こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである沖電気工業(株)【6703】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
*沖電気工業(株)は2022年10月に日経平均株価の構成銘柄から除外されました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った沖電気工業の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・沖電気工業は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
沖電気工業(株)【6703】 の基本情報
・設立年月日 1949年11月1日
・上場年月日 1951年11月
・業種 電気機器
・特色 祖業の情報通信システムのほかプリンタ、ATM、EMSの4本柱。社会インフラシステム育成。
・資本金 440億円
・従業員数 (単独)4,753人 (連結)14,443人
・株価 886円(2023.12.24)
・単元 100株
・決算 3月末日
通称「OKI」「沖電気」。日本最初の通信機器メーカーとして創業以来、長年にわたり電話交換機の製造を行ってきた経緯から、NTTグループとの関係が強く、情報通信、メカトロシステム、プリンター、EMSを事業部門として持ち、金融機関、官公庁、企業・法人などを中心に各種製品・ソリューションを提供しています。
ATMは国内外において高シェアを占めており、EMS事業でも積極的に買収を進めるなど新分野の開拓も進めています。また、海上自衛隊向けに潜水艦ソナーシステムやソノブイなどを納入するなど、軍需企業としての側面も併せ持っています。
「社会の大丈夫をつくっていく。」なかなかいいキーメッセージですね。
OKIは「進取の精神」をもって、情報社会の発展に寄与する商品を提供し、世界の人々の快適で豊かな生活の実現に貢献する。
ブランドスローガンに「Open up your dreams」を掲げ、「進取の精神」をもって世界の人々の心豊かで安心、安全な夢の社会への扉を開くことを表しています。また、夢や希望が現実のものとなる情報社会を実現することを目指されています。
ではここからは、沖電気工業(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
電気機器100社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 767億9500万円(56位) |
売上高 | 3690億9600万円(39位) |
純利益 | -28億円(95位) |
純利益率 | -%(-位) |
総資産 | 3905億2800万円(40位) |
電気機器の中で売上高は56位で、総資産は39位。利益率は低く、昨年度は赤字ながら、情報通信やATM事業などで高シェアを持つ一社です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:2301億9100万円
流動負債:2052億5200万円
固定負債:858億9400万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.12倍で基準未達、
②は、固定負債858億円 > 純流動資産249億円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も高く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2021年と2023年が赤字ですね。直近の2023年は半導体をはじめとする部材の調達難に伴い、想定以上に生産減への影響が続いているほか、サプライチェーンの混乱や部材価格の高騰、為替影響やソフト開発案件の失敗による費用などが重なったそう。残念ながら基準未達です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 273億5900万円 |
2015年3月 | 330億9100万円 |
2016年3月 | 66億900万円 |
2017年3月 | 46億9100万円 |
2018年3月 | 58億9100万円 |
2019年3月 | 84億500万円 |
2020年3月 | 140億8600万円 |
2021年3月 | -8億1900万円 |
2022年3月 | 20億6500万円 |
2023年3月 | -28億円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = -102.1%となり、基準未達です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 375.86円 | |
2015年3月 | 401.4円 | 3年平均:284.5円 |
2016年3月 | 76.1円 | |
2017年3月 | 54.02円 | |
2018年3月 | 67.85円 | |
2019年3月 | 97.16円 | |
2020年3月 | 162.79円 | |
2021年3月 | -9.46円 | |
2022年3月 | 23.85円 | 3年平均:-6.0円 |
2023年3月 | -32.33円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、2013年が無配ですね。残念ながら基準未達です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2013年3月 | 0円/株 | 0% |
2014年3月 | 30円/株 | 1.36% |
2015年3月 | 50円/株 | 2.01% |
2016年3月 | 50円/株 | 3.14% |
2017年3月 | 50円/株 | 3.12% |
2018年3月 | 50円/株 | 3.54% |
2019年3月 | 50円/株 | 3.82% |
2020年3月 | 50円/株 | 4.93% |
2021年3月 | 20円/株 | 1.74% |
2022年3月 | 30円/株 | 3.55% |
2023年3月 | 20円/株 | 2.79% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは9.60倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.75倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も7.20で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高3690億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | × | 2021年,2023年赤字 |
④収益成長性 | × | -102.1% |
⑤配当 | △ | 2013年無配 |
⑥株価収益率 | ◎ | 9.60倍 |
⑦株価純資産倍率 | ◎ | 0.75倍 |
財務状況と収益安定性/成長性、配当の4項目で基準未達となり、
沖電気工業(株)は割安株に該当しません!
という結果となりました。
負債が多い上、ここ3年で2度の赤字、無配もありとなるとちょっと厳しいですね。
意思決定のスピードと総合力の向上を軸としたシンプルな事業体制の下、事業の位置づけを明確化し、事業毎に最適な戦略を実行する事で着実な売上確保と収益力の強化を図る。
強みである特長あるモノづくりとAIエッジ技術を融合、社会課題ソリューションの提案型企業への転換を図り、より多くのお客様の課題解決を通じて成長することを目指すそうで、大手競合他社がクラウドへ注力する中、現場データの見える化およびクラウドと連携したリアルタイム処理に注力し差別化を図るそう。確かに自社の強みを生かした差別化は重要ですね。今後の成長に期待したいところです。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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