こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つであるセイコーエプソン(株)【6724】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿ったセイコーエプソンの評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・セイコーエプソンは割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
セイコーエプソン(株)【6724】 の基本情報
・設立年月日 1959年9月
・上場年月日 2003年6月24日
・業種 電気機器
・特色 インクジェットプリンタ国内首位級。大容量モデルに注力中。インクジェット複合機を展開強化。
・資本金 532億円
・従業員数 (単独)13,262人 (連結)76,299人
・株価 2,117円(2023.12.28)
・単元 100株
・決算 3月末日
インクジェットプリンタを始めとするプリンタや、プロジェクタ、パソコン、スキャナといった情報関連機器、水晶振動子(クォーツ)、半導体などの電子デバイス部品の製造、さらに産業用ロボットの製造を行っています。
時計の製造・開発から派生してプリンタや水晶振動子(クォーツ)、半導体、MEMSデバイス、液晶ディスプレイ、高密度実装技術・産業用ロボットなどの開発を行い、それらが現在の主要事業であるインクジェットプリンタや液晶プロジェクタなどの情報関連機器に結実・発展しています。
インクジェットにこだわり、省・小・精の技術を最大の強みとしています。
お客様を大切に、地球を友に、個性を尊重し、総合力を発揮して 世界の人々に信頼され、社会とともに発展する 開かれた、なくてはならない会社でありたい。そして社員が自信を持ち、常に創造し挑戦していることを誇りとしたい。
「EXCEED YOUR VISION」のキャッチフレーズのもと、自らの常識やビジョンを超えた挑戦で顧客に驚きや感動をもたらす成果を生み出すことを目指されています。
ではここからは、セイコーエプソン(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
電気機器100社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 7020億4700万円(29位) |
売上高 | 1兆3303億円(17位) |
純利益 | 750億4300万円(17位) |
純利益率 | 5.6%(47位) |
総資産 | 1兆3770億円(20位) |
電気機器の中で売上高は17位、総資産は20位。利益率は中位で、純利益率は5.6%の47位。インクジェットプリンタといえばエプソンですし、確かな技術に裏付けられた電気機器メーカーの一社です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:8925億500万円
流動負債:3716億3500万円
固定負債:2424億6100万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 2.40倍で基準達成、
②は、固定負債2424億円 < 純流動資産5208億円 で基準達成となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も低いですね。基準達成です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2013年に赤字がありますがここ10年は赤字なく、しっかり利益を上げられており問題ありません。基準達成です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 842億300万円 |
2015年3月 | 1125億6000万円 |
2016年3月 | 457億7200万円 |
2017年3月 | 483億2000万円 |
2018年3月 | 418億3600万円 |
2019年3月 | 537億1000万円 |
2020年3月 | 77億3300万円 |
2021年3月 | 309億2200万円 |
2022年3月 | 922億8800万円 |
2023年3月 | 750億4300万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = -14.9%となり、基準未達です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 235.35円 | |
2015年3月 | 314.61円 | 3年平均:226.0円 |
2016年3月 | 127.94円 | |
2017年3月 | 136.82円 | |
2018年3月 | 118.78円 | |
2019年3月 | 152.48円 | |
2020年3月 | 22.26円 | |
2021年3月 | 89.38円 | |
2022年3月 | 266.72円 | 3年平均:192.3円 |
2023年3月 | 220.75円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、利回りもしっかりで毎年しっかり配当が出ていますね。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 5円/株 | 0.69% |
2011年3月 | 10円/株 | 1.5% |
2012年3月 | 13円/株 | 2.24% |
2013年3月 | 10円/株 | 2.19% |
2014年3月 | 25円/株 | 1.56% |
2015年3月 | 57.5円/株 | 2.7% |
2016年3月 | 60円/株 | 3.3% |
2017年3月 | 60円/株 | 2.56% |
2018年3月 | 62円/株 | 3.28% |
2019年3月 | 62円/株 | 3.66% |
2020年3月 | 62円/株 | 5.3% |
2021年3月 | 62円/株 | 3.44% |
2022年3月 | 62円/株 | 3.37% |
2023年3月 | 72円/株 | 3.83% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは10.80倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.89倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も9.61も基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高1.3兆円 |
②財務状況 | ◎ | 問題なし |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | × | -14.9% |
⑤配当 | ◎ | 利回り3.83% |
⑥株価収益率 | 〇 | 10.80倍 |
⑦株価純資産倍率 | ◎ | 0.89倍 |
収益成長性のみが基準未達となり、
セイコーエプソン(株)は割安株に該当しません!
という結果となりました。
財務状況はきれいで配当もしっかり、株価も手ごろ。ただ、成長性が物足りないですね。仕方ありません。
「省・小・精の技術」を極めた水晶・半導体ソリューションにより、スマート化する社会の実現に貢献していく。そして、持続可能な社会実現に向けて、材料技術の融合により、環境ソリューションビジネスを創出し、脱炭素と資源循環に貢献する。
財務面では、収益性重視の経営へとシフトし、過度な売上成長を追わず、取り組みにメリハリをつけ、収益性の確保と将来成長を目指すとのこと。顧客価値や社会課題を軸としたイノベーション領域を設定し、ソリューションビジネスを創出していくとのこと。今後に期待ですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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