こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである(株)デンソー【6902】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿ったデンソーの評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・デンソーは割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
(株)デンソー【6902】 の基本情報
・設立年月日 1949年12月16日
・上場年月日 1951年12月
・業種 輸送用機器
・特色 自動車部品で国内最大、世界2位。トヨタ系。熱機器・エンジン・駆動系など広範囲。技術力に定評。
・資本金 1,875億円
・従業員数 (単独)44,358人 (連結)163,755人
・株価 2,165円(2024.1.7)
・単元 100株
・決算 3月末日
1949年にトヨタ自動車の赤字部門であった「電装部」が分離独立、日本電装株式会社として創業以来、トヨタ自動車を中心に自動車用電装部品を拡販し、現在では世界の主要なカーメーカーに幅広い製品を供給するメガサプライヤーです。
主な製品は自動車の熱機器関連、エンジン関連、電気機器関連、電子機器関連、ITS関連である。自動車部品を広範囲に扱っていますが、センサ技術を応用した産業用無人航空機分野にも参入しています。また近年、バイオ分野やヘルスケア分野、情報分野、製品としてはワインセーバーや基礎化粧品など、様々な取り組みもされています。
スマホで使うQRコードもデンソーが開発したそうです。
世界と未来をみつめ 新しい価値の創造を通じて 人々の幸福に貢献する
「一人ひとりに、ウェルビーイングな日常を」
というビジョンを設定し、日常を支えるテクノロジーを世界に誇る実現力で、暮らしのなかに実装し続けることを目指されています。
ではここからは、(株)デンソーに対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
輸送用機器95社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 6兆4849億円(3位) |
売上高 | 6兆4013億円(4位) |
純利益 | 3146億3300万円(3位) |
純利益率 | 4.9%(19位) |
総資産 | 8兆4162億円(5位) |
電気機器の中で売上高は4位、総資産は5位。利益率もまずまず高く、純利益率は4.9%で19位。自動車部品で国内最大、世界2位の規模です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:3兆2775億円
流動負債:1兆7967億円
固定負債:1兆321億円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.82倍で基準未達、
②は、固定負債1兆321億円 < 純流動資産1兆4808億円 で基準達成となり、
流動資産に対して流動負債の割合が高く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、毎年しっかり利益を上げられており、全く問題ありません。基準達成です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 2771億9600万円 |
2015年3月 | 2583億8200万円 |
2016年3月 | 2442億5100万円 |
2017年3月 | 2576億1900万円 |
2018年3月 | 3205億6100万円 |
2019年3月 | 2545億2400万円 |
2020年3月 | 680億9900万円 |
2021年3月 | 1250億5500万円 |
2022年3月 | 2639億100万円 |
2023年3月 | 3146億3300万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = -6.0%となり、基準未達です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 87.01円 | |
2015年3月 | 81円 | 3年平均:81.6円 |
2016年3月 | 76.8円 | |
2017年3月 | 81.58円 | |
2018年3月 | 102.61円 | |
2019年3月 | 81.62円 | |
2020年3月 | 21.97円 | |
2021年3月 | 40.35円 | |
2022年3月 | 85.69円 | 3年平均:76.7円 |
2023年3月 | 104円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、毎年しっかり配当が出ています。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 6.75円/株 | 0.97% |
2011年3月 | 11.5円/株 | 1.67% |
2012年3月 | 11.5円/株 | 1.66% |
2013年3月 | 16円/株 | 1.61% |
2014年3月 | 26.25円/株 | 2.12% |
2015年3月 | 27.5円/株 | 2.01% |
2016年3月 | 30円/株 | 2.65% |
2017年3月 | 30円/株 | 2.45% |
2018年3月 | 32.5円/株 | 2.23% |
2019年3月 | 35円/株 | 3.24% |
2020年3月 | 35円/株 | 4.01% |
2021年3月 | 35円/株 | 1.91% |
2022年3月 | 41.25円/株 | 2.1% |
2022年3月 | 46.25円/株 | 2.49% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは13.80倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.27倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も17.53で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高6.4兆円 |
②財務状況 | △ | 流動負債多い |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | × | -6.0% |
⑤配当 | 〇 | 利回り2.49% |
⑥株価収益率 | 〇 | 13.80倍 |
⑦株価純資産倍率 | 〇 | 1.27倍 |
財務状況と収益成長性の2項目で基準未達となり、
(株)デンソーは割安株に該当しません!
という結果となりました。
さすがトヨタグループの一角、安定感は抜群でPERやPBRも問題ない範囲ですが、負債が若干多く、成長性が物足りないですね。
「幸福の循環」の輪をモビリティから社会全体に広げるべく、「社会活動を止めない」「多様な価値観、幸福感に応える」ことを目指し、「人流」「物流」「エネルギー流」「資源流」「データ流」の5つの流れのアプローチに取り組む。
課題である将来の成長に向けて、現在策定を進めている「2025年中期方針」では、人財に主眼を置き、実現力のプロフェッショナルを生みだす人づくりや、ダイバーシティ&インクルージョンを強力に推進するとともに、盤石な経営基盤を確立し、事業ポートフォリオの変革を通じて新たな価値創出を進め、社会課題の解決と事業成長を両立させ、更なる企業価値向上を目指されるとのこと。今後に期待ですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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