こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つであるカシオ計算機(株)【6952】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿ったカシオ計算機の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・カシオ計算機は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
カシオ計算機(株)【6952】 の基本情報
・設立年月日 1957年6月1日
・上場年月日 1970年9月
・業種 電気機器
・特色 樫尾4兄弟が創業、電卓で成長。腕時計、電子辞書で高シェア。コンパクトデジカメから撤退。
・資本金 485億円
・従業員数 (単独)2,509人 (連結)9,652人
・株価 1,226円(2024.1.7)
・単元 100株
・決算 3月末日
電卓、電子辞書、電子楽器、時計などを扱う日本の電機メーカー。現在の主な事業分野は電卓、電子文具、時計などの個人向け情報機器や、システム機器、電子デバイスなどの製造と販売であり、近年は電波時計や電子辞書、TFT液晶などを主力商品として積極的に展開しています。
社名が象徴するように、創業時は機械式計算機などを生産、後に電子式卓上計算機(電卓)を発売し、その後、電卓デバイスを基礎に事業分野を拡大しています。
小型、軽量・薄型・省電力といった環境負荷の低い商品開発を強みとしています。
創造 貢献
カシオ独自の強みを最大限に活かし、時代の変化に合わせて常に新しい文化を創造することで、世の中に役に立ち続ける、という意味であり、カシオはこの“貢献のための創造”を通じて、人々の暮らしの中に溶け込み、必要としてくれる人にとって最も大切な存在となるような、新しい価値を生み出し続ける企業となることを目指されています。
ではここからは、カシオ計算機(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
電気機器100社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 2841億7200万円(46位) |
売上高 | 2638億3100万円(50位) |
純利益 | 130億7900万円(50位) |
純利益率 | 5.0%(53位) |
総資産 | 3433億8500万円(45位) |
電気機器の中で売上高は50位、総資産は45位。利益率は中位で、純利益率は5.0%の53位。世界に誇るG-SHOCKのカシオです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:2323億1400万円
流動負債:835億4400万円
固定負債:300億8000万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.82倍で基準未達、
②は、固定負債300億円 < 純流動資産1487億円 で基準達成となり、
流動資産に対して流動負債の割合が高く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、毎年しっかり利益を上げられており、全く問題ありません。基準達成です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 159億8900万円 |
2015年3月 | 264億円 |
2016年3月 | 311億9400万円 |
2017年3月 | 184億1000万円 |
2018年3月 | 195億6300万円 |
2019年3月 | 221億3500万円 |
2020年3月 | 175億8800万円 |
2021年3月 | 120億1400万円 |
2022年3月 | 158億8900万円 |
2023年3月 | 130億7900万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = -39.2%となり、基準未達です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 59.47円 | |
2015年3月 | 100.08円 | 3年平均:93.1円 |
2016年3月 | 119.72円 | |
2017年3月 | 72.68円 | |
2018年3月 | 79.42円 | |
2019年3月 | 89.86円 | |
2020年3月 | 72.23円 | |
2021年3月 | 49.52円 | |
2022年3月 | 65.53円 | 3年平均:56.6円 |
2023年3月 | 54.65円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、毎年しっかり配当が出ています。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 15円/株 | 2.09% |
2011年3月 | 17円/株 | 2.58% |
2012年3月 | 17円/株 | 2.88% |
2013年3月 | 20円/株 | 2.76% |
2014年3月 | 25円/株 | 2.05% |
2015年3月 | 35円/株 | 1.54% |
2016年3月 | 40円/株 | 1.76% |
2017年3月 | 40円/株 | 2.58% |
2018年3月 | 50円/株 | 3.15% |
2019年3月 | 45円/株 | 3.11% |
2020年3月 | 45円/株 | 2.97% |
2021年3月 | 45円/株 | 2.16% |
2022年3月 | 45円/株 | 3.2% |
2023年3月 | 45円/株 | 3.47% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは20.65倍であり、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.28倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も20.65で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高2638億円 |
②財務状況 | △ | 流動負債多い |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | × | -39.2% |
⑤配当 | ◎ | 利回り3.47% |
⑥株価収益率 | × | 20.65倍 |
⑦株価純資産倍率 | 〇 | 1.28倍 |
財務状況と収益成長性、株価収益率の3項目で基準未達となり、
カシオ計算機(株)は割安株に該当しません!
という結果となりました。
流動資産に対して流動負債の割合が若干高く、成長性も物足りないですね。株価もちょっと高いです。仕方ありません。
DXによるバリューチェーン改革や新たな価値軸を創造し続ける「技術」の醸成、「人財」の活性化など、全社基盤の再構築を行いながら、ユーザーを起点とした戦略により市場に新たな価値軸を生み出していく。
中長期成長戦略では、「New CASIO C30プロジェクト」として、「使う人にとって最も大切な存在を創り続ける」を起点に成長戦略を策定し、それを全社一丸となった強いチーム力で実行して、「ユーザーファーストで持続可能な社会に欠かせない存在」になることを目指されています。
今後、抜本的な成長戦略を策定し、中長期の成長戦略に基づくダイナミックな投資やリソース配分を実現されるそうで、時計や教育事業のような強い事業については積極投資による事業領域・規模拡大と収益性アップ、課題事業については注力領域の選択集中と強い成長戦略により成長事業への変革を目指させるとのこと。今後に期待ですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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