こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである日産自動車(株)【7201】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った日産自動車の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・日産自動車は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
日産自動車(株)【7201】 の基本情報
・設立年月日 1933年12月26日
・上場年月日 1951年1月
・業種 輸送用機器
・特色 自動車大手。仏ルノー・三菱自と3社で企業連合。30年早期に主要市場の全新型車電動車に。
・資本金 6,058億円
・従業員数 (単独)24,071人 (連結)133,111人
・株価 553.1円(2024.2.11)
・単元 100株
・決算 3月末日
日本の多国籍自動車メーカーで、筆頭株主のルノー、三菱自動車工業の3社とルノー・日産・三菱アライアンスを形成しています。三菱自動車工業の筆頭株主でもあり、北アメリカやヨーロッパなどの50か国では高級車ブランドのインフィニティ、また、新興国向けには低価格ブランドのダットサンを展開しています。
日本の自動車メーカーではいち早く電動化技術に対応し、2022年7月現在、完全電気自動車は日産リーフをはじめ、日産アリア、日産サクラの3車種に上ります。また、日産独自のマイルドハイブリッドシステムであるe-POWERを様々な車種に搭載しており、ここ数年での国内の登録車台数では、トヨタ、本田技研工業に次ぐ第3位となっています。
高速道路上の同一車線でハンズオフドライブが可能となるプロパイロット2.0も独自技術ですね。
人々の生活を豊かに。イノベーションをドライブし続ける
DNAである「他のやらぬことを、やる」という創業以来の精神のもと、革新的な技術や、商品を生み出すことに情熱を注ぎ挑戦を続けています。
ではここからは、日産自動車(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
輸送用機器94社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 2兆686億円(7位) |
売上高 | 10兆5966億円(3位) |
純利益 | 2219億円(4位) |
純利益率 | 2.1%(47位) |
総資産 | 18兆5552億円(3位) |
輸送用機器の中で売上高、総資産とも3位。利益率は低めで、純利益率は2.1%と47位。日本を代表する自動車メーカーの一社です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:11兆3682億円
流動負債:6兆7693億円
固定負債:5兆2141億円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.68倍で基準未達、
②は、固定負債5兆2141億円 > 純流動資産4兆5989億円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も高く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2020年と2021年に赤字がありますね。直近の2021年は新型コロナの影響に加え、為替変動や半導体の供給不足等を含む外部要因が収益を圧迫したとのこと。残念ながら基準未達です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 3890億3400万円 |
2015年3月 | 4575億7400万円 |
2016年3月 | 5238億4100万円 |
2017年3月 | 6634億9900万円 |
2018年3月 | 7468億9200万円 |
2019年3月 | 3191億3800万円 |
2020年3月 | -6712億1600万円 |
2021年3月 | -4486億9700万円 |
2022年3月 | 2155億3300万円 |
2023年3月 | 2219億円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = -100.9%となり、基準未達です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 92.82円 | |
2015年3月 | 109.15円 | 3年平均:109.0円 |
2016年3月 | 125円 | |
2017年3月 | 165.94円 | |
2018年3月 | 190.96円 | |
2019年3月 | 81.59円 | |
2020年3月 | -171.54円 | |
2021年3月 | -114.67円 | |
2022年3月 | 55.07円 | 3年平均:-1.0円 |
2023年3月 | 56.67円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、2021年が無配であり、基準未達です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2011年3月 | 10円/株 | 1.36% |
2012年3月 | 20円/株 | 2.27% |
2013年3月 | 25円/株 | 2.76% |
2014年3月 | 30円/株 | 3.26% |
2015年3月 | 33円/株 | 2.7% |
2016年3月 | 42円/株 | 4.03% |
2017年3月 | 48円/株 | 4.47% |
2018年3月 | 53円/株 | 4.8% |
2019年3月 | 57円/株 | 6.28% |
2020年3月 | 10円/株 | 2.8% |
2021年3月 | 0円/株 | 0% |
2022年3月 | 5円/株 | 0.91% |
2023年3月 | 10円/株 | 2.0% |
なお、株主優待は3月末の権利確定で100株以上保有であれば、日産車新車の購入を検討している人を紹介し、紹介を受けた方が日産車新車を購入した場合に5,000円相当のデジタルカタログギフトがもらえます。株主本人自身が購入した場合は10,000円分がもらえます。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは5.55倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.37倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も2.05で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高10.6兆円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | × | 2020年と2021年赤字 |
④収益成長性 | × | -100.9% |
⑤配当 | △ | 2021年無配 |
⑥株価収益率 | ◎ | 5.55倍 |
⑦株価純資産倍率 | ◎ | 0.37倍 |
財務状況と収益安定性/成長性、配当の4項目で基準未達となり、
日産自動車(株)は割安株に該当しません!
という結果となりました。
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も高く、赤字あり、成長性も低く、無配もあり、となるとなかなか厳しいですね。
「共に切り拓く モビリティとその先へ」をスローガンとして、日産自動車ならではの2つの価値「移動の可能性を広げる」、「社会の可能性を広げる」を提供するため、イノベーションを推進する。
日産自動車では、前会長カルロス・ゴーン被告をめぐる混乱や新型車不足、新型コロナウイルス禍で2021年は業績が低迷したものの、近年の業績不振からの立て直しが一段落し、現在は電気自動車(EV)などの開発競争で巻き返しを図っています。
EVにおいては、2010年に「リーフ」を発売し、一旦は電動化で世界をリードしましたが、現在は販売台数で米テスラなど海外勢に後れを取っています。長期ビジョンでは、今後5年間に約2兆円を投資し、電動化を加速する方針を打ち出しており、仏ルノー、三菱自動車との3社連合を有効に活用できるかが課題となります。今後どこまで盛り返せるかに注目ですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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