
こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つであるパナソニック ホールディングス(株)【6752】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。


この記事でわかること
・バリュー投資の7つの基準に沿ったパナソニック ホールディングス(株)【6752】 の評価
どんな会社?
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・パナソニック ホールディングス(株)【6752】は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株は何か?を探し当てるためのご参考にしていただければ幸いです。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。


パナソニック ホールディングス(株)【6752】 の基本情報
・設立年月日 1935年12月15日
・上場年月日 1949年5月
・業種 電気機器
・特色 総合家電大手。AV機器、白物家電のほか、電池などのデバイス事業、車載機器、住宅設備も展開。
・資本金 2,592億円
・従業員数 (単独)- (連結)241,423人
・株価 1,049円(2022.10.14)
・単元 100株
・決算 3月末日


パナソニック ホールディングス株式会社は、日本の電機メーカーグループであるパナソニックグループの統括持株会社です。エアコンや洗濯機などといった白物家電分野をはじめ、照明器具・配線器具などの住宅設備分野や、リチウムイオン二次電池などの車載分野などに重点を置き、車載設備・住宅設備・エネルギーマネジメント機器などBtoBビジネスの比率を上げる方向で成長戦略を進めています。
日本国内では唯一の総合家電メーカーであり、家電業界の多くの部門でトップシェアを有し、家電以外の業界(電池、住宅用太陽光発電、照明器具、電設資材、ホームエレベーター、電動アシスト自転車など)でも国内シェア1位を占めます。また、アビオニクス(飛行機用の電子機器)、カーナビなどのIVIシステム、車載用リチウムイオン電池、換気扇、コードレス電話、業務用冷蔵庫など、数々の業界でグローバル展開しています。このうち、アビオニクスは世界シェア約8割と寡占状態となっています。
あらゆる経営活動の指針として、経営理念は「産業人たるの本文に徹し、社会生活の改善と向上を図り、世界文化の進展に寄与せんことを期す」という綱領に基づき、「向上発展は各員の和親協力を得るに非ざれば得難し 各員至誠を旨とし一致団結社務に服すること」という信条、遵奉すべき7精神として、「産業報国」「公明正大」「和親一致」「力闘向上」「礼節謙譲」「順応同化」「感謝報恩」を掲げ、現在は、「幸せの、チカラに。」という一つの言葉に様々な思いを込め、企業としてのあるべき姿と理想の社会の実現に向け、価値創出力や現場力を磨き続けられています。
ではここからは、パナソニック ホールディングス(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
電気機器247社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 2兆4820億円(12位) |
売上高 | 7兆3887億円(3位) |
営業利益 | 3575億2600万円(5位) |
経常利益 | 3603億9500万円(6位) |
純利益 | 2553億3400万円(6位) |
営業利益率 | 4.8%(170位) |
純利益率 | 3.5%(177位) |
総資産 | 8兆2579億円(3位) |
負債 | 4兆5433億円(3位) |
電気機器の中で売上高、総資産とも3位。利益率は控え目で、純利益率は3.5%の177位。数多くのシェア1位を持つ世界のパナソニックですからね。事業規模は文句なしです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「年内に現金になる資産(流動資産)が、年内に支払うべき負債(流動負債)の2倍以上であること」。 また、②「来年以降に支払うべき負債(長期負債=固定負債)が、流動資産からすべての負債を差し引いた純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:4兆558億2000万円
流動負債:2兆9467億8600万円
固定負債:1兆5965億7800万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.38倍で基準未達、
②も、固定負債1兆5965億7800万円 > 純流動資産1兆1090億3400万円 で基準未達となり、
よって、流動資産に対して流動/固定負債いずれの割合も高く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2013年に大きな赤字が出ています。ソーラーや民生用リチウムイオン電池などで事業構造改革費用が発生して赤字幅が拡大、繰延税金資産の取り崩しも響いたとのこと。残念ながら基準未達です。
年度 | 純利益 |
2013年3月 | -7542億5000万円 |
2014年3月 | 1204億4200万円 |
2015年3月 | 1794億8500万円 |
2016年3月 | 1652億1200万円 |
2017年3月 | 1493億6000万円 |
2018年3月 | 2360億4000万円 |
2019年3月 | 2841億4900万円 |
2020年3月 | 2257億700万円 |
2021年3月 | 1650億7700万円 |
2022年3月 | 2553億3400万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
IR情報を確認すると、EPSの最初の3年平均が-59.2円、直近の3年平均が92.3円なので、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 は計算上∞%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2013年3月 | -307.47円 | |
2014年3月 | 52.1円 | 3年平均:-59.2円 |
2015年3月 | 77.65円 | |
2016年3月 | 71.3円 | |
2017年3月 | 64.33円 | |
2018年3月 | 101.2円 | |
2019年3月 | 121.83円 | |
2020年3月 | 96.76円 | |
2021年3月 | 70.75円 | 3年平均:92.3円 |
2022年3月 | 109.42円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、2013年が無配ですね。残念ながら基準未達です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 10円/株 | 0.7% |
2011年3月 | 10円/株 | 0.95% |
2012年3月 | 10円/株 | 1.31% |
2013年3月 | 0円/株 | 0% |
2014年3月 | 13円/株 | 1.11% |
2015年3月 | 18円/株 | 1.14% |
2016年3月 | 25円/株 | 2.42% |
2017年3月 | 25円/株 | 1.99% |
2018年3月 | 30円/株 | 1.97% |
2019年3月 | 30円/株 | 3.14% |
2020年3月 | 30円/株 | 3.64% |
2021年3月 | 20円/株 | 1.4% |
2022年3月 | 30円/株 | 2.52% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PER(株価収益率)」が15倍以下であること。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは9.42倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBR(株価純資産倍率)が1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.69倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も6.50も基準達成です。なかなか手ごろな印象ですね。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高7兆3887億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | △ | 2013年赤字 |
④収益成長性 | 〇 | +∞% |
⑤配当 | △ | 2013年無配 |
⑥株価収益率 | ◎ | 9.42倍 |
⑦株価純資産倍率 | ◎ | 0.69倍 |
財務状況と収益安定性、配当の3項目で基準未達となり、「パナソニック ホールディングス(株)は割安株に該当しない」という結果となりました。流動資産に対して流動/固定負債いずれの割合も高く、2013年の赤字も痛いですね。仕方なしです。
パナソニックHDでは、2022年4月に持ち株会社制での新経営体制を始動させ、各社の自主責任経営を徹底し、それぞれの領域で専門性を徹底的に磨き、スピードとスケールにおいて競合に負けない競争力獲得を狙っています。創業104年での大改革にあたり、あらためて創業者が残した経営の「こつ」を再認識し、次の成長領域をしっかり確立するか。さらにここ30年の停滞から如何に脱却していくか、これからに注目ですね。
というわけで現時点では、
「バリュー投資」の7つの基準をすべてクリアしているのは、
・コムシスホールディングス【1721】
・積水ハウス【1928】
・宝ホールディングス【2531】
・SUMCO【3436】
・東ソー【4042】
・日本ガイシ【5333】
・アマダ【6113】
の7社となりました。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。


以上、皆さんの参考になれば幸いです。




👇👇👇ブログランキングに参加中 👇👇👇
👇押していただけると励みになります 👇
コメント