
こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである(株)アドバンテスト【6857】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。


・バリュー投資の7つの基準に沿ったアドバンテストの評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・アドバンテストは割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。



日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。


(株)アドバンテスト【6857】 の基本情報
・設立年月日 1954年12月16日
・上場年月日 1983年2月9日
・業種 電気機器
・特色 半導体検査装置で世界大手。非メモリー用中心。DRAM用では首位。システムレベルテストも。
・資本金 323億円
・従業員数 (単独)2,038人 (連結)6,819人
・株価 4,663円(2024.1.7)
・単元 100株
・決算 3月末日


半導体のさまざまな品種、テスト・ニーズに対応したソリューションを有し、売上高の多くを占めるのが「半導体・部品テスト・システム事業」、他にはテスト・システムの周辺機器などからなる「メカトロニクス関連事業」、顧客サポートとシステムレベルテストを主とする「サービス他」の3つの事業セグメントで構成されています。
技術とビジネスの変化が極めて早い半導体製造装置業界において、世界最高水準の製品・ソリューション開発力とグローバルなチームワークによる技術サポート力を強みとし、中でも、テストの技術力が最も試されるDRAMなどの高速デバイス、コンピューティングデバイス、通信用プロセッサの量産テスト市場で、支配的な市場ポジションを築いています。



半導体検査装置ではアメリカのテラダイン社と世界シェアを2分しているとのこと。半導体業界にとって、なくてはならない企業の一社ですね。
先端技術を先端で支える
ビジョンには「進化する半導体バリューチェーンで顧客価値を追求」を掲げ、世界中の顧客に満足される製品・サービスを提供するため、最先端の技術とより深く、より幅広く、統合したテスト・計測ソリューションにより、発展する半導体バリューチェーンにさらなる貢献を果たすことを目指されています。
ではここからは、(株)アドバンテストに対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
電気機器100社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 3兆4418億円(11位) |
売上高 | 5601億9100万円(27位) |
純利益 | 1304億円(11位) |
純利益率 | 23.3%(3位) |
総資産 | 6307億6600万円(31位) |
電気機器の中で売上高は27位、総資産は31位。利益率は非常に高く、純利益率は驚異の23.3%で3位。半導体検査装置で世界大手の一社です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:3746億9500万円
流動負債:1746億8900万円
固定負債:568億4100万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 2.14倍で基準達成、
②は、固定負債568億円 < 純流動資産2000億円 で基準達成となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も低く、問題ありません。基準達成です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2014年に赤字がありますね。スマホ向けを中心とする半導体試験装置市場が想定より縮小したことに加え、棚卸資産評価損として40億円、長期性資産の減損として135億円を計上した影響とのこと。残念ながら基準未達です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | -355億4000万円 |
2015年3月 | 167億5300万円 |
2016年3月 | 66億9400万円 |
2017年3月 | 142億100万円 |
2018年3月 | 181億300万円 |
2019年3月 | 569億9300万円 |
2020年3月 | 535億3200万円 |
2021年3月 | 697億8700万円 |
2022年3月 | 873億100万円 |
2023年3月 | 1304億円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 は計算上 +∞%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | -41.02円 | |
2015年3月 | 24.04円 | 3年平均:-2.5円 |
2016年3月 | 9.59円 | |
2017年3月 | 20.27円 | |
2018年3月 | 25.49円 | |
2019年3月 | 75.59円 | |
2020年3月 | 67.35円 | |
2021年3月 | 88.47円 | |
2022年3月 | 112.39円 | 3年平均:125.1円 |
2023年3月 | 174.35円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、毎年しっかり配当が出ており問題ありません。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 10円/株 | 0.43% |
2011年3月 | 10円/株 | 0.67% |
2012年3月 | 15円/株 | 1.15% |
2013年3月 | 20円/株 | 1.49% |
2014年3月 | 15円/株 | 1.34% |
2015年3月 | 15円/株 | 0.99% |
2016年3月 | 20円/株 | 1.92% |
2017年3月 | 25円/株 | 1.2% |
2018年3月 | 32円/株 | 1.44% |
2019年3月 | 92円/株 | 3.58% |
2020年3月 | 82円/株 | 1.89% |
2021年3月 | 118円/株 | 1.22% |
2022年3月 | 120円/株 | 1.24% |
2023年3月 | 135円/株 | 1.11% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは57.30倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは8.57倍であり、①のPBRは基準未達です。
②のPER × PBR も491.06で基準未達です。これは株価が高すぎますね。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高5601億円 |
②財務状況 | 〇 | 問題なし |
③収益安定性 | △ | 2014年赤字 |
④収益成長性 | ◎ | +∞% |
⑤配当 | 〇 | 利回り1.11% |
⑥株価収益率 | × | 57.30倍 |
⑦株価純資産倍率 | × | 8.57倍 |
収益安定性と株価収益率/純資産倍率の3項目で基準未達となり、



(株)アドバンテストは割安株に該当しません!
という結果となりました。
財務状況はきれいでしっかり成長もしているのですが、赤字があり、株価も高いですね。仕方なしです。
半導体の量産テスト用システムの開発・販売に加え、半導体量産工程の前後工程にある半導体設計・評価工程や製品・システムレベル試験工程といった近縁市場へ事業領域を広げることで、業容の拡大と企業価値向上を目指す。
半導体が扱うデータ処理量や通信量の増加に伴う半導体需要のさらなる拡大、半導体の高機能化、半導体に対する社会的な信頼性要求の高まりなどの要因のもと、半導体およびその関連市場は良好な環境にあり、半導体テスト需要も拡大し続けているとのこと。目下の優先課題である部材調達の早急な安定化は課題ですが、短期的にも中長期的にもさらなる成長が期待できそう。今後に注目ですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。


以上、皆さんの参考になれば幸いです。




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