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 80円/株 | 1.31% |
2011年3月 | 100円/株 | 2.13% |
2012年3月 | 100円/株 | 2.29% |
2013年3月 | 50円/株 | 1.29% |
2014年3月 | 40円/株 | 0.64% |
2015年3月 | 80円/株 | 0.98% |
2016年3月 | 80円/株 | 1.92% |
2017年3月 | 90円/株 | 1.32% |
2018年3月 | 110円/株 | 1.68% |
2019年3月 | 150円/株 | 1.88% |
2020年3月 | 180円/株 | 1.85% |
2021年3月 | 200円/株 | 1.25% |
2022年3月 | 220円/株 | 1.19% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PER(株価収益率)」が15倍以下であること。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは11.39倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBR(株価純資産倍率)が1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.99倍であり、①のPBRは基準未達です。
②のPER × PBR は22.67もギリギリ基準未達です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高3兆5868億円 |
②財務状況 | △ | 流動負債多い |
③収益安定性 | △ | 2013年赤字 |
④収益成長性 | ◎ | +225.7% |
⑤配当 | 〇 | 利回り1.19% |
⑥株価収益率 | 〇 | 11.39倍 |
⑦株価純資産倍率 | △ | 1.99倍 |
財務状況と収益安定性、株価純資産倍率の3項目で基準未達となり、「富士通(株)は割安株に該当しない」という結果となりました。流動資産に対して流動の負債の割合が若干高く、10年間で1度赤字あり、株価も高いということで仕方なしです。
富士通としては今後、「価値創造」と「自らの変革」に取り組むそうで、「価値創造」では、顧客の事業の変革や成長に貢献する事業領域を「For Growth」と定め、これを成長分野と位置付けて規模と収益性の両方を伸ばすことを狙い、顧客のIT基盤の安定稼働への貢献と品質向上に取り組む領域を「For Stability」と定め、一層の効率化を推し進めて利益率を高めるとのこと。
「自らの変革」では、顧客のDXのパートナーとなるべく、当社グループ自身のDXのため、人員、体制の強化も含めた社内変革を進めるとのこと。グループのもつ高い総合力を強化していくことで、今後さらなる成長が期待できそうですね。
というわけで現時点では、
「バリュー投資」の7つの基準をすべてクリアしているのは、
・コムシスホールディングス【1721】
・積水ハウス【1928】
・宝ホールディングス【2531】
・SUMCO【3436】
・東ソー【4042】
・日本ガイシ【5333】
・アマダ【6113】
の7社となりました。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。


以上、皆さんの参考になれば幸いです。




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